『男はつらいよ お帰り寅さん』を観てきました。
全48+1作つくられた、『男はつらいよ』の22年ぶりの・・新作?・・
寅さんの甥っ子、満男くん(諏訪満男)を中心に、かつての『とらや』の面々と、幾多のマドンナの中でも特別な存在・・リリーさん―
そして、偶然再会した満男くんの初恋の相手・・『泉ちゃん』との・・
楽しく悲しくささやかな物語です。

満男くんと泉ちゃんは、1995年公開された第48作目『寅次郎 紅の花』でそのままくっ付いたのかと思われましたが・・
結局別れてしまったようで、現在はそれぞれ結婚して子供もいます。

山田洋次監督は、『男はつらいよ』を50作まで作る予定でおり、満男と泉を結婚させるつもりでいた・・と前に聞いた事があります。
結局その前に渥美さんが亡くなってしまい・・
二人の運命を変えてしまったんですねえ・・

 


満男くんは脱サラしてなぜか作家になっていました(唐突すぎる設定・・これは三丁目の夕日と何か関係が?)
中学生の娘と二人暮らしで、奥さんは6年前に亡くなっています。
作家としてはようやく芽が出始めましたが、奥さんを失った胸の痛みをまだ癒せずにいます。
寂しさに躓きそうになるたび、想い出すのは『とらや』の人達と過ごした賑やかな日々・・そして―
懐かしい・・四角い顔の『ぼくの伯父さん』―

一方の泉ちゃんは日本を離れ、難民問題に取り組む国連の職員として働いていました。
たまたま仕事で日本を訪れ、書店で満男くんのサイン会に遭遇します。
こうして、かつて恋仲だったオジさんとオバさんの・・愛とも恋ともつかない・・淡く切ない三日間の物語が始まります。

 


自分は『男はつらいよ』のファンというより、満男くんと泉ちゃんのファンでした。
毎年正月に欠かさずに劇場で観るようになったのは、第42作『ぼくの伯父さん』からです。
ですから今回のこの二人を中心に展開するストーリーは感激するばかり。
正月にまた『男はつらいよ』のこんな物語を観れて・・至福です・・

1997年公開の49作目は、過去の作品にちょっとプラスアルファしただけの、やっつけ企画モノと言っても過言ではない作品でしたが―
今回はちゃんと現在の『とらや』の人々と満男くん、泉ちゃんをしっかり描いたちゃんとした映画として作られていたのでホッとしました。
もちろん、過去の寅さんの映像はそこそこ出てきますが、多すぎず少なすぎず、ちょうどいい具合です。
そして寅さんのセリフの一つ一つが・・・・沁みる・・
満男くんと泉ちゃんの現在の映像と過去の映像が・・何とも感慨深くウルウルでした。

その他映画の感想をすこし並べてみると・・・

昔はあまり関心なかったけど・・倍賞千恵子さんてムチャクチャキレイだったなあ・・

リリーさんも綺麗だったなあ・・

美保純・・この人変わらんなあ・・

吉岡秀隆の眼の演技がちょっと怖かった・・

あれ?・・・・寺尾聡・・・・・・

なぜか評判の悪い桑田佳祐主題歌―
自分は桑田佳祐のファンでも何でもないけど、別に悪くないと思うけどなあ・・
彼は寅さんが好きなんだろうなあ・・という事が伝わってきたし・・
強いて言えば、もうちょっと凝った映像が欲しかったかな


さて、さすがにこれで寅さんの物語も完結でしょうかね。
もう新作は作られないかもしれませんが・・
これからもこの『男はつらいよ』という壮大な物語(?)は語り継がれ・・人びとの心を掴み続け・・柴又および帝釈天を支え続けて行くんでしょうね。