3/8(水)

「快晴」

朝起きて部屋を見ると閉めた窓の隙間から日照しが入ってきている。窓をバンと開け放つとそこから朝日が真っ直ぐオレの目の中に入ってきた。そして青々とした空と海も。海は日の光を受けてきらきらと光っている。思わず、うおーと言いたくなる。ビーチリゾートへやってきましたよ。ふつふつと湧き起こる興奮を抑えながら、浜辺へと下りてみる。そこは砂浜ではなく岩場だけど海はとても綺麗だ。いい所に来たものだ。ふと我に帰るとリコンファームがまだだったことを思い出した。

（写真: 自分のバンガローから海を望む）

とりあえず顔を洗いに行って、このリゾート施設のInformationを覗くと、1人の日本人パッカーがいたので声を掛けてみた。これから帰るところだそうで、8:30のボートに乗るというので、オレも昨日最初ボートから降りた一番大きなウォンドアンビーチとやらをちゃんと見てみようと思い、一緒に付いて行く。

ビーチは思っていた以上に大きくて綺麗だった。朝早いからか浜にはあまり人がいないし、それに砂が細かくて白い。そこで彼を見送ったあと、すぐ側のカフェで朝食を取る。Breakfastで一番高いのを頼んだら、かなり待たされた末にトースト4枚、その上にツナを乗せたのを揚げたのが出てきた。50Bしたけどそれなりにうまかったので許せた。朝食に65B(50B+コーヒー15B) もかけるとは…。最近、段々感覚がおかしくなっている。朝食のあと売店で海水パンツを買った。ベネトンと書いているけど、当然これもバッタものだろう。180B(720円)だった。これでも高いはず。

一度バンガローに戻ってもう一度ウォンドアンビーチへ。国際電話がかけられるというツアーオフィスに行くと、愛想のいい兄ちゃんが話を聞いてくれて、「どこにかけるのか」と言うので、「シンガポールにReconfirmをするのだ」と答えると、「それなら私が代わりにやってあげます。」と言ってくれた。まずBangkokのオフイスにかけてみる。するとやっぱり名前が無いみたい。ちょっと浮かない顔をして、何か私に質問してくるのだが、よく分からない。この後ここからどうやって行くのか聞いているようなので、アリタリアのチケットを取ったミニツアーの領収書を見せると、「私はこれが欲しかったんだよ」とうれしそうにそれを取り上げてミニツアーに連絡を入れる。あそこはいつも電話をひっきりなしにかけているので中々通じない。やっと通じて何かしゃべって確認した後、彼が私に言うにはアリタリア航空のチケットが手に入ったということ自体、シンガポールにはONEWAYでは入れないので、帰りの便もその時点ですでにReconfirmされているハズだという。「つまり何も心配することはない、Everything is OK. 」だという。ほんまかいな? と思いながらもそれを信じるしかないでしょう。それでお礼に少しお金を払ってそこを出る。

するとすぐ前に日本人らしい大学生男女グループがいたので声をかけるとやはりそうだった。彼らと少し話して、と言ってもパッカーでない彼らはカオサンさえ知らない。ベトナムとかカンボジアの話も、いいなぁとしか反応がない人たちなので、話もふくらまずすぐに終わって別れた。

バンガローに戻る、そしてとにかく洗濯と昨日ボトボトになった靴を洗おうと思って Information横にあるバケツが置いてある水洗い場へ行く。

その途中、1人タイ人とも日本人とも見分けのつかない何か独得な雰囲気を持った女性が水場のすぐ近くのテーブルに腰掛けているのを見かけた。何か物思いにふけっている様だ。その様子を眺めながら通り過ぎて、あんな子と知り合えたらいいだろうなと思いつつ、現実は洗濯かーと、ジャブジャブ靴を洗っていると、その彼女が、洗濯物を抱えてオレの隣の蛇口をひねって洗い始めるではないか。最初は知らんぷりして洗っていたけど、目が合ったのをここぞとばかり、「日本の方ですか?」と尋ねるとまさに日本人だった。ラッキー! ここでゆっくり過ごした後ベトナムへ行くと言う。あまり行きそうな風には見えない。その妖しげな格好といい、まさにリゾート地にありがちな女子大生にも見えたのだが、自称バックパッカーだと言うので笑ってしまう。ベトナムの予定を聞いて、行くならハノイは1日でいい、ということと、できれば中部の町でゆっくりすることを勧めた。アメリカにホームステイか何かしたことがあって、大学は駒沢大学の英米文学科だという。ここらは後で聞いた話だけど洗濯しながら会話に花を咲かせていた。いいよ、いいよ。2人で来ているというので、もしやもう一人は男では? 恋人と2人でリゾートを楽しんでいるというのはよくある話で、恐る恐る、「女の子と2人で来てるねんなあ? 」と聞くと、そうだと言う。ただもう1人男の人も一緒に来ていて、その人にここにも連れて来てもらったと言う。その男とは一体? と思いつつ、そのうち洗濯も終わった。2人同時に終わったので一緒に歩いて戻る。そこで一緒にメシでもどうですか? と誘うとOK。内心ラッキーと思いつつ、それじゃ昼頃また会いましょうと言って別れた。

