婚礼の儀が無事に終わり、ジナとジョンスも再会を果たし、両国の王はなんだかやたらと気が合うようでひたすら酒を飲み語り合っている。
レイナはジョイからこの国に来てからのキュヒョンに起こったことを聞き出しているらしく、時折「そこ詳しく!」とジョイの肩を揺すっていた。
この国のしきたりでシウォンはすでにこの宴の場からは姿を消していて、キュヒョンはそんな様子を少し離れた場所から「平和だなぁ」としみじみ思いながら眺めていると先日からキュヒョンのバトラーとしてつけられたオニュが柔らかい笑みを作って傍にやってくる。
この国に来る時に車の運転をしてくれていたのはキュヒョンのバトラー候補として名前が挙がっていた一人だったからという理由だったらしい。
レイナはジョイからこの国に来てからのキュヒョンに起こったことを聞き出しているらしく、時折「そこ詳しく!」とジョイの肩を揺すっていた。
この国のしきたりでシウォンはすでにこの宴の場からは姿を消していて、キュヒョンはそんな様子を少し離れた場所から「平和だなぁ」としみじみ思いながら眺めていると先日からキュヒョンのバトラーとしてつけられたオニュが柔らかい笑みを作って傍にやってくる。
この国に来る時に車の運転をしてくれていたのはキュヒョンのバトラー候補として名前が挙がっていた一人だったからという理由だったらしい。
「キュヒョン様、御用意が出来ましたのでこちらに」
「うん」
「うん」
キュヒョンが立ち上がるのに気づいたジナとジョンスが小さく手を振ってくれた。
王である父は明日には帰国するらしいが、ジナとレイナは一週間ほど滞在するというから、また顔を合わせる時間はあるだろう。
王である父は明日には帰国するらしいが、ジナとレイナは一週間ほど滞在するというから、また顔を合わせる時間はあるだろう。
オニュに案内されたのは普段はあまり使われることのないバスルームだ。
たっぷりと湯の張られた浴槽。
湯の上には庭に咲き誇っていた青いバラの花びらが散りばめられている。
乾期のこの時期普段ならあり得ない贅沢だ。
広い湯船で手足を伸ばしてキュヒョンは大きく伸びをして息を吐きだした。
泡立てた石鹸で体を洗って、さっぱりとした体はいいとして。
たっぷりと湯の張られた浴槽。
湯の上には庭に咲き誇っていた青いバラの花びらが散りばめられている。
乾期のこの時期普段ならあり得ない贅沢だ。
広い湯船で手足を伸ばしてキュヒョンは大きく伸びをして息を吐きだした。
泡立てた石鹸で体を洗って、さっぱりとした体はいいとして。
結局、予期したとうりシウォンに魅かれてここまで来たけれど。
新たに切ったスタートラインの先が未知数が高すぎて全く予想が出来ない。
不安だけなら、前には進めなかった。
期待や希望。
そうした前向きな気持ちも同じようにあるからこそ少しづつ前に進めてきたし、振り向かないと決めた。
まだ時々弱気になることもあるけれど、それもきっとシウォンとなら進んでいける気がする。
大きく取られた明り取りの窓から見える空には上弦の月。
これから満ちていく月と自分が同じように思えて暫く見上げているとふいに背後から声が聞こえた。
新たに切ったスタートラインの先が未知数が高すぎて全く予想が出来ない。
不安だけなら、前には進めなかった。
期待や希望。
そうした前向きな気持ちも同じようにあるからこそ少しづつ前に進めてきたし、振り向かないと決めた。
まだ時々弱気になることもあるけれど、それもきっとシウォンとなら進んでいける気がする。
大きく取られた明り取りの窓から見える空には上弦の月。
これから満ちていく月と自分が同じように思えて暫く見上げているとふいに背後から声が聞こえた。
「キュヒョナのぼせてないよね?」
「…なんでここにいるの」
「結構長い時間経ってるんだけど出てこないからオニュが心配してる。多分普段なら自分が様子を観に来るんだろうけど今日は特別だからね。こっちに声をかけてきた。大丈夫?」
「そんなに時間経ってる?」
「うん。まぁ、こっちが待ってる時間を長く感じるだけだとしたら別だけど」
「…なんでここにいるの」
「結構長い時間経ってるんだけど出てこないからオニュが心配してる。多分普段なら自分が様子を観に来るんだろうけど今日は特別だからね。こっちに声をかけてきた。大丈夫?」
「そんなに時間経ってる?」
「うん。まぁ、こっちが待ってる時間を長く感じるだけだとしたら別だけど」
