徒然日記 ~ 愛wonkyu ~ ウォンキュ小説 -93ページ目

徒然日記 ~ 愛wonkyu ~ ウォンキュ小説

SJウォンキュ妄想垂れ流し小説ブログです。 
とはいいつつも83(レラトゥギ)・ヘウン、TVXQミンホも時々やらかしますが、どうぞご贔屓に!

スタジオに入ってスタッフと挨拶をすると現場に来たなと気が引き締まる。
一足先に入っていたユノがセットのソファーで寛ぎチャンミンに向かって手を振った。

「おはようございます」
「おっはよーチャンミン」

いつもと変わらない様子に安堵した。

「昨日メールありがとなー」
「いえ…。大丈夫でしたか?」
「何が?」
「僕、初めて自分がそういう事になってるって知った時なかなか衝撃だったもので…」
「あー…それは分からなくもない。でもさぁ、とりあえず周りが騒ぐ理由は分かってすっきりしたし。それで喜んでくれるならぞれはそれで可愛いじゃん」

可愛いときたか。
ユノの懐の深さとポジティブ精神に感心する。

「それにチャンミンならいいや」

…今のは聞き流していいのか、回収した方がいいのかどうするべきかと悩んだ一瞬のうちにふと思い出した。
そういえば先日ゲストだった俳優とも距離が近かった気がする。
ユノは特にパーソナルスペースが広いというわけでもないけれど、気を許した相手との距離はかなり近い。
チャンミンはどちらかと言えば狭い方だと自分では思っている。
人当りはいいが距離は置きたいタイプ。
それでもユノと初めて会った時から彼との距離感は随分と近いものになっているのは気のせいではないはずだ。
ユノはそういう感覚の取り方も上手いのだろう。

「ところでチャンミン」

手招きされて近寄ると他のスタッフに聞こえないくらいに声を押さえた。

「チャンミンってホラー映画とか得意な方?」
「別に得意ってことはないと思いますけど凄く苦手ってこともありませんよ?」

少し考える様子を見せたユノが意を決したようにこちらを真っ直ぐに見る。
そしてその界隈では名の知られている監督の名前を上げた。

「あぁ、あの監督の映画ってフィルム使ってアナログ感出してるから余計映像も怖いですよね」
「うぅ、そうだよなぁ。オファー来たんだよ」
「え。凄いじゃないですか」
「問題があるんだ」

ぐいっとこちらに顔を寄せたユノがチャンミンの耳元でこっそりとその秘密を打ち明ける。
離れたユノの困ったように眉尻を下げて苦笑いするのに思わす目を瞪った。
この人の意外性はどこまでなんだ。

「あー…でも演者の立場なら問題ないのでは?」
「うん。でも完成したものは見なきゃだろ?」

そりゃあそうだ。
頷いたチャンミンを見てさらに眉尻を下げた。

「でさ。チャンミン苦手じゃないなら一緒に観てくれない?」
「はい?」

あまりにも唐突な申し出に戸惑うのも当然だろう。
オファーは受けるつもりではいるらしい。
ただ、全く作品を観ずにというのは失礼だろうと考えたユノはその監督の作品のDVDを用意はした。
したのはいいが。
この人はどうやらホラーが苦手らしい。

「マネージャーさんとか…」
「駄目。凄く笑われるから邪魔にしかならない」
「笑われるって…」
「チャンミンなら笑わない気がする」

最早言葉が理解できない。
頼むよと、拝まれては流石に無下に断るのも憚られる。

「時間が合うなら構いませんけど」
「合わせる!」

即答されて頬が緩んだ。
なんだろう。
この人は本当に最初のイメージからかけ離れていく。
悪い意味ではなく。
撮影後にマネージャーにスケジュールを確認してユノに伝えると、自分のスケジュールと照らし合わせて決めたのは3日後だった。


その日は撮影後そのままユノのマンションまで引っ張っていかれた。
夕食もご馳走してもらった。
明日がオフだと言うと家でも飲むかと好みの酒まで用意してくれた。
そこまで至れり尽くせりの状況での頼みごとがただ一緒にホラー映画を観るだけとは。
セキュリティのしっかりした真新しいマンション。
ドアを開けたユノが招き入れてくれる。
広いリビングのソファーセットのガラステーブルに買ってきたビールと、グラスと適当に買ったつまみを置いたユノがディスクをセットすると別の部屋からブランケット一緒に持ってきたものにチャンミンは目を丸くした。
大きなテディベア。
なんだ、それは。
観察するような視線に慣れてるとばかりにユノは苦笑いしてその大きな熊をソファーに座らせると隣に座ってブランケットを被る。

「…そんなに苦手なんですか?」
「そんなに苦手なんだよ!チャンミン気にせずに飲んでていいから」
「はぁ…」

リモコンの再生ボタンを押した。
ホラー映画が苦手な人は見終わってからも一人で居ると何か起こりそうで怖いものらしい。
チャンミンにはその気持ちはわからないが映画の特性上驚かせるという演出は付き物で、それに関してはそれなりに反応もするし心臓だって跳ねることはある。
しかしながらソファーの上で「うわっ!」と跳び跳ねて熊のぬいぐるみにしがみつくユノを見てるといっそ気の毒に感じると共に可笑しくなってきた。
あぁ、マネージャーは思いっきりここで笑うんだろう。
納得したチャンミンは笑いを噛み殺す。
どうしたものか。
いい歳の男がぬいぐるみに抱きついてホラー映画を怖がっているのだ。
例えばこれがキュヒョンなら思いっきり笑う。
いや、その前にぬいぐるみを持ってきた時点でドン引きだ。
それなのになんだか可愛いとすら思う。
可愛いが正しい表現だ。
テレビの画面よりユノを観てる方が楽しい。
ふっと笑うとユノがこちらに一瞬視線を寄越して「笑ったな」と文句を投げられた。

「スミマセン」

謝ると「まぁ、いいけど」と照れたように返された。
またテレビ画面に視線を戻して真剣に見入っているのは感心する。
こういう真摯な部分がちゃんと演技に反映されているのだろうなと思うと同時に自分もやるからには真摯に取り組みたいと思う。

「僕も頑張りますね」
「ん?チャンミン頑張ってるじゃん」

聞こえないかと思っていた呟きを拾ってユノがこちらに微笑む。
優しい人だなと思う。

「ユノさん、隣座っていいですか?」
「うん」

広がっていたブランケットを自分の方に引き寄せてスペースを空けてくれる。
そこに腰掛けてチャンミンはユノに微笑む。

「熊よりは心強いかと思いますよ、僕」

そう言うと驚いたような顔をして、綺麗に笑う。

「チャンミン、モテるだろ」
「否定しません」
「しないのかよ」

そう笑ったユノが画面からの音と共にアップになった人外の者に跳び跳ねてしがみつく。

「ほら、ね」
「…熊ちゃんも十分役立ってるよ」

そう言いながらしっかりコアラのようにチャンミンの腕にしがみつく。
映画がおわるまでそのままでビクビクと怯えるユノはやはり可愛い人だ。
何故だか止まらない頬の緩みにチャンミンは表情筋を引き締めるのに苦労した。