1本のローソク足が値動きを表す

今日は日本で最もポピュラーなローソク足チャートについて解説します。
これは、株価チャートはもちろん、FXやBOチャートでも共通の考え方となります。


まず、ローソク足チャートの「ローソク」とは?


1分や5分というように時間を区切った時の
始値(はじめね)

高値(たかね)

安値(やすね)

終値(おわりね)
という四本値(よんほんね)を形で表したものをいいます。

図1 ローソク足の見方
(図1  ローソク足の見方)

 

理解できれば、この1本のローソクの色や形を見るだけで、その期間の値動きを想像することができます。

例えば、、、陽線でしかも本体部分が長ければ「力強く上昇した」
陽線だけれども本体部分(実体または柱)が短く、上ヒゲがとても長い場合には


「上がったとはいえ、高値からずいぶん押し戻されて終わった」といった具合です。
 

このように、1本のローソクはその期間の中で
「どういう値動きをしたのか?」を表しています。

ローソク足の「足」といういい方はこれに由来しています。

 

日本人が開発したローソク足

その素晴らしいところは、値動きを陽線・陰線の色の違いで表すことによって、視覚的に強く訴えかけるようにした点や陽線・陰線の形状によって値動きををより明確にイメージさせてくれるところにあります。


例えば、始値よりも終値が大幅に高かった時にはローソクの本体の部分が長い陽線になります。

見ただけで「勢いが強い上昇だ」と感じるでしょう。


これが本体の短い陽線だと、「そこそこ悪くはないな」といった感じになります。


陰線の場合なら逆に「暗い」「弱い」といったネガティブなイメージに感じられます。


ローソク足には、(図19)のように、9つの基本型があります。

図19 ローソク足の基本形


本体の長いローソク足は大陽線(だいようせん)

大陰線(だいいんせん)と呼ばれます。


いくら以上の長さならば「大」がつくという明確な基準はなく、そのほかのローソク足と比べてどうかによります。

つまり、本体の長さは、いつもと比べてどのくらい勢いが強いのかを把握するうえで役立つわけです。
 

また、陽・陰の区別に加えて、ローソク足では高値と安値をヒゲで示しているという点も大いに注目できます。

このヒゲによって、その陽線・陰線ができるまでのプロセスも想像することができます。
 

例えば、上ヒゲが長ければ「一時はかなり上昇したのに戻されてしまった」という意味になります。


そうすると、同じ陽線でも、「それほど明るくはないかもしれない」という感じもします。


逆に、下ヒゲが長ければ「一時は大きく下がったのに、相当に戻した」という意味になります。同じ陰線であっても、柱が小さく、下ヒゲが長い陰線ならば、それほど暗い印象でもなくなるでしょう。
 

ローソク足の組み合わせから相場状況を読み解く

 

ローソク足1本1本を見るだけでなく、組み合わせて見ることでより相場の方向性や状況が分かり易くなります。

 

足の実体部分の組み合わせや位置関係、上下のヒゲの関係性などその組み合わせは多種多様なものとなります。

 

■組み合わせパターンがその後の下落を教えてくれる

ローソク足の組み合わせパターンの一例

上図は、行き詰まり線と呼ばれるローソク足の組み合わせパターンの一例です。

 

しばらく続いた上昇相場の中で、Aのように大陽線の後、Bのように陽線が出たものの高値更新には至らなかった足型です。

 

図は、実際のポンド/ドルの一部を抜粋したものです。

 

上昇相場で現れた大陽線に、投資家たちは相場の一段高に自信を深めます。

 

同時に、それまで様子を見ていた投資家からも新規の買い注文が入り、多くの投資家たちは更なる大幅高を期待します。


その後投資家の視点は、Aの直近高値が次の足であるBで更新されるのかどうか、更新された場合はどの程度の上昇になるのかということに注がれていきます。

 

しかしながら、Bが陽線になることは間違いなくとも、一向に高値追いの気配が見られないと、次第に投資家たちの失望感が広がっていくことになります。


この失望感によって、投資家たちは利益を確定するべきか・まだ待つべきかという選択を迫られることになります。

 

ここで行き詰まり線の足型を知る投資家は、買い勢力の衰えを察知し利益確定が望まれる局面であることを認識しています。
 

逆に、この行き詰まり線の形成過程を知らない投資家は、現在の保有ポジションを放置し、期待感と失望感の間で葛藤を続けることになります。

 

勝つ投資家が利益確定の売り注文を入れ始めると、相場は下落速度を早めて、葛藤していた投資家はそこで初めて自らも売りを持ち込むことになります。


上図では、Aで大陽線を形成するも長い上ヒゲが発生しており、利益確定の売り注文が既にかなり入っているのが分かります。

 

その後、売りが一巡したことで押し目買いなどからBでは陽線になっていますが、潜在的な売り圧力の高まりを見逃してはいけない局面なのです。

 


■大陽線が出ればいつも強気相場とは限らない

大陽線が買いとは限らないローソク足パターンの一例

ローソク足を見る際には、相場のサイクルの中のどの位置に現れるかにも注意を払う必要があります。

 

同じ足型・組み合わせであっても、現れる位置によってその意味は全く違うものになるんですね。

 

上図Bのように、大陽線自体は強い買いを示す足型です。

 

