「というような感じで、恋愛に関する何らかの話題を扱ったエッセイ的な部分があってさ。けれども決してそれだけじゃなく、そこで取り上げられている話題が関係している、具体的な事例の話も載せるわけだな。そうすれば読んだ人が恋愛について、その具体的な事例を参考のための材料にしながら、いろいろと考えてみることができるだろうからね。そういう原稿を私は今まで、いくつか書いてみたわけじゃないか。ええと、まず最初が『婚外恋愛に走る妻たち』で次が『優しい男と恋する方法』だったっけ。でもって『幸せに役立つ恋愛物語』と『小説よりも恋に効く本』が続いて、今のところ最後の五作目が『就労難をのりこえる愛』で」
私はマミに、そう言った。
「そもそも最初の『婚外恋愛に走る妻たち』は、依頼を受けて連載したものだったんだっけ。その後の四つは依頼を受けずに書いたもので、活字になってはいないけど」
五作の全てを読んでいるマミが、そう補足してくれる。
「本にしてくれる出版社が、まだ見つかっていないからね」そう言って、うなづいてから私は言葉を続けた。「でもって私は、それらを仮に『恋愛エッセイ・ノベル』だとか『恋愛事例本』などと呼んできたわけだ。事実に基づいて書かれた話だからというので、簡潔に『実談』と呼んだりすることもあるけど」
「これは現実的な話なんですよ、ということを示すために『事例』だとか『実』という文字や言葉を入れたいわけでしょう?」マミは私の、そんな思いも知ってくれている。「『エッセイ』という言葉を入れようとするのも、同じ狙いがあってのことなのでしょうし」
「恋愛を扱った本はえてして、現実的ではない夢物語の類を描いてしまっているものが多いからなあ」私としては、嘆かざるをえない。「男性の著者が主に男性の読者を対象にして書いた本には、決して実際にはいそうもない女性の出てくるものが多いし。たとえ何があろうと男性の主人公のことを一途に愛しつづけていて、優しく尽くすヒロインだなんていうようにね」
「女性の読者に向けて女性の著者が書いた本だって、それと似たような感じだものね。白馬に乗った王子様みたいな男の人が、なぜかヒロインのことを見初めてくれて」
「だけどそういう、実際には決してありそうにない夢物語のような話ばかりを読んでいるとさ。そういう相手が本当に現れるのを待っちゃって、現実に存在する生身の異性とは親しくなるのが難しい読者も生じかねないわけだ。そうなっちゃうとその手の本は、むしろ読者が実際の恋愛をする上で有害だと言わざるをえないよな」
そう言ってから私は、顔に思わず苦笑いが浮かんでくるのを感じながらも言葉を続けた。
「いっそのこと、その手の本はぜひとも『有害図書』に指定してほしいくらいだよ」と。
「『有害図書』とまで言ってしまったら、ちょっと酷すぎるでしょうけど」と異を唱えつつも、マミは応じる。「だけどもショウが書くような、『恋愛事例本』だとか『実談』はさ。決して実際にはありえない夢物語なんかじゃなくて、もっと現実的な事例を取り上げるわけよね。それを読んだ人たちが実際の恋愛をする上で、ちゃんと参考にできるような事例を」
マミは私の名前の「渉」という文字を音読みして、「ショウ」と呼ぶ慣わしなのだ。
「そういう『恋愛事例本』のための原稿を私は、これまでに五つ書いてさ。『これらを出版してくれないか』と、あちこちの出版社に打診してみたわけじゃないか。ところが『前向きに検討してみましょう』と返事をくれた出版社は、まだ残念ながら一つも出てきていないんだよ。もう今までに、百社くらいの出版社に打診してみたっていうのに」
「日本の出版社は最近、かなり慎重というのか臆病になっているって話だものね。なにしろ本が、あまり売れなくなってきたっていうのでさ。ある程度の部数が売れるだろうと、確実に予想できるような本ばかりしか出したがらなくなっちゃって。これまでに例がなかったような新しい試みの本を出してみて、冒険しようとはせずに」
「確かに今まで、あまり他には前例のない形だからなあ」私はつい、天を仰ぐようにして大きく一つ息をついてしまった。「エッセイ的な部分と現実的な事例の話が組み合わさっている、私の『恋愛事例本』は」
「その反対に現実的でない夢物語のような話を書いた恋愛本は、ある程度の部数が売れるという実績があるわけでしょう? だから出版社はどうしても、その手の本を出したがるわけよね」
「目の前に現に存在していることがわっている需要に応じるための、無理のない措置だってわけかい」私としては、どこか愚痴っぽい口調になってしまうのを禁じえない。「確かに本の出版も商売の一種である以上、出版社にとっての客である読者の意向に応じないわけにはいかないのだろうけどさ。でも私が書いているような『恋愛事例本』の方が絶対、読者の役に立つはずだって私は信じているんだけどな。現実的な事例の話と、そこから学べる知識が書かれているわけだから」
(「実直な思いが実を結ぶ」の第1章を読む)
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『婚外恋愛に走る妻たち』などの「恋愛事例本」は、2014年10月の現時点ではpuboo版の電子書籍として出版されています(ただし『小説よりも恋に効く本』のpuboo版は改稿に伴い、販売を中断させていただいております)。
それらについては当塾の「恋愛本21冊を電子出版」の頁をご参照ください。
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