チージは新しい日本語を覚えて嬉しそうだ。
覚えたての日本語を連呼しながら、髪を切っていく。
自分も、チージに日本語を教えて一仕事終わったことも
あり油断していた。
チージはすごい勢いで髪をきっていく。
「um pouco por favor」
(少しだけよろしく)
といったはずだ。しかも、親指と人差し指で切る長さも示したはずだ。
しかし、チージはすごい勢いできっていく。
切り方も半端じゃない。真横というか直角にバサバサきっていく。
テクニックとかそういう問題ではなく、とにかく真横にバッサバサと。
チージを止めようと思うが、ポルトガル語が出てこない。
しかも、あいかわらずハサミをクルクル回しては、鏡越しに「ニヤっ」と
笑いかけてくるので、強引にとめることもできない。
しかし、このままだと不味いと思い、話かけようとすると、
「BUTTOBASUZO KONOYAROU!!!」
と叫んでくる。
しかめっ面で。
自分で教えておいてなんだが、すこし怖い。
多分、チージは、親指と人差し指で示した3㎝位の髪型にしてほしいと
勘違いしている。
まあ、いい。ここはブラジルだし、小さいことは気にしないでおこう。
好きなだけ、チージに切らしてやろう。。。。。
そして、ついに終わった。
相当短い髪になった。しかも、真横にバッサバサ切っていくもんだから、
前髪も、よこも、うしろも見事にそろっている。
もみあげもない。
完全に「板前」カットだ。
いや、今日日板前さんでもこんな髪型はしないだろ。
そして、チージは
「今日は特別に髪を流してやろう!」といってきた。
そして、ちょっと離れたところにある、1つだけある
流して、髪を流してもらった。
しかし、ブラジルでは、髪を乾かさない。
髪はビショビショのまま、チージは言った。
「よし完了だ!アミーゴ!!」
・・・・。
まあ、いい。ここはブラジルだから、小さいことは気にしないでおこう。
お代(約1300円)を払って、店をでようとしたところ、
チージが紙コップにいれた水を持ってきてくれた。
「飲んで行けよ!アミーゴ!!」とチージ
「ありがとう、チージ」と自分
しかし、不思議そうにチージがジロジロとみてくる。
「おいしいよ、チージ」と自分。
しつこく、チージは不思議そうにみてくる。
(なんだよ!?)と思いながら、
「なにか?」と自分。
するとチージは、
「おいおい、アミーゴ、水をもらったら、
BUTTOBASUZO KONOYAROU!というのが
常識だぜ!?」と得意そうに言ってきた。。。
わすれてた。。。。
しかたなく、
「BUTTOBASUZO KONOYAROU!!!」といって
店をでてきた。
家に帰って、髪の長さをはかると、キッチリ3㎝だった。
チージは散髪のプロだった。
完