道後温泉のショーを観るための遠征で予讃線に乗る機会が増えた。乗り始めて最初の頃は、青春18きっぷ乗り通しで景色を眺めるだけだったが、そればかりだと芸がない。なので、今回は今治駅から途中下車をしながら松山へ向かうこととした。

 

前夜に大阪南港から乗ったオレンジフェリーが東予港へ着き、連絡バスで今治駅へ運ばれたのが7時過ぎ。ホームに上がると、7時20分発の松山行が停車中だった。

 

 

アンパンマンいしづち101号が先に発車して、乗り込んだ松山行も動き出す。7000系2両編成の車内は休日なので空いており、新人らしき車掌さんがこまめにというか、余裕なさげに行ったり来たりしていた。

 

10分ほど乗った大西駅で下車する。回収ポストにきっぷを入れようとしたら、先程の車掌さんが飛んできて回収。初々しい動きに立派な鉄道マンへの成長に期待する。

 

 

大西駅に降りたのは西方に「星の浦海浜公園」という名前を地図で見つけたからだ。朝食を食べてないので、海辺で優雅な時間を過ごせたらという魂胆である。大西駅の前の道は旧街道で、しばらく歩くと一理塚の道標があった。

 

 

近くのローソン今治大西町店で食材を購入して、再び歩き出す。地図で見るのと実際に歩く感覚がこうも違うのかと思いながら「星の浦海浜公園」へは45分くらいかかって到着。さっそく用を足そうとトイレに入ると虫だらけでぞっとする。大便をもよおさなくで良かった。

 

トイレの惨状とはうってかわって、景色は良好だ。正面に「新来島どっく」の建造船が見える。検索してみると自動車運搬船みたいだ。一隻の船が分割しているように見えるが、あれで二隻らしい。特異な形状が自動車運搬船を表している。

 

 

造船の町らしい風景を眺めながら一杯やっていると、犬の散歩の人々が何組か通り過ぎ、そのうちの1人はゴミを袋に詰めながら行動していた。私もゴミは当然持ち帰る。1時間30分程の滞在で腰をあげ、大西駅へ向かう。帰りは日差しが照りつけ、汗をにじませながらの復路だった。

 

大西駅10時19分発の列車に乗ったが、空席を見つけてすぐ眠りにつく。

 

 

30近くの乗車(仮眠)ののち、伊予北条駅に降りた。次は国立公園・北条鹿島へ向かう。

 

 

 

 

駅から10分足らずの北条港から、船でわずか3分。釣り人や家族連れと一緒に鹿島へ上陸。

 

 

降り立った瞬間「昼寝できるぞー」と心の中で叫んだ。島は遊歩道が整備されているが、落石の危険があるため、海水浴場の先で通行止めになっていた。通行止めの前で海を眺めると夫婦岩が見えた。この界隈は小さな島が点在し、九州航路の難所と呼べる地域の一角だ。

 

 

昼寝の場所はいくらでもあったが、風が強い。昼寝は見合わせ、鹿園へシカを眺めに行く。「小鹿がいますよ」と地元の方に声をかけられるが、「え、グレート小鹿?」と心の中で往年のプロレスラーの名前を呟く。

 

 

小雨がぱらつきだしたので、屋根のあるベンチへ移動。することがなくなったのでやっぱり寝ようとゴロンとなるが、風雨が強くて眠れない。しばらくぼんやりしていると、あとから来た家族連れがバーベキューを始めた。北条鹿島はバーベキュー推奨の島でセットの貸し出しを行っている。しかし、この悪天候でするかねと少し呆れ気味に様子を眺めていると、しばらくして良い匂いが漂ってきた。ベンチにいても雨が気になりだしたので、レストハウスへ駆け込む。ホットコーヒーで一息ついた。

 

 

レストハウスのメニューは多彩で、アルコールもある。愛想のよい女性スタッフさんと先客の家族連れとの会話を微笑ましく眺めたあと、私も外へ出た。雨は止んでいた。

そろそろ帰る時間になり、再び渡船で北条港へ戻る。渡船は往復210円という安さで、便数も多い。

 

 

北條鹿島は地元の方々も親しまれ、喧噪から逃れるには持ってこいの良き時間であった。

 

伊予北条駅へ戻ると列車が出た後で、約50分の待ち合わせ。もう動き回る元気はないので、ベンチでうたた寝しながら過ごした。14時50分発に乗ると、まっすぐ松山へ向かい15時13分着。

 

 

松山駅は高架工事がほぼ完了して、あとは切り替えを待つばかりとなっている。

 

 

高架新駅には移転しない老舗のカレーショップデリーさんで腹ごしらえして、今回の行程は終了。

 

 

もうしばらく松山通いが続くので、松山駅の変貌を見守っていきたいと思いながら、道後温泉行きの伊予鉄市内電車に乗り込んだ