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パンパンパンダのブログ

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いつもと変わらぬ自堕落な一日を過ごしているとメッセージアプリの着信音が鳴った。
「高橋正」知らない名前だった。
メッセージを開くか迷ったが、自分のことを知るためには友達から情報を得るしかないのだ。
メッセージを開くと長文が画面を覆った。

一文目を読んで、これはまずいと思った。
「やっと退院できた!これでまた遊べるね!」
と書かれていた。
長い間、友達からの連絡はなかったことで大きな勘違いをしていた。
どんな理由で長期入院していたのかは分からない。その間、連絡は一切してこなかったのだから、普通の入院ではなかったのだろう。『これでまた遊べる』という言葉が、入院前までは頻繁に遊んでいたようにも思えた。

ふと疑問が浮かんだ。
家族は彼のことを知らないのだろうか。
記憶にある僕ならば話すのではないだろうか。
家族との会話も『友達に関すること』は全て忘れてしまったのではないだろうか。

これは確かめなければならない。
もしかしたら記憶を失った理由が分かるかもしれない。
記憶を取り戻したいという気持ちは相変わらずなかったが、記憶を失った理由は知りたいと思った。

今の時間帯なら母親と連絡が取れるはずだ。
鳴らすと母親はすぐに応答した。
「やっと退院出来たって連絡が来た」
母親が声を出す前にそう伝えた。もしかしたら電話で報告するようなことではないかもしれない。
そもそも母親は入院のことなど知らないかもしれない。
反応によっては「掛ける相手を間違えた」と言って電話を切ろう。
けれど、運が良ければ・・・・・・。

「あ、しょうさんのこと?おめでとう!長かったね。お前に会いたかっただろうからまた家に遊びに行ってあげなね」
そう言った母親に咄嗟に、うん、と返事をした。
それだけだから、じゃあね、と急いで電話を切った。
『正』と書いて『しょう』と読むのか、とか、やはり母親も知っていた、とかは今どうでも良かった。
母親が下の名前で呼ぶのだ。恐らく自分も下の名前で呼んでいたのだろう。苗字が『高橋』だ。単に分かりやすく下の名前で呼んでいるのかもしれない。しかし、『お前に会いたかっただろうから』、そんな言葉が母親から出るなんて、もしかしたら僕と高橋正の関係は友達以上のものだったのかもしれない。
親友、もしくは、恋愛関係にあった可能性も捨てきれないだろう。

僕が彼に返信をしないのは不自然だろう。
それに、移動手段を持たず、交通機関も利用しない僕が遊びに行っていたということは恐らく近くに住んでいる。向こうから出向いてくる可能性もあるのだ。
ならば、こちらから仕掛けた方がいい。
真実は話さず、疑われないようにしながら情報を得るのだ。

僕は自分の心が踊るのを確かに感じていた。
しかし、どこかで不安を感じていた。
僕はその不安を一蹴した。その不安の正体も知らぬままに。