「ごめん、ちょっといい?」
今日のお昼過ぎだろうか、自分に与えられた新しい部屋の中でくつろいでいると、ヨーコさんが部屋にやってきてそういった。
「別に構いませんがいったい何処へ・・・?」
疑問に思い、ヨーコさんに問う。
「その、ちょっと、付き合って欲しいの。・・・行き先は言えない・・・けど。」
ヨーコさんは少し俯き加減になる。
隠し事をするはヨーコさんらしくないと思いながらも、それでも私は
「そうですか。私でよければお付き合いしますよ。」
と返事をする。
出来て間もないカミナシティを歩いて回るのだろうと思った。だから行き先は言えないのだろう。
「ごめんねニア。じゃあ行こっか。」
「はい、お供します。」
ニアを誘って外に出てから一時間程経っただろうか。
「あのー・・・ヨーコさん。いったいどちらまで?」
ニアがそういうのも無理はない。
今、私たちが歩いているのはカミナシティの離れたところである、崖といえば崖かもしれな、とにかく足場の悪い場所を歩いていた。
「・・・いい眺めでしょ?」
確かにここは眺めがいい。見下ろせばカミナシティが一望出来る。
――でも、そうじゃなくて。
「風も気持ちいいです。」
風に流れる髪を押さえ、カミナシティを眺めながらニアは言う。
ニアが周りの景色に夢中になっている間に私は周りを見回す。
――確か、この辺に・・・。
「ニア、ちょっと、いい?」
見つけた。
私はその場にしゃがみこみ、ニアを手招きする。
「何ですか、ヨーコさん。」
「ほら。見て。」
目的のものがある方を指差す。
「・・・なんですか?綺麗ですね・・・。」
ニアもその場にしゃがみ、それを見ながら声を上げる。
岩の木陰に咲いている一輪の百合の花。
「これって花、ですよね?」
ニアは興味深げにそれを眺めている。
「うん。これは百合っていう花なの。私が一番好きな花。」
私は花を見ながら説明する。
「とっても綺麗ですね。ヨーコさんみたいです。」
「え・・・えぇぇぇ・・!?」
私は咄嗟にニアの方を向く。
『ヨーコさんみたいです』という言葉を耳にして私は硬直する。
「だって、そうじゃないですか。雨にも負けず、風にも負けず、強く咲いてるじゃないですか。なんだかヨーコさんみたいだなって・・・」
ニアの横顔を見つつ、私はニアの話を聞く。
なんてことを言い出すんだこのお姫様は。
「・・・?ヨーコさん?」
ニアの声が聞こえたので私は我に帰る。
「え!?あぁ、何?」
「ありがとうございます」
ニアが立ち上がり、言う。
「いいえ。どういたしまして。」
そう答え、私も立ち上がる。
「そろそろ、帰りませんか?暗くなってきますでしょうし。」
ニアその声に私は
「そうだね。そろそろ帰ろっか。」
笑顔で答える。
「また今度、しばらくたったら来てみませんか?もっと綺麗に咲いているかもしれませんよ!」
「それもいいわね。じゃあいつにしよっか」
他愛もない話をしながら、私たちはその場を後にした。
あとがき
だいぶ前に出来てたはずが今更更新してみる(笑)
下書きよりもだいぶ長くなったヨなんでだヨ!