だいぶ間があいてしまいましたが、8月1日にコロナ陽性となった母のお話を書きたいと思います



     大腸癌末期、肝臓、肺にも転移がみとめられて余命1ヶ月くらいと言われた母


     7月19日に、かかりつけ医からの紹介で総合病院にて癌と診断されそのまま入院
     当初予定していたステント処置も、処置予定当日の検査で状態が悪く出来ないという判断となり·····



     ステント処置で、食事がとれるようになるから頑張ろう!
    食事がとれるようになったら、すぐに退院して家に帰るように先生にもお願いしたから!

     そうやって、母を説得して、本人も希望を持っていたのに



     突然、ステント処置はしなくても大丈夫です、という風に主治医から言われて
母本人もなんとなく、察していたのだろう



     ステント処置予定日の7月25日に、急遽家族が呼ばれて
主治医の先生からのお話
     ご本人とご家族の希望である、退院、自宅でのお見送りをするために
訪問看護や訪問診療の手配、自宅の環境整備を至急に進めていきましょう
となり


     7月29日の午前9時、福祉タクシーを使って
ストレッチャーのまま退院となった


     24時間点滴がついたまま


     それでも、本人は家に帰れたことを喜んだ



     今はまだ力が入らんから立てんけど、ちょっとでも食べるようになったら、歩いてトイレに行きたいねん


     入院して、4、5日目辺りに胃痙攣をおこしたらしいと本人との通話で聞いたが
その頃から、ベッド横に設置されていたポータブルトイレまでも動けなくなってしまい
紙オムツを使うようになっていた


 
     母からすれば、私にオムツ交換等の負担を 掛けまい、という気持ちが強かったのだろう



     29日、重湯を合計100CCほど飲んだ


     入院中は処方薬を飲むのもご機嫌次第で、飲んだり飲まなかったりをしていたらしいけど、退院してきてからは
自分からすすんで
朝、夕、しっかりと飲んだ


    良くなりたい、生きたい


    母の思いを感じた


     そんな中


    8月1日、コロナ陽性となってしまった



     その日の夕方、訪問看護ステーションの方から電話が来た


     入院していた病院のコロナ病棟に明日空きができること
    主治医の先生が、保健所に連絡して状況を説明し、こちらに入院をとお話を通してくださった、という内容だった


     ただでさえ弱りきっている時だったから、こんな早くに入院させてもらえる
    有難いお話です


     ベッドの母に、主治医の先生のおかげで
またあの病院のコロナ病棟に入院できるらしいから
よかったね


     入院したら、とりあえず安心


     コロナが良くなったら、また退院しておうちに帰れるしね


     母は入院したら殺される……と、横を向いてしまった


     入院中に、すでにせん妄が出ていたようで、退院前の数日、毎日面会の許可が出ていたので会いに行っていたが
     ありえないような話をしていた



     本人の希望で個室にいたのだけど、ひとりの病室で寂しく、怖い思いをしていたのだろう


     家で死にたいねん、と
横を向いたまま母が言った


    わかってるよ、コロナが治ったら退院出来るから
そしたら、また家に帰してもらう話になってるよ


      母は、もういい、と横を向いたままでつぶやいた



     8月2日、15時30分に病院に到着するように、民間救急車が迎えにきますので
    診察券、保険証、スマホを持ってこられるならスマホと充電器、紙オムツをカバンに入れて、救急車のスタッフに渡してください
と言われた


    救急車に同乗して付き添うことも出来ない



     マンションのエレベーターの中で、布担架にのっている母の手を握ると、ひんやりと冷たかった
    子供の頃に触れた母の手もいつもひんやりと冷たかった
    同じや
    お母ちゃんの手や
小さかった自分と、まだ若くて綺麗だった母を思い出して
     なぜか安心した