★★★★☆


今日の麻生首相の夕方6時からの会見見ました?

あの経済政策(?)は、バラマキ以外の何者でもないですよね。

ひとり一万五千円上げるから次の選挙では自民党に投票してください、と言っているようなもの。

いかにもお金持ちの麻生さんが、「ま、これくらい上げときゃいいでしょ」(麻生さんのお金じゃないですけど!)と言ってる様で、国民を小バカにした施策としかいいようがないですなあ。


今年ノーベル賞を受賞した経済学者クルーグマンだったら何て言うだろう?と思わず考えてしまいました。

いかに偽の経済理論を政治に利用する人の多いことか。

今回のバラマキだって、経済的な効果はいかがなものでしょうか。

日本の経済学者、立ち上がれ!


というわけで、私はもの言う経済学者クルーグマンの昔からのファンなのです。

本書もいかに偽の経済学の理解が政治に利用されているかを鮮やかに、そして思いっきりの毒舌で暴いております。

惜しむらくは、経済学初心者の私のような読者のために、もうちょっと基礎的なところもしっかり説明してほしいでーす。

グローバル経済を動かす愚かな人々/ポール クルーグマン
¥1,890
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★★★☆☆


上野でフェルメール展を観てきました。

混雑で身動きできないほどかと思ったら、平日の午前中だったせいか、それほどでもなかったですよ。

同時代の作家の絵と比べると、フェルメールは明らかに洗練されて、技法の頂点を極めた感じでした。

しかしあまりに「一生に一度のチャンス!!」とかって刷り込まれていたため、絵に感動したというより、「一生に一度のチャンスを逃さなくて取り合えずよかったなあパンダ」という安堵感が先にたちますね。


で、今回の鑑賞に先立ち、予習として『真珠の耳飾りの少女』を読みました。

前に映画を観て途中で寝てしまったのですが、小説はいけるかもと思い、再度チャレンジ!

いちおう読破したのですが、映画とそう変わらないです・・・。

内容は題名になっているフェルメールの絵から連想された物語ですが、よくまあここまで色々想像できるなあと関心。

時代背景は参考になりましたが、小説に出てくる絵のエピソードが実際とは違っていたりして、フェルメール展で連れにしたり顔で解説したのはフィクションだったのか・・・とあとがきを読んだとき気付きました(あは汗)。


でもフェルメール展鑑賞とセットで読むと、急にオランダへ行ってみたくなったりするんですよねー。

真珠の耳飾りの少女 (白水Uブックス)/トレイシー シュヴァリエ
¥998
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アメリカのお土産に雑誌を買ってきて、と母に頼んだら、「???」なセレクトの雑誌が・・・

でも早速その中から、有名人ゴシップ専門誌『Star』をピック(笑)!


最新号は、アンジェリーナ・ジョリーが双子を産んだあとのカムバックが目玉。

・髪の毛を染めて、

・お腹の脂肪を吸引し、

・唇にも何か注入し、

「双子を産んだとは思えないほどゴージャスになってカムバックベル」!とのこと。

いまや7歳の養子男の子をカシラに6人の子の母であるアンジー。

出演した映画のプレミア・ナイトの前には、良き父・良き夫のブラピが、子供たちを指揮して「ママ、がんばってね!」ポスターの作成をしたとか。

そのブラピは、「紹介したセラピーが功を奏し、アンジーが精神的に安定していて嬉しい」のだそうだ。


女優って大変だなあ。


この雑誌、悪びれないゴシップ専門誌なところがビミョーに好きで、頭をカラッポにしたいときとかについ手に取ってしまいます(笑)。


star (画像がなかったので別の号です)