しかしながら、上昇途中でAのような小陰線をBの大陽線がすっぽり抱いた「最後の抱き陽線」が現れた場合、相場の反落を示唆することがあります。


上昇相場が続いた後の高値圏で現れる大陽線は、必ずしも新規の買い注文・買い増し注文によって生じたものとは言えません。

 

それまで売りポジションを保有していた投資家が、損失に耐え切れない水準にまで上昇したことで、泣く泣く買い戻しの買い注文を入れ始めることで急騰し、結果的に大陽線となることがあるからです。


上図では、Aの陰線発生で利益確定の売り注文が入り始めていることが分かります。

 

その後のBでも下ヒゲをつけて、相場は既に天井を形成し始めていることを教えてくれています。結局Bは大陽線となりますが、市場はその発生前からすでに、供給過剰の状態であったと判断できます。

 

このように、上昇相場の初期段階で現れる根拠のある大陽線と、かなりの上昇が続いた後の高値圏で生じる大陽線では、その形成過程の意味合いが全く違うものになります。


大陽線が出たからまだまだ強気相場だ!と、短絡的に判断することはできません。そのローソク足の出現位置まで考慮する姿勢が、求められてくるんですね。

 

 

■ローソク足から投資家の心理と行動を読み解く

呼び名が付いている代表的な組み合わせをいくつか紹介しますが、大切なのはその足が何を意味しているのかを考えることです。

 

多くの投資家の心理がどちらに向かおうとしているのか、そうした視点でチャートを眺めると、全く違った景色に見えてきます。

 

下記の組み合わせは、よく為替相場で見られるパターンですが、大切なのは名前や形を暗記することではありません。

 

ローソク足の推移によって、多くの投資家が今何を考えているのかを推し量る姿勢が求められるということです。

■3-3-1.包み線

陽線の包み線

包み線とは、前の足の陽線・陰線の値幅をすっぽり覆う長さの、その足とは逆の大陰線・大陽線の組み合わせのことです。

 

前の足の力を一掃するほどの、強烈な反転のエネルギーが発生したことを表しており、多くの投資家の心理が反転に向かったことを意味しています。

 

上図は、陽線の包み線です。値が下落を続けると心理的に、まだ下がるのか?そろそろ底値か?などの様々な思惑が入り乱れてきます。

 

そのような安値圏でこの陽線の包み線ができると、上昇反転に心理が向かい始めたことを暗示することになります。
 

下図は、陰線の包み線です。このときは上図とは逆に、上昇後の転換心理が一気に強まったことを暗示しています。

 

買いでエントリーしていた投資家が、一斉に利益確定を始めています。また、じっと値を伺っていた逆張りトレーダーの売り注文も同時に巻き込み、大きな陰線を形成します。

陰線の包み線

■はらみ線

陰の陽はらみ

はらみ線とは、前の足に次の足がすっぽりと覆われている組み合わせです。

 

母親が子供を宿しているように見えることから、この名が付いたようです。

 

上図から、かなりの勢いをもって下落してきたもののエネルギーが無くなり、値幅が縮まったことを表しています。

 

下落中の底値圏で大陰線が表れた場合、買い方の投げ売りであることが分かります。

 

その後買いが若干上回ってきたことを表しており、流れが転換していくことを暗示しています。

 

投資家の意識の差が相場の変動を生んでいる

 

相場の世界の格言に

「相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育つ、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」というものがあります。

 

過去の経験則から生まれたこうした格言から、相場の真理を見出すことができます。

 

相場は、経済や国際情勢など様々な要因によって揺れ動きます。これらの要因が投資家に心理的な影響を与え、次の行動を促すことで需給バランスに乱れが生じ、レートが上下することになります。

 

そして更に、その動きが他の投資家の心理や行動を変化させる、という循環が延々と繰り返されているんですね。


市場に参加している膨大な数の買い手と売り手は、皆利益の最大化を常に意識して行動しています。

 

買い手はより安く買おうとし、売り手はより高い水準で売ろうとしています。この両者の意識の差が、相場の需給バランスを常に不安定にし、レートの変動を生んでいます。

 

相場の世界で勝ち残っていくためには、こうした他の多くの投資家の心理状態を先読みし、次の行動に繋げていく姿勢が求められます。

 

その心理を最も分かりやすく的確に教えてくれるのが、ローソク足です。

 

ローソク足についてのまとめ

世界広しと言えども、ローソク足ほど相場に参加している投資家たちの心理状態を、これほど素直に表してくれる指標はありません。

 

ここから投資家心理を先読みすることで、他者よりも一歩先んじて底を確認して仕込みを行い、大多数の投資家がしびれを切らして売り急ぐ中で、余裕をもって買い増ししていくことも可能です。

 

ただ値の上下を見るのではなく、形づくる足の形や組み合わせによって、投資家心理を汲み取っていく姿勢が非常に大切になってきます。

 

チャート画面の前に座ると、どうしても機械的なレートの動きに目がいきがちです。

 

しかしながら、トレーダーが戦っている相手は画面の値動きではなく、画面の奥にいる多くの投資家であるということを忘れずにトレードしたいですね。

 

それを意識するだけで、驚くほど勝率や値幅も改善されていくはずです。

 

#ローソク足#値動き#投資家心理#バイナリーオプション#FX#テクニカル分析#チャート#トレード実践#投資#トレード履歴

AD