夜中にトイレに起きると、はす向かいの母親の部屋から嫁の悪口が聞こえた。
ドアを開け「何か言ったか?」と聞くと「何ね?」ととぼけた。
私はとうとう堪忍袋の緒が切れた。
ベッドで寝ている母親の顔面目掛けて鉄の棒を振り上げ、顔を叩きつけた。
「あ!」と悲鳴のような声がしたが、構わず3回4回と鉄の棒を振り下ろした。
顔を叩きつけるたびに『べこ』『べこ』と鈍い音がした・・・。
肩を揺さぶられた気がして顔を上げると、嫁がいて私にこう言った。
「ねえ、あんた。昨夜のこと覚えてる?」
???・・・ああ、そうか。あれは夢じゃなかったんだ。母を殺してしまった。
誰かに母の部屋を見られたらマズいな。なんとかしなきゃ・・・。
と、そこで目が覚めた。私は壁側を向いて横になっていた。
「なんだか妙にリアルな夢だったな」と考えていると、部屋の引き戸が開いた。
直感で母だとわかった。次は私が殺される。