第二次大戦時にチャーチル首相のもとでタイピストとして働いていた
イギリス生まれでアメリカ育ちの女性がIRAの脅威と闘う、というお話。
(事実じゃないですよ、当然のことながら)。
MWA賞(聞いたことある)、バリー賞、ディリス賞(後ろの2賞は知らない)の
トリプルノミネートだったそうで、まあ面白いと言えば面白いんだけど、
都合のいい展開がちらほら見えるのが、どうなのかな、というところ。
ストーリーより印象に残ったのは、友の死に際し、主人公が朗読した
ヘンリー・スコット・ホランドの詩。
「死がなんだというのでしょう
わたしはただ、隣の部屋にそっと移っただけ
(以下略)」
この詩を読んだとき、母のことと、DAVID様のことを考えてしまいました。
いつも変わらずそばにいる、と思えたら、さびしくなくなるのに。
そういう主人公の友への気持ちの深さを心にとどめながら、その先を
読んでいくと戦争やテロを正当化させることの難しさ、虚しさを感じます。
見知らぬ誰かは信念のために殺せるけど、友人・恋人は殺せないし、
死なせたくない、ということは身勝手。
自分にとっては見知らぬ誰かも。誰かの大切な友人であり、恋人であり、
家族なんだから、あっさり殺していいわけがない。
戦争だとかテロだとかで正当化しようとしても無理。
エンタメ系の作品なのに、戦争はいやだ、という思いにたどり着くとは意外。
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