癇癪
世の中にはゴミ屋敷をボランティアで片づけている人がいる?
そんな奇特な人はそうそういないと思うが?
テレビ等でたまにゴミ屋敷の特番を組んでいるのは
それがネタになるからだ。
ゴミ屋敷を片づける業者はそれを 職 にして稼いでいるからだ。
誰が好き好んでゴミ屋敷を片づける人がいると思う?
十二年前ゴミ屋敷を片付けている時に彼女が吐いた言葉には驚いた。
「あんた片づけるの好きだからね」
好きなものか!何十年もの間、約束を破り続け、一ミリたりとも
努力をした事がない。それどころか問題を次から次におこし
尻ぬぐいは周りが処理する。そして好きなことだけ未だにし続け
言うだけで何もしない人は本当に気楽でいいものだ。
又、ゴミ屋敷を片づけるだけでも大変なのにそれにつけ加え
誰が片づけていようと彼女のおこしだす癇癪には疲労感が増す。
普段、おとなしそうなキャラをしているだけにこの姿を見た事が
ない人には想像もつかないであろう狂気ぶりだ。
十二年前よりも数年前、一度だけ、当時まだゴミ屋敷に住んでいた
姉弟から泣きつかれ、仕方なくゴミ屋敷を片づけた時も
彼女の癇癪は凄かった。
片づけている傍らで彼女は耳障りな声をあげながら文句を言う
「あれはいる これはいる それには触らないで」
見たことがない人には分からないだろうがその時の彼女は狂人だ。
当時は一人で片づけていたので、私は彼女の言い分も聞きながら
宗教関連の物等にも配慮してやりながら片づけることができた。
本音言うとあんな物はびりっびりに破いて燃やしてやりたい位
だったがそこは堪えた。
積みあがったゴミの中からは腐敗した野菜が至る所から出てきた。
彼女が大好きで大事にしているという宗教関連の物も底に埋もれ
カビや土にまみれになっていた。いくつも同じ様な物があり、
それを選り分け、カビを拭きながら本棚に綺麗に並べた。
泣きついてきた姉弟といえば手伝いもせず私用で出かけいつもいない
私の中では諸事情が有り、姉弟には甘くしていた。
だが、週に一度、仕事の休みに新幹線に乗り片づけをしに来ていた
私はこの時は流石に「一緒に片付けてと泣きついてきておいて!」
と姉弟に文句を言った。姉弟は一度だけ片づけに参加した。
又別の姉弟は、片づけでどんどん増え続けていくゴミ袋を処分しに
数回来てくれた。これには本当に助けられた。
本当は全部屋片づけをしたかったが、この時は一部屋だけで
精一杯だった。10回程通い居間は何とか人を呼べる程度の
部屋になった。
彼女に「これを機に少しづつでいいから片づけて行ってね」
といつもと同じ様に言い、この時の片づけは終わった。
たったこれだけの作業でも、私は家に帰ると倦怠感に襲われ
頭痛で寝込んだ事もあった。