電話で合格の報告を1番にしてくれたのはAだった。
今年の入試は昨年度より少々難しく、
過去問より点数が取れなかったという報告を多数聞いていたし、
志願者が定員をかなり上回っていたので、
この子に対しても多少の不安があった。
それだけに電話の向こうの声もいつも以上に明るく、二人で喜び合った。
昨晩の卒業パーティーでもいつも通りの彼だった。
夕方、お母様から電話が入る。
Aに対してすっかり肩の荷がおりた私は、
また喜び合えると思って出たのだが、
話の内容は予想もしない重いものだった。
実はパーティーが終わった深夜に、
お身内のひとりが急逝されたということだった。
私も若い頃からよく知っているお祖父様。
最近お顔を見ないなとは思っていたが、
まさに青天の霹靂とはこのことだ。
Aは最期を看取りそのまま寝ずに合格発表を見に行き、
そういう状況で私に電話をかけてくれたのである。
悲しみを微塵にも感じさせずに…。
気配りのできる優しい子だ。
数時間差で合格を報告できなかった悲しみをこらえ、
私には明るく繕って電話してくれたのかもしれない。
絶句。お母様に返す言葉が無かった。
入試にはひとりひとりドラマがあり、
時に起こりえないことが起きることもある。
しかし神様はどうしてこのような悪戯をされるのだろうか。
Aよ、合格おめでとう。
天国のお祖父様、彼はきっちり結果を出しました。
立派でした。
ご冥福をお祈り申し上げます。
...
雲のむこう、約束の場所 - きみのこえ
