10日間の慶弔休暇中に出来るだけやってしまおう今日も朝から実家片付け。
お腹空いたお昼行こう。
目指したのは駅の反対側の中華「安くて多くて美味しい」と評判の店(何度か行ったことあるけどまぁまぁだな)
ありゃ。
休みだ。
どうしよう探すのめんどいから向かいの洋食屋か隣の・・
「いいんじゃない?」姉夫婦ずんずん。
ちゃんとしてる和食屋さんで「素材すべてにお金掛けてます」て感じ。
ここは確かに美味しい。
が、定食が2,000円近くする。
それでもいつも混んでて土日は並んでる。
この街の人って結構お金持ってんだね。
そこじゃなくてね、
この店の店長さん、ちゅーか、女将さん・・
カウンターに三人並んで料理が出て、ありゃこりゃ美味しそうだ。なんて肉厚な姉さんの西京焼き。旦那のマグロぶつも中々、でも俺はどこでも生姜焼きなのさ。
「kenさんっ」
お。
さっきは居なかった女将。
あ、俺の姉です。あと旦那さん(と右隣の二人を)
紹介した途端、
「kenさんが来ることなんてなかったから」
言って顔を両手で覆って(うわ勘が鋭いなすげえな)泣き出した。
(ナンデワカッタ?)
(いや前に唐揚げ弁当、娘に買いに来たことあっただろ?会話しただろ?)
うん。
親父死んだ。
30日の朝。
目が覚めないまま死んだ。
「だって」
「そんな」
泣かない泣かない。
うちは娘以外泣いてないから。
でもありがとうね。
(うわー店中のお客さんと店員さんこっち見てるよ。何事か?と。いや俺元彼とか元旦那とかじゃないです。そーいうのじゃないです違います痴話喧嘩とか痴情のもつれとか地上の星・・)
「あたし」
「16年だよ」
「16年」
女将がここの前に居た店に親父は毎日通って昼飯を食べ(昼間っから)酒を飲んだ。
お袋が痴呆でもまだ歩けた頃、ちょうど16年くらいになるのか。お袋も一緒に行ってた。
16年間、親父の話し相手をしてくれた。
ご馳走様と店を出ると、店前で涙目で待っててくれて、
「いつも唐揚げと生で始まって、唐揚げは小さく包丁入れて」
「お母さんが来てた頃は青リンゴサワーをゆっくり飲んでて」
「仲良くて」
「思い出すことがいっぱいあるから・・」
涙が頬を伝う。
ありがとうね。
そうやって思い出してくれて悲しんでくれることは、何より親父の供養になるから。
本当にありがとうございます。
知り合いのすんごい歳下の女の人に死んで泣かれるって、俺にはあり得ないな。そういうシチュエーションに居ないもん。
親父、果報者だな。
まぁ確かに、
男前ではあったからね。
少しなら払うから俺ん時も誰か泣け