しばらくすると、タカシは寝入ったようだ。
そっとのぞくと、可愛い寝顔ですやすや眠っている。

なんだか母親になったような気分。

両親の離婚騒ぎの時はグレそうになったけど、よく立ち直ったな…

その時のピアスの跡が今は懐かしい。
「珍しく今回は本当みたいね…じゃあ1時間だけ、保健室で休みなさい。それでも回復しなかったら早退ね。」

「だから言ったろ…」

タカシは制服の上着を脱ぐと、だるそうに保健室のベッドにもぐりこんだ。
「絶対に熱があるから。嘘じゃねぇって!」

「摩擦熱で体温計の温度を上げたでしょ!騙されないわよ。」

「生徒を信じろよ。本当にだるいんだ。」

タカシは授業がイヤになると、仮病を使って保健室にやって来る。
少しでもサボろうという魂胆だ。

タカシは勉強ができないわけではないのだが、勉強する目的が見い出せないようだ。

あたしも学生の頃はそうだったから、気持ちはわかるが、甘い顔はできない。タカシは来春、受験だし…

「じゃあ、脈拍を診るわよ。」

あたしはタカシの手をとると、脈拍数を数えた。…確かに脈が速く、タカシの手も妙に温かい。