次世代スーパースター候補

ティオフィモ・ロペスの世界初挑戦

 

 

筆者が今年“最も楽しみにしている試合”がもう間も無くというところまで近づいている。

現地時間12月14日土曜日(日本時間15日)、米・ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンにて行われるIBF世界ライト級タイトルマッチ、王者リチャード・コーミー(31戦29勝26KO2敗)vs 挑戦者ティオフィモ・ロペス(14戦全勝11KO)の試合である。

多くの注目試合が行われた先週末。ジョシュアvsルイス、チャーロ兄vsデニス・ホーガン、クリス・ユーバンクJr. sマット・コロブフ、マーロン・タパレスvs岩佐亮佑、etc..

一つ一つ試合の感想を書いていきたいとも思うのだが、コーミー対ロペス戦があまりにも楽しみ過ぎるため他の試合について執筆する集中力が全く湧いてこない次第である。


筆者イチオシのボクサー、ティオフィモ・ロペスにとって“初”となる世界挑戦。この試合の勝者は2020年にライト級最強の称号をかけ絶対王者ワシル・ロマチェンコ(15戦14勝10KO1敗)との世界統一戦を行う予定だ。


以前、ボクシング界の中で最も盛り上がりを見せている階級として“ライト級”の注目選手を紹介させて頂いた。その中で取り上げた2人の選手がいよいよ激突するのである。



憎めないヤンチャキャラ

次世代を担う“華”と“実力”を併せ持つ男ロペス

プロ転向後わずか3年で世界タイトル挑戦の切符を掴んだホンジュラス系アメリカ人のティオフィモ・ロペス。勝利した試合後に派手なバク宙で喜びを表現することで有名な22歳の若者は口も達者で華がある。



過度な対戦相手への挑発や、無作法な振る舞いに対しバッシングを受けることも少なくないが、我が道をゆかんとする『オレ様気質』こそ相手を殴り倒すことを目的としたボクシングという競技に強烈なエンターテイメント性と魅力的なドラマを添えてくれるのである。

大口を叩くだけでなく実力も確かなものを持っている。

世界挑戦経験のあるディエゴ・マグダレノを“戦慄の左フック”で沈めた試合は鳥肌ものなので見ていない方には是非ともチェックして頂きたい。

 

 

 


直近の試合では日本人ボクサーの中谷正義を相手にかなりの苦戦を見せたことで「ロペスの底が知れた」などといった声も聞こえてくるが、筆者としては、それどころか、あの試合から多くを学び、さらなる成長を見せてくれることに大きな期待を寄せている次第である。


ロペスの魅力は何と言っても“高いカウンタースキル”と、それを支える“ハンドスピード”だろう。


ガードをかなり低く構えるのため、ディフェンス技術には少し疑問が残るが、とてつもないスピードとタイミングから繰り出される目の覚めるようなカウンターは、ボクシングにあまり興味がない人が見ても“とても分かりやすい爽快さ”がある。

中間距離、あるいは至近距離での戦いを得意としており、ショルダーブロックを中心に相手の攻撃をいなしながら、見切りの良さとハンドスピードを活かし常にカウンターのチャンスを伺っている。


派手なカウンターパンチを得意とする一方、『丁寧にジャブを突き、順序立てて丁寧に試合を組み立てる』といった“模範的”なテクニックに関してはまだまだ世界トップレベルとは言えず、“長い距離から丁寧にジャブを突き、距離を巧みにコントロールすること”を得意とする相手に対し、なかなかペースを握れず、自分の得意な射程圏に入り込む手立てを見出すのに苦労をすることもある。

非常に美しいフックやアッパーを放つロペスだが、ストレート系のパンチに関してはまだまだ成長の余地があるようにも見える。しかし、この“少し荒削りな部分”も含めこの上なく魅力を感じさせてくれる選手なのだ。


ガーナ出身のIBF王者コーミー

KO率90%のパンチ力は階級屈指

一方のリチャード·コーミーだが、90%近いKO率を誇る戦績が示す通り、破壊的なパンチングパワーを誇る好戦的な“倒し屋”である。

 


カウンターを得意とするロペスが“待ち”の戦いを得意とするのに対し、常に“攻めの姿勢”を崩さず、高いガードと強力なプレッシャーでじりじりと距離を詰め、常にエキサイティングな試合を魅せてくれる選手だ。

これと言った“代名詞的決めパンチ”を持っているわけではないが、逆を返せばどのパンチでも倒せる力を持つということ。“遠い距離から伸びてくる右ストレート”“どの距離からでも合わせてくる左フックのカウンター”のレベルは非常に高いものを持っている。

遠い距離からでも怖がることなく思い切りの良いパンチを振るってくるため、対戦相手としては安心できる瞬間が非常に少なく気が抜けない。



非常に勝敗予想の難しい50:50ファイト

最後に筆者の勝敗予想を記しておくが、

『ロペスの8〜10ラウンドKO勝ち』

とさせて頂く。互いの実力が高く拮抗しているため、予想が難しく非常に迷ったが、ファンとしてロペスを信じたくなる気持ちが抑えきれなかった。


試合の流れとしては、好戦的に前に出るコーミーに対し、ロペスがカウンターを合わせるチャンスを伺う、といった展開を予想する。

とはいえ、ロペスも足を使って相手から距離を取るタイプではない。“多彩なステップワーク”と“強い体幹を活かした上半身の動き”で相手のパンチを外しつつ、近〜中間距離をキープした状態で戦うことになるのではないだろうか。


つまり、“お互いにパンチが届く距離”にいる状態が続く目の離せないエキサイティング試合になる可能性が非常に高い。個人的には井上vsドネア級に盛り上がる年間最高試合候補』に挙がるような試合になるのでは、と思っている。


お互い危険な距離でパンチの交錯回数が増える展開になった時、キーとなるのがロペスの“カウンタースキル”だ。打ち合いの瞬間も相手のパンチから目を外さず、相手の打ち終わり、あるいは打ち初めに合わせ、自分のパンチを打ち込めるタイミングを嗅ぎ分ける技術。センスや本能的な部分も大きいテクニックだが、この“嗅覚”の部分にロペスは特化している。

ガードが低くなることが散見されるロペスのことだ。コーミーの伸びのいいジャブや右ストレートをもらうこともあるだろう。しかし後半ラウンド、ロペスの目が慣れてきた頃、前に出て距離を詰めてきたコーミーに対し“右ストレート”あるいは“右アッパー”のカウンターを当てるチャンスを見出すのではないだろうか。


海外ファンの勝敗予想を見てみると、文字通り意見は真っ二つに割れている。

 

まさしく“50:50”のファイトだと言われているこの試合。すでにチケットも購入済みの筆者は現地まで観戦に行く予定だが、日本のファンの方々にも是非ともチェックして頂きたい。
 


最後に一ファンとして一言。

「頑張れロペス…!」