★★★★☆


鴻巣友季子さんの訳です。

あれ、この作者ブッカー賞2度受賞した上に2003年のノーベル文学賞も取ってますよね。

『恥辱』は2度目のブッカー賞を受賞した作品です。


主人公は、南アフリカはケープタウンの大学で言語学を教える教授。

ある日、教え子に手を出し、セクハラで訴えられ、失職ガーン

レズビアンでヒッピー(?)な娘の経営する片田舎の農園へやって来た。

アフリカ人の土地で白人農場主としてやっていこうと奮闘する娘のもとでしばらく隠居するも、そこに事件が・・・


まあ欲望のむくまま好き放題生きてきた主人公がセクハラ告訴を機に転落する、というストーリーですが、一番興味深かったのは背景の南アフリカの生活です。

隣国ジンバブエで、黒人が白人農場を乗っ取るというニュースがありましたが、そういうところなんだあ、と改めて思いました。

2000年の受賞当時、ブッカー賞審査委員長は、「力の発信源が西欧から離れていく新世紀を予感させる、ある意味で千年期にふさわしい作品」と評したそうだが、その通り。

本作品とは別に、このコメント自体も含蓄があると思いました。

恥辱 (ハヤカワepi文庫 ク 5-1)/J.M.クッツェー
¥798
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★★☆☆☆


鴻巣(こうのす)友季子さんは、翻訳家です。

(ところで「こうのす」で漢字変換するとすぐ正しい字が出てくるのですが、けっこう普通の字なんでしょうか?)

エッセイストのエッセイは、

「ピンきり。」

という印象が拭えないのですが、翻訳家のエッセイは、教養レベルが高くて好き。

(話はずれるが、よく外語大出身者は優秀、って言いますよね。

並み居る優秀な大学の中でなぜ、と聞いたら、

「語学はごまかせないので、マジメに勉強しなくては卒業できないから」とのことメガネ

米原麻里さんも好きだったし、須賀敦子さんもちょっと前までずいぶん好きだった。


で、鴻巣さんは、『嵐が丘』も翻訳されている、非常にインテリな方です。

・・・というのは本書を通じてわかったんだけど、エッセイとしては非常に独りよがりかな。

ユーモアを混ぜて書いているのに、どうして面白くないんだろ。

途中を飛ばしてあとがきを読んだら、「生と死と言語の根っこにいきついた」と書かれていたが、それ自体は面白そうなトピックスなのに、なぜか読む気がしないのよね・・・

もしかしたら(失礼ながら)彼女自身に興味が持てないのかも??


でも翻訳のお仕事の方の作品には興味があるので、明日は翻訳されたうちの一冊をレビューします。

孕むことば/鴻巣 友季子
¥1,575
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★★★★★


ブッカー賞受賞作家によるこの作品は、映画化もされていて、先日DVDで観たのをきっかけに原作も読んでみました本


う~ん、久しぶりに良い文学作品に出会ったな、という感じ。

映画も美男美女と美しい映像で素敵ですが、かなり読み応えのあるこの小説も、読んだあとしばらく余韻に浸れます。


舞台は、第二次世界大戦突入間近のイギリス。

成り上がり貴族の娘セシーリアと、その家の家政婦の息子ロビーが、幼なじみ→お互いに対する恋心に気付く、というところから物語ははじまります。

ところが、セシーリアの妹ブライオニーのロビーに対する思い違いから、ロビーはセシーリアたちの家に居候していたいとこの強姦犯に仕立て上げられてしまうのです。

ロビーは、セシーリアの父親から奨学金を得てケンブリッジ大学を良い成績で卒業し、さらには医学校に進学しようという未来ある青年であったのに、13歳のブライオニーの誤った告発で、すべてをふいにしてしまう。

この事件で、セシーリアは家族との縁を断ち、志願して看護婦に。

ロビーは、刑務所に何年か服役したあと、歩兵としてフランスへ。

ブライオニーは、自分の子供じみた誤解が、愛し合うふたりの仲を引き裂いてしまった・・・取り返しのつかないことをしてしまった・・・ということに気付きます。


タイトルの「贖罪」は、ブライオニーの罪の意識を指しており、取り返しのつかないことをしてしまった責任をどう人は取ることができるのか、という問いかけがされています。

ロビーとセシーリアの純愛もステキドキドキ


しかし、背景になっているフランスからのイギリス軍の撤退のシーンや、ロンドンでの負傷兵の受け入れ病院の場面なんか読むと、すごく生々しくて、戦争も惨さを実感しますね・・・


