徒然日記 ~ 愛wonkyu ~ ウォンキュ小説 -120ページ目

徒然日記 ~ 愛wonkyu ~ ウォンキュ小説

SJウォンキュ妄想垂れ流し小説ブログです。 
とはいいつつも83(レラトゥギ)・ヘウン、TVXQミンホも時々やらかしますが、どうぞご贔屓に!

【めしぬま】というコミックの中の一遍なのですが。
呼んだ時にコレ、ミンホでやりたいわぁぁぁぁっ て思っちゃったので。
すいません。やっちゃいました!!!
 
 
♪いっぱい食べる君が好き♪
 
大学に通うために実家を出た。
実家から仕送りをしてもらってはいるけれど、それは家賃や光熱費にほぼ消えてしまう。
そんな時にアパートから近い昔ながらの食堂の引き戸に張り出されていた「バイト募集」の張り紙。
時給は高くはないけれど賄い付き。
そのまま派手な音を立てる引き戸を開けた。
気分は決闘状を叩きつけるくらいの気分で。
 
「いらっしゃいませー。好きなお席にどうぞ」
 
土曜の昼時を過ぎてほぼ客の居なくなった店内に引き戸の音がやけに響いた。
土曜はシフトを入れることはあまりなかったけど、女将さんが風邪をひいたとかでヘルプがきたのと、特に予定が入っていなかったのもある、そしてありがたい賄いに当然シフトを入れた。
休日のサラリーマンといった風情の男は普段きっちりとしてあるだろう髪も櫛を通した気配もなく、前髪で半分見えていないメガネを押し上げると、迷うことなくカウンターの席に腰を降ろす。
水の入ったグラスを前に置いて「ご注文は」と尋ねると、ほぼ同時にカウンター内の厨房から大将の声がした。
 
「生姜焼き定食だ」
「「へ?」」
 
俺とその客が同時に訊ねる様に声を出す。
 
「なんだ、違うのか?チャンミン」
 
ふるふると慌てて首を振った客は
 
「違いませんけど」
「え、と。じゃあ生姜焼き定食でいいですか?」
「はい」

 
困ったように笑って、水を一口飲んだ男はそのまま俯いてスマホを弄り始めた。
 
「…珍しい」
「何が」
「大将が客の事名前で呼んでる」
「…まぁ、常連だしな。それに見てれば解るよ」
 
そう言って大将が可笑しそうに笑った。
常連さんか。
俺がシフトに入ってる時にはあまり見ないから、今日みたいな時間に来ることが多いのかもしれない。
 
「ほら、ユノ。持って行って」
「あ。はい」
 
出来立ての生姜焼きは、それはもう美味しそうな匂いがする。
大き目の茶碗にふわりと盛ったごはんと味噌汁。小鉢に漬物を盆にのせて運ぶ。
 
「お待たせしました。生姜焼き定食です」
 
チャンミンと呼ばれた客は満足そうに笑って箸立てから箸をとると、手を合わせて小さく「いただきます」と呟いた。
うん、いいな。
こういうところしっかりしてる人って悪い人は居ないと思う。
他に客も居ないし、さっき食器もすべて洗ってしまったので、特にすることが無くなった俺はレジの近くに立つ。
大将が見てれば解ると言っていたなと、ちらりとチャンミンの方に視線を投げる。
特に気になる様子もなく、彼は味噌汁を一口飲んでほっと息を吐くと箸でがさりとごはんを持ち上げて口を大きく開けると頬を膨らませて咀嚼し始める。
次に生姜焼きをご飯に乗せて、ごはんを包むようにして口に入れる。
もりもりとごはんを口に運ぶ姿は何というか見ていて気持ちがいい。
 
「あの…おかわりいいですか?」
 
チャンミンが遠慮がちに俺の方を向いて茶碗を軽く掲げた。
 
「あ…。はい! すぐに」
 
うちの食堂はごはんおかわり自由、なのだ。
しかも、またごはんが美味い。
同じくらいでいいよな、と盛った茶碗を持っていくと空になったものと交換する。
ペースも変わらず美味そうに生姜焼きとごはんのループに、時々漬物。
なんだ、これ。
さっきまであの人なんかぼんやりしてたのに。
食べてる時凄く生き生きしてるな。
暫くするとまた「おかわり」だ。
茶碗に盛っていると、大将が可笑しそうに「すこし多めにしてやれ」とか言うのでそれに従うけれど。
 
「すいません…あと一杯だけいいです、か?」
 
それも食べ終わってまた、おかわりの要求が来た。
 
「もちろん! ちょっとお待ちください」
 
うわー。
夜営業のごはん炊かなきゃ足りないな。
もっさりと盛ったごはんを持っていくと。
 
「あ。すみません」
「いえ! もう、全然!!」
 
好きなだけ食べてください!!
 
 
全て綺麗に食べ終えて、チャンミンが席を立つ。
 
「ありがとうございました」
 
レジに行って会計をする時に思い切って話しかけてみる。
あまりそう言うのが好きじゃないお客さんもいるから、なかなか思いきりがいる。
 
「えっと、お客さんはいつもこれくらいの時間に来るんですか?」
 
ちょっと驚いたように顔を上げる。
あ。あんまり好きじゃない人だったか。
 
「…あ。はい。休みだとついつい寝ちゃって…お腹減って目が覚めたら大体これくらいの時間だから…」
 
少し照れたようにそう言った彼は思った以上に整った顔をしていた。
 
「…ありがとうございました。またどうぞ」
 
ぺこりと頭を下げて相変わらず派手な音の引き戸を開けて出ていった。
 
「面白いだろ。あいつ。店としてはあれだけ食べられたら困るけど、美味そうに食うから食べさせてやりたくなるんだよなぁ」
「…めっちゃ美味そうでしたね…」
「生姜焼き…賄いだしてやろうか?」
 
思いっきり頷いたら大将が大笑いする。
 
「あと、土曜シフト入れてもいいですか?」
「当面は助かるな」
 
バイトで入れなくても彼のあの食べっぷりを見るために来てもいいな。
そう思いながら米を研ぐために袖をまくった。