深夜0時を回ったというのに大地は熱を抱えたままのようで、風もなく静かな夜に汗が滲んだ。
時々、横を通過していく車のヘッドライトを避けるように俯いて歩いた。
誰も僕には気付かないかもしれないけれど、もしかしたら見付かる可能性もある。
街灯はないものの、コンビニなどの明るい場所からはなるべく離れるようにして歩いた。
目の前の信号が赤に変わろうとしている。
急いでいるわけでもない僕は横断歩道の手前で立ち止まった。
信号が変わり、車が僕の前を右から左へと通り抜けていく。
僕は無意識に少し後ろへと下がった。
信号が青に変わる。
僕は車が来ないことを確認し歩き出した。
虫の声が聞こえる。
リリリリと鳴く虫の声は涼しげで、それでもやはりジメジメとした暑さは和らぎはしなかった。
空を見上げる。
月は雲に隠れるようにして朧気な光を放っていた。
僕はそれに安堵しながらまた歩き始める。
存在するだけで悪影響を及ぼすものを知っているだろうか。
僕はそれが何かを知っている。