贖罪 上巻 (1) (新潮文庫 マ 28-3)/イアン・マキューアン
¥580
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贖罪 下巻 (2) (新潮文庫 マ 28-4)/イアン・マキューアン
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DVDもオススメ

つぐない
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★★★★☆


ちなみに独断と偏見で私が思う料理本を選ぶコツは:

女性料理研究家>男性シェフ@有名レストラン

どんなに「家庭で作れる・・・」と謳っていても、男性シェフの料理は材料や手順が面倒。

そんな簡単に家で作れたら、商売あがったりですもんね。

反面、主婦でもある女性研究家だと、余計な手間や材料を使わない合理的なレシピが多い。

②著者が60代前

おばあちゃんのレシピで料理すれば、(当たり前だが)おばあちゃんの料理になってしまいます。

あと、古い世代だと今どき和食に味の素使ってたりすることも。

私は、おじいちゃんにごはんを作るときは、”ばあば”こと鈴木登紀子さんのレシピを参照します。

それはそれでおいしいんだけど。

③美味しいものをたくさん食べている人の本を買う

栗原はるみさんの古典、『ごちそうさまをききたくて』は手軽で失敗なしだと思うけど、

「そんな贅沢なものあんまり食べたことないんだなあ」という感じ。

焼肉のタレで肉じゃがとか・・・

その点、井上絵美さんは、食いしんぼと本人が言うだけあって、グルメな人にも出せるレシピ。


内田恭子さんは料理研究家でもないし、というか完全素人で、しかもこの本を見る限り、そんなに料理上手って感じでもないです。(料理上手な主婦ってたくさんいるからね~)

じゃあこの本は何?っていうと、フードスタイリストが作った彼女のPR本かな?


いずれにせよ、私は内田恭子ファンでもないので、彼女が料理できるかとかはどうでもいいんです。

ただ上記②、③、そしてあんまり料理しなさそうな人(→私レベル)でも作れる簡単でおいしいレシピがあるかなあと思って何コかレシピを試してみました。


そうしたら!いまのところ全てアタリクラッカー

餃子鍋の「冷凍水餃子」が今のご時勢どこにもなくて、これは大好きなウー・ウェンさんの水餃子レシピを使って手作りしましたが・・・

特に塩ちゃんこはおいしくて、盛り上がりました。

半分くらい「お取り寄せ」や「内田恭子の好きなもの」みたいな内容だったので、レシピ数はあまりありませんが、簡単で見栄えがするお料理が多く、オススメですラブラブ

内田恭子のやさしいおもてなし/内田 恭子
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★★★★☆


自分が歴史を知らなさ過ぎなので、お勉強メガネ と思い、手にしました。


読み終わってみてー

自分の歴史認識がいかに西洋中心だったか、と目からウロコ・・・

ルネサンス以降の西洋については、あんなに勉強するのに、

それとパラで走っていた(それより前からあったし)大帝国についてはほとんど知らないのを実感しました。


内容は、オスマン帝国の興亡の「興」の部分がほとんどで、

帝国が滅亡していくところは、その原因の示唆にとどまっています。

つまり、西洋から入ってきたナショナリズムの考えが、

多民族・多宗教(メインはイスラムだけど)でゆる~くまとまっていた帝国をおびやかしていくというもの。


自分のアイデンティティー(伝統やうけつがれていくもの)を大切にするのは重要だと思うが、

それを主張しすぎて他のアイデンティティーを否定するのもなあ。

ナショナリズムって、定義からして対立するものであるような気がするので、

あまりそれを意識しすぎると、現代のトルコでもそうだし、世界各地でおこっているような排他的な運動につながりかねない。


できれば「おわりに」みたいな一章を最後に入れて、帝国滅亡の最後の部分についても

もうちょっと突っ込んだ説明なり解釈なりが欲しかった。

やっぱりタイトルからして、「これ一冊読めばオスマン帝国のあらましがわかる!」という期待をして読むのですから。



オスマン帝国―イスラム世界の「柔らかい専制」 (講談社現代新書)/鈴木 董

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