パンパンパンダのブログ -35ページ目

パンパンパンダのブログ

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「ひっ」
驚きのあまり悲鳴を上げそうになってしまい、慌てて口を両手で塞いだ。

一週間くらい前から誰かにストーカーされている。
気付いてはいたけれど、側まで来ることはなかったし、人気のない道を歩くわけでもなかったのであまり気にしてはいなかった。それになにより、家の近くまで着いてきたことは一度もなかったのだ。おそらく、途中で交番の前を通るからだと思う。それなのに。

「(なんで家の前にいるの・・・!?)」
もうすぐ家に着くところで、ふとマンションを見上げると私の部屋の前をうろうろとする人影が見えた。間違いない。あいつだ。

咄嗟に警察へ連絡をした。
「あの、家に帰ろうとしたら私の部屋の前に変な人がいて・・・」
そこまで言ったとき、あいつが立ち止まりジッとこちらを見ていることに気がついた。
「気付かれたかもしれません!切ります!」
慌てて電話を切る。

どうしよう。きっとあいつは私を待ってたんだ。
警察の人はきっと5分も掛からず来てくれるだろう。
あいつがエレベーターホールに向かう姿が見える。
ここにいたら危ない。隠れなくちゃ。

不気味なくらい静かだ。
何分経っただろうか。
そこへ不意に声を掛けられた。
「通報された方いらっしゃいますか!」
良かった、警察の人が来てくれたんだ。
隠れていた草陰から身を出し助けを求めた。
「私です。さっきストーカーが・・・。」
「安心してください。近くを見回しましたがそれらしき人はいませんでした。もしかしたら私に気付いて逃げたのかもしれません。ところでいつからストーカー被害に遭われているのですか?」
「あ、えーと、一週間くらい前からです。バイト先のお客さんだと思うんですけど、あまり覚えていなくて・・・。そんな変な人にも見えなかったし・・・。」
「人は見かけによりませんからね。見た目はどんな感じだったか覚えていますか?」
「うーん・・・身長は180cmくらいあったのかな・・・。後は帽子かぶってるくらいしか分からないです。あ、太ってはいなかったと思います。」
曖昧な回答しか出来ない自分が情けなく思う。
そんな気持ちを察してくれたのか警察の人は優しい言葉を掛けてくれた。
「大丈夫ですよ。恐怖心を持っていると相手のことが大きく見えたりするものです。帽子ですね。普通体型、と。」
「はい」
「もう一度周りを見ておきますので、家に戻られて大丈夫ですよ。また何かあれば連絡ください。」
そう言って携帯番号の書かれた紙を渡された。
非番の時でも駆けつけますので、ということだった。
「ありがとうございます。少し気が楽になりました」
お礼を言って警察の人と別れた。
自分の部屋の玄関の前で下を見ると、先ほどの人がこちらを見て敬礼している。
見えるかわからないが軽く会釈をしてから部屋に戻った。

不意にコンコンとドアがノックされる。
モニターで確認すると、例のストーカーの姿があった。
慌てて、先ほど教えてもらった番号へ電話を掛けた。
一度目の呼び出し音で相手は出た。
「鈴木さん?どうかしましたか!?」
「部屋の外にストーカーがいるんです!助けてください!」
「分かりました!すぐに行きます!」

数分して警察の人が来てくれたのか、玄関の向こうで怒鳴り声が聞こえた。
私は怖くて布団を被って自室に篭っていたためやりとりまでは聞こえなかった。

少ししてからパトカーのサイレンの音が聞こえ始めた。
「良かった。これで終わる。」
また外がざわつき始めたが、それもなくなってから外を確認するとパトカーが遠ざかっていく姿が見えた。
ふう、と息をつくと不意に声を掛けられた。
驚きのあまり体をびくつかせてしまったが、隣の部屋に住むおばさんだった。
「さっきすごかったのよ!怒鳴り合いの殴り合いで!私怖くて警察に通報したのよ!一人は逃げちゃったみたいだから安心は出来ないけど・・・気を付けないとね!」
そう言いながら部屋に戻っていった。
きっと、助けに来てくれた警察の人はバレるとまずいことがあるのだろう。殴り合いなんかしたらいくら警察の人でも処分とかされるのかもしれないし・・・。
とにかく無事で良かった。
ホッと胸をなでおろした時、

人は見かけで判断しちゃいけないよ。

とどこからか聞こえた気がした。