阿部暁子著『カフネ』。

初読みの作家さん。


野宮薫子は、夫から離婚され、年の離れた弟が急逝し、悲しみに打ちひしがれていた。

かろうじて仕事には行っていたが、部屋はゴミ屋敷、アルコールに頼る日々をおくっていた。


そんな時、弟が遺産を渡したいという昔の彼女小野寺せつなに会い、彼女が働く家事代行サービス会社「カフネ」の活動を手伝う事に。

頑なに見えるせつなには、そうならざるをえなかった悲しい事情があった。


常に感情を出さず、鎧をまとったように生きていく、そのせつなの姿にほんの少し共感できて、何度か胸がしめつけられる場面もありました。

私もせつなと同じで、周りの人に、辛いって言えないし、甘える事ができません。

それはそんな環境で育ったからで、そうやって生きてきたから変える事はとっても難しい。

だからかな、せつなの言葉の数々、スッと入ってきました。


そして、薫子の弟の急死の真相…想像とは違っていてホッとした。

亡くなってしまったことは悲しいけれど、弟も苦しかったんだな。

親の気持ちはすごくよく分かる。

でも、子供を持つ事自体、親のエゴなんでしょうね。

親は心配して色々言ってしまうけど、子供の人生何もかもを自由にできるのは本人だけ…なんでしょうね。


ここから一点だけ辛口ですので不快な方はスルーして下さい。

終盤の、薫子のせつなへの想いは分かるけど、あの書類を出したことだけが、この小説の雰囲気や流れには合わないというか、私の気持ちが置いていかれた感がありました。

こんなにまでも考えてくれている事は嬉しいけど、私ならドン引きするかな。

時間をかけてじっくり考えたいし、時間をかければどちらかを選ぶのかもしれない。

方法はコレしかないのかな…?