徒然日記 ~ 愛wonkyu ~ ウォンキュ小説 -128ページ目

徒然日記 ~ 愛wonkyu ~ ウォンキュ小説

SJウォンキュ妄想垂れ流し小説ブログです。 
とはいいつつも83(レラトゥギ)・ヘウン、TVXQミンホも時々やらかしますが、どうぞご贔屓に!

キュヒョンが降らせた雨は乾いた土を潤し、今年は作物がうまく作れないのではと懸念されていた事態を翻した。
あの歌声は城内の人間の間で話題に上がらない日は無く、それは城下の街から国中にあっという間に広がった。
未曾有の山火事が発生した時に、隣の国の王子が居合わせた幸運を国民全員が感謝したとも言われる程だ。
あれから程なくして一度帰国したキュヒョンに両親と兄妹達はキュヒョンの選択を呆気ない程簡単に受け入れてくれた。
レイナは「あの王子ったらキュヒョナしかいらないって言うんだもの。キュヒョナが嫁に行くしかないわよね」と笑って。
 
「僕がこの国から離れたらレイナに迷惑がかかるかも」
「そんな心配はいらないわよ。もし何かあったとしても自分と自分が大切なものはちゃんと護るわ。私も幸せになるから、キュヒョナも幸せになりなさい」
 
ドレスの袖をまくりながらレイナは壁に掛けてある剣を指さした。
そうだった。
レイナはチャンミンとも張り合えるほどの剣術の腕を持っている。
あの剣だって父が「お前が男だったらよかったのに」と苦笑いしつつ彼女のために作ってプレゼントしたものだ。
その時にも彼女は「自分や大切なものを護るのに男も女も関係ありませんよ?」と信じられないほど可愛く笑って返したのを覚えている。
母は母で「可愛い息子を嫁に出すのは寂しいけれどシウォナなら全力で貴方を守ってくれそうだし。たまには顔を見く口実で遊びに行けそうだし。楽しくていいわね」
と笑っただけだった。
それからトントン拍子に事は運んで1週間後には結婚の儀を執り行うことになっている。
 
 
 
「へぇぇぇぇ。ふぅぅぅぅん」
 
カウンターの椅子に座っているキュヒョンをしげしげと見つつ歩き回っているリョウクにドンヘが苦笑いする。
 
「リョウガー。厨房戻って」
「うん。それにしても…まさか隣国の王子様だったとは…」
 
近い。
非常に近い距離でそう言われてはキュヒョンも乾いた笑いをするしかない。
 
「いや、まぁ、そうですけど。今は普通の客です」
 
その言葉にリョウクは楽しそうに笑うと「ご注文は?」と尋ねてくる。
隣に座っていたチャンミンがポンと手を叩いた
 
「前にエールに合うって出してくれた…」
「あぁ、ビーフパイね。他は?」
「適当に。僕結構食べるので気にせず持ってきてください」
「いいねぇ。食べさせがいのある人好きだよ」
 
鼻歌を披露しながら厨房に向かうリョウクを見ながらヒョクチェが眉尻を下げた。
 
「えぇと…すみません」
「あ、いえ!本当に今は普通に客として扱ってもらえる方が助かるんで」
 
くくっと笑ったドンヘはメニューを二人の前に置いた。
 
「じゃあ、遠慮なく。そもそもうちの王子が庶民的すぎるからみんな遠慮がないんだよ。しかしシウォナが言ってた『妖精』が隣国の王子とは思わなかった」
「…はい?『妖精』?」
「あー…そんなこと言ってたよなぁ」
 
ヒョクチェが何かを思い出すとくすりと笑う。
二人が言うには子供の頃森ではぐれたシウォンが戻ってきた時に森の妖精に出会ったのだと嬉しそうにそう言ったらしい。
 
「雨を降らせることが出来るって言われたら、まぁ子供の発想としてはそんな事にならなくもないか」
ヒョクチェの言葉に頷きながらドンヘはまた笑う。
 
「すごく可愛いんだって言ってたし」
「かわ…!?」
 
慌てるキュヒョンにドンヘは更に面白そうに笑う。
 
「そう考えるとシウォナってすごく一途だよなぁ。初恋実らせちゃったわけだし」
「その辺りはあいつに問いただすとして。シウォナは当分来れないだろ?」
 
結婚の儀までに終わらせなければならない儀式や書類制作その他諸々の雑事に追われているのを知っているのだろう。
キュヒョンも参加しなければならない儀式や手続きはあるもののそれは10分の1にも満たない程に違いない。
 