悪気の全くない笑顔でそう言われてしまえば、なんとなく気まずくてキュヒョンは湯船から上がる。
ふらりと足元が揺らいで慌てた様子のシウォンに抱き留められた。
ふらりと足元が揺らいで慌てた様子のシウォンに抱き留められた。
「あれ?」
「あれ?じゃないよ全く…やっぱり逆上せたのか」
「…ちょっと暑い…でもしんどい程じゃないよ」
「冷たいものでも飲んで少し休んで。今日は大変だっただろ?」
「あれ?じゃないよ全く…やっぱり逆上せたのか」
「…ちょっと暑い…でもしんどい程じゃないよ」
「冷たいものでも飲んで少し休んで。今日は大変だっただろ?」
労わる様に背中を撫でられて、どこまでも優しい人だなと思う。
くすくすと笑うと眉を顰めて顔を覗き込まれた。
怪訝そうに寄せられた眉間に指を当てると、その表情が解ける。
そのまま頬に手を当てて、ゆっくりと後頭部に滑らせて引き寄せると目を閉じる直前に驚いたようなシウォンが見えた。
触れた唇も絡まる舌も自分より体温が低く感じるのは思っているよりも逆上せている証拠かもしれない。
離れた二人の唇から同じように悩ましい吐息が零れる。
袖を通すとシウォンが襟を合わせて紐を結んでくれる。
くすくすと笑うと眉を顰めて顔を覗き込まれた。
怪訝そうに寄せられた眉間に指を当てると、その表情が解ける。
そのまま頬に手を当てて、ゆっくりと後頭部に滑らせて引き寄せると目を閉じる直前に驚いたようなシウォンが見えた。
触れた唇も絡まる舌も自分より体温が低く感じるのは思っているよりも逆上せている証拠かもしれない。
離れた二人の唇から同じように悩ましい吐息が零れる。
「こっちまで逆上せそうだ」
キュヒョンを抱きしめて楽しそうに笑う吐息が首元にかかってくすぐったい。
胸元を柔らかく伸すと名残惜しそうに腕を解いたシウォンがバスローブを肩から掛けてくれた。「暑いだろうけど、部屋に行くまでは着てて。流石にその姿を人目に晒すのはもったいないから」
もったいないとかの問題ではない気がする。
キュヒョンだって流石に何も身に付けずに外に出るつもりはないし。袖を通すとシウォンが襟を合わせて紐を結んでくれる。
「歩ける?」
そう言って差し出された手を取る。
「もちろん」
ふわりと踏み出した一歩が軽く感じるのはシウォンが居るからだろうか。
バスルームから出ると安心したようにオニュが微笑んで、手にしていたトレイを少し掲げた。
「お部屋の前までお持ちします」
トレイの上にはレモンとハーブの入った水のカラフェが乗っていて、目にも涼やかだ。
城内の端にある部屋の前に案内されると、シウォンがオニュの手からトレイを受け取った。
本来ならテーブルにまで運ぶのが仕事ではあるけれど、この部屋には3日間誰も立ち入ってはならないとされている。
「…普通だよね?」
「その、普通が普通じゃない人が居るってことだよ。キュヒョナの国も皆それを当たり前だと思えていることが素敵なんだ」
けれど自分の選択自体は間違っていない事だけは確かな気がした。
本来ならテーブルにまで運ぶのが仕事ではあるけれど、この部屋には3日間誰も立ち入ってはならないとされている。
「申し訳ありません」
言葉と全く一致する表情でオニュが深く頭を下げると、その肩をシウォンが軽く叩いた。
「ご苦労。大丈夫だよ」
その後にキュヒョンが「ありがとう」と礼を述べると、オニュははにかんだような表情をつくる。
「…キュヒョン様が王太子妃としてこの国に来てくださったこと神に感謝いたします」
そう言われてシウォンを見ると、訳知り顏で視線を寄越されて、また首を傾げる。
ドアを閉めて、シウォンのバスローブの袖を引っ張る。「何、今の身に余るような賛辞は」
「その身に余るって思えるところだよ。大体どの国も王家の人間は使用人が身の回りのことをして当たり前だと思っているし、酷いと人としてすら扱わないようなのもいるからね。キュヒョナが素直に礼を言えることに感謝したんじゃない?」「…普通だよね?」
「その、普通が普通じゃない人が居るってことだよ。キュヒョナの国も皆それを当たり前だと思えていることが素敵なんだ」
だからこそ選んだ伴侶なんだけどね、そう付け足されて差し出されたグラスを受け取る。
ひんやりとした水が喉を通って、体温は下がってもいいはずなのに、なぜか上がりっぱなしで戸惑う。けれど自分の選択自体は間違っていない事だけは確かな気がした。