そうそう書き忘れていたけど、リコンファームに行く途中、丘を降りたところにミニゴルフ場とかがあってその前で2人組の大学生に会った。1人は歩き方を片手にここはどこだろうとやっている。もう一人はカメラを抱えてパシャパシャ撮っている。こんにちはと声をかけて、カメラじゃない方に話しかける。ここがウォンドアンだと教えてあげて、ここのあと彼はベトナムに行くと言うので色々と話してあげた。もう一人はインドに行くと言う。どこか泊まる所を探していると言うので、私と同じバンガローに泊まればいいんじゃないかと教えて、私はリコンファームをしに行くため別れた。

今、洗濯から戻ると彼らはその女の子のバンガローの隣のバンガローに入っていった。といっても女の子の方はトイレ、バス付で網戸の入った窓も付いているバンガロー、一方は藁葺き小屋と表現するのが一番それらしいバンガロー。この対照は結構笑えた。そう言うオレのも人の事言えない程ひどいんだけどね…。

昼になって彼女達と一緒にメシを食べに行く。ここで初めて自己紹介、洗濯の彼女がヌマクラさん、もうー人ショートカットの女の子がアオノさんといった。たった二泊のサメット島で、早速こんな子達と、知り合えるとは何てラッキーなんだろうと感謝しつつレストランに入る。

また書き忘れていたけど、昨日の晩、すぐ寝たんじゃなくてあまりに腹が減っていたのでメシを食べに行っていた。ここのバンガローから一番近くにあるレストランで食べたんだけど、そこのお姉ちゃんの愛想の悪いこと、ベトナムであれだけ人の良さに感動していた私はここの彼女にタイ人の本質を見たような気がした。（注:あくまで個人的な意見です。）30分ぐらい待たされてやっときたチャーハンもオレはカレーチャーハンと頼んでいたのに普通のが出てきたのだった。怒る気さえしなかった。

それがあったので、今日そのレストランの前を通った時に、2人の女の子はここはやめとこうと言う。愛想が悪いからだと言うのでオレも思わず2人に拍手を送りたくなる程、頷いてしまった。その奥にあったレストランに入る。そこのおじさんは声が低くてシブイ、そしてよく気が利く。ここでチャーハンを食べて、あと彼女たちと3時間程しゃべっていた。今から考えてみたら、ほとんどオレばかり話していたように思う。タイで騙された話以外はほとんど話してしまったと思えるぐらいよくしゃべった。アオザイの話がやけに盛り上がった。彼女達はバンコクに着いてからというより行きの飛行機の中で知り合った男の人に付いて来ているらしい。その彼が全部仕切ってくれてアユタヤに行き、サメットへもこうして連れて来てもらったという。そしてハノイまでずっと一緒だそうである。そんな面倒見のいい物好きと言うのかお節介やきは聞いた事がないなあと思いつつ、だからこの2人はパッカーらしくないのか、と合点がいってしまった。大体バンコクに来てから、迷ったりしながら少しずつ成長するハズなのに、この2人には全く緊張感というものが感じられない。確かに見ていて大丈夫なんだろうかと思ってしまう。リゾートにすっかりハマッているのも頷ける。

彼女らと楽しい食事の後、オレは、泳ぐことにしてキーを彼女らに預けて入水した。海は無茶苦茶綺麗で、そして泳ぐと気持ちいい。泳いだり、海に浮かぶボートでぼーとしたり(しゃれじゃないよ)、岩場を覗いてみたり、浜辺の砂で遊んでみたり、チェアーで横になったり、リゾートを心ゆくまで楽しんでみた。その後、島の反対側に行ってみたくなってさまよい歩く、遠回りしながらもやっと見付けた岩場の斜面はここで夕日を見たら綺麗だろうなと思うところだった。彼女らも誘って見に行こうと思う。戻ってまた暫く砂浜でぼーっとして最後にひと泳ぎして、泳ぐのはもういいと思うぐらい楽しんで、バンガローに戻る。そして日が沈む頃、夕日を見に行こうと彼女達を誘った。夕方までは何をするともなくただぼーっとして過ごす。（つづく）

「サメット島」（1）