「で。何飲むの?キュヒョンはワイン派だったっけ?」
 
ドンヘがワインの種類の書かれた小さなメニューを手にするのを見て、キュヒョンが慌てて首を振る様子にヒョクチェが何かに思い当たったのか棚から缶を取り出すとその茶葉で暖かいハーブティーを淹れて置いてくれた。
 
「え、と」
「アルコールは飲んでも大丈夫だって言われなかった?」
「言われましたけど…」
「まぁ気にはなるか」
 
納得したように頷く様子に今度はキュヒョンの方が気付く。
 
「ヒョクチェさんって…」
「ん?」
「ご結婚してるんですか?」
「してる。こいつと」
 
親指でぐいっと指し示した相手が破顔した。
 
「ってことは、ヘンリーって…」
「俺の子」
 
当たり前だろうとばかりに言われては気が抜ける。
それならすぐに気がついてくれるはずだ。
経験者がいるとは不安が少しは和らぐ。
シウォンとの婚礼が決まってからキュヒョンは何種かの薬や薬草を飲むようになった。
それは身体を作るためのもので、一か月前から欠かさず続けられている。
その間特に禁止されていることはないのだがどうしても気になってしまうのだ。
 
「でも子供出来ちゃったら禁止されるから、今のうちだとも思うけど?」
 
悪戯っぽく笑ってアルコール度数の低い物を何種か勧めてくれるヒョクチェに、この人商売上手だなと自然と笑みが漏れた。
それならとワインを使ったカクテルを注文する。
 
「あと一週間か…もう街中がお祭り騒ぎになってるけど」
「こんなに祝福ムードが満載だと逆にびっくりしますね」
 
ビールを飲みほしたチャンミンがそう言うとドンヘが空のグラスを引きながら頷く。
 
「シウォナの婚礼の儀だからなぁ。特にこの街の人間はシウォナがどんな奴か解ってるから、あの王子が選んだ人ならって確信してるのもあるだろうし、ましてやキュヒョナがあの雨を降らせたことに感謝してる人間は多いからね」
 
少し俯いたキュヒョンは今までと同じ言葉を口にする。
 
「でも僕は雨しか呼べないし…」
「え?雨呼べるなんてすごいじゃん」
 
それは今までのキュヒョンには聞きなれなかった言葉で、ヒョクチェにとっては素直に感心するだけの言葉だ。
そうか、本当に自分の国以外では凄いことなのかと実感する。
 
「結婚して、そのうち王位も継承しちゃったらこんなところに来てくれなくなっちゃうんだろうなぁ」
 
しみじみと言うドンヘは本気でそう思っているのだろうがキュヒョンには想像できない。
なんだかシウォンという人間は知れば知るほど分からない人だ。
 
「…来れなくなったらお二人の方に来いって言いだしそうな気はしますけど」
 
その言葉に二人は顔を見合わすと、次に笑い出した。
 
「確かに!あいつそう言うところ謎に王子っぽいよな」
「だから。王子なんだよ、あいつは」
「3日間の食事はリョウガ指名だし、見張りはチャンミンとユノを交互に置けって言ってるんだろ?」
 
何のことだと隣のチャンミンを見る。
 
「あれ?キュヒョナ…聞いてないとか?」
「何を?」
「この国の婚礼後のしきたり」
「しきたり?」
 
聞いてないと察したヒョクチェがそれを教えてくれた。
この国では結婚した二人は婚礼の儀の後家から3日間出られないらしい。
食事も近所や親戚が用意したものを決められた時間に運びドアの前に置いておく。
そして外に出ないよう見張り役を置く。
こちらも友人や親族に任せる事らしい。
昔は完全に守られていたしきたりではあるが、今は形だけというものが多いようだ。
そして王家にもその風習は残っているというのだ。
 
「城は俺達みたいな庶民の家とは違って大きいから、部屋に閉じ込められるらしいけどね」
「…聞いてない」
「多分みんなが誰かから聞いてると思って言ってなかったパターンだろうな」
「…マジか…」
「マジだよ。頑張れ」
 
ポンと肩を叩かれてまた乾いた笑いが零れる。
ところ変わればなんとやらとはよく言ったものだ。
そんなキュヒョンの様子に笑っているチャンミンは
 
「で。お前はユノとどーなってんの?」
 
とドンヘに聞かれて盛大にビールを噴き出していた。
そんな様子を盛大に笑われてるのを見て、今更何か知らない事が出てきたって違う国だから当然かと同じように笑って。
色々な不安も柔らかくなったように感じたのだ。