む | Botom line, botom job.

Botom line, botom job.

結局のところ、底辺職。

こりゃ若いカメラマンさんはやらないな。

無理だよ。

撮れないよ。

 

 

撮影してきた。

『二枚を合わせて一枚になる襖絵(ふすまえ)の様な版画』

画家さんのアトリエに伺って、プラハ(チェコスロバキアだっけ?)での展覧会目録用の撮影。

最初の制作会社の撮影で色が出ず、他のカメラマンに頼んでそれもダメ。撮り直し3回目のカメラマンが俺。

大型のストロボを2台持ち込んで設置角度、距離、高さ、光量を厳密に揃えて挟んでライティング。ここまでは誰でも出来る(よね?)

ここからは経験と引き出しの多さが全て。だってこれで均等にライトが回るわけないんだもん。光源の均等と作品の均等は違うからね。色の濃淡、絵の具の厚み、紙の合わせの逃げ方と処理。

 

 

俺やっぱ写真上手いわ。それもかなり。

 

 

もったいないなぁと思う。

でもね、俺のギャラ払える仕事がもう無いの。世の中そこまでクオリティ求めてないの。だって基準がスマホのカメラだもん。これも時代よ世の中の流れさね。

 

露出や色の正確さ+画家さんの視覚(人間の眼って一人一人色の感じ方が違う。赤でも同じ赤に見えてる人はまず居ない。だからこその芸術家なわけだよね)

画家さんの「OK。これがいい。」たった1カットの撮影に2時間半。そりゃギャラ安いわけないよね(安くやったけどさ)

けどね、

 

姉さん、最初っから俺に頼めよ。弟はかろうじてあなたの才能の残りカスをちっとだけ受け継いで、それでもプロ中のプロで手練(てだれ)だぞ。

俺の姉はメーカーの工業デザイナーとして女性で最も出世、退職後は画家と彫金作家でそこそこ名前が売れてる。お袋のお腹の中の才能はほとんど姉さんが持って行ってしまった。

 

 

 

さて撮影終了、借りた機材を業者さんに返しにトコットとことこ。

地下鉄で行った方が早いけどこの膝と指ではやだ。

セブンのからあげ棒「がしがし」しながら運転、銀座向け。

2000回くらい(もっとかも)走った慣れた道。

 

この先は路上駐車が増えて一車線になっちゃうんだよね。右車線に移っとこ。

ほらね。左車線詰まっちゃった。

(いきなり「ぐいん」とウインカー点けてホンダのフリードが寄せて来る)

あんだこいつ?!あにやってんだ?ばかかてめえは?!

(俺とっさに右にハンドル切って避ける)

入れてやんねえよどいてやんねえよ。

 

ちょっと前に並んでるフリードの運転席から女の人が俺見てお辞儀。

 

うっわ。すっげえ美人っ(うちの娘と同じ歳くらい)

(左手をダッシュボードの上に伸ばして)どーぞどーぞ入っちゃって入れたげる。

美人さん笑顔で「ぺこり」

 

うわー、俺今顔見られた時「むっ」としてなかったかな嫌な顔してなかったかな。そこ大事だよな。

 

2車線に戻って並走。運転してる美人さん、助手席の人に何か言ったんだろう助手席の人が体を前に乗り出してこっち見る。

 

こっれも美人てか可愛い。

いやこんなことってあるの?やるじゃんホンダフリード。

 

 

を、

帰って娘に話したら、

 

「男っていくつになってもバカだよね」