猿が故郷のモンキーセンターを出て行こうと決めたのは、夜中一時過ぎだった。その日はモンキーセンターで毎年恒例の猿祭りがあった日だ。夜中だというのに、まだ街の方から猿ダンスの音と若い猿の騒ぐ声が聞こえた。猿はテラスで猿酒を呑みながら、今日一日のことを考えていた。昼間に同僚の猿から「ウキャキャ」と言われたことが気になった。確かに彼が「ウキャキャ」というのはもっともだと猿は思ったが、その時はただ「ウキャ」と短く答えるのが精一杯だった。猿はそのことが悔しかったのだった。テラスでまだ続いている猿祭りの余韻を見つめながら、猿酒をグラスについで、つまみのバナナを口にした。
- 前ページ
- 次ページ

