結城郡は現在の茨城県結城市と古河市、八千代町、栃木県小山市の一部にあたる。
【和名抄】の訓は「由不岐」。余戸あまるべ、小埇おそね、高橋たかはし、茂侶もろ、結城ゆうきの5郷があった。
明治22年の町村制施行時には江川村えがわ、上山川村かみやまかわ、絹川村きぬがわ、下結城村しもゆうき、名崎村なさき、中結城村なかゆうき、山川村やまかわ、結城町ゆうきの1町7村があった。
式内社に高椅神社、健田神社がある。
地名の由来は穀木(かじのき)がよく生育する土地であったことにより、この木の皮を加工し糸にしたものを木綿(ゆう)といったことから、ユウの木が自生するのに適した地という意味で名付けられたか。または「ユ」は水の意味、「フキ」は「フケ」の転訛で湿地を指すか。
下総国結城郡5郷
1.余戸郷あまるべのごう
平安期にあった郷。比定地は江戸期の結城郡仁連村・猿島郡諸川村にある「ゴヘイ」の地という説、下結城村、名崎村とする説があるが、未詳。律制令の村落制度では一里(郷)を50戸で編成とされていたが、編戸にあたり9戸の超過を認めていた。それ以上の場合は新たに準里戸集団としての余部里(郷)を設ける特例を定めていた。後年、その余部が地名となった。
2.小埇郷おそねのごう
奈良期にあった郷。小塩郷とも。比定地は八千代町塩本付近とする説、結城市南部とする説がある。「オ」は接頭語、「ソネ」は石などがごろごろした地の意味。
3.高橋郷たかはしのごう
平安期にあった郷、比定地は小山市高椅・中島・福良・中河原・梁・延島・延島新田を含む一帯。式内社の高椅神社がある。地名は橋脚を高く設けた橋のことで架橋されたことによるものか、または「タカ(高)・ハシ(端)」で台地の端を指したものか。
4.茂侶郷もろのごう
平安期にあった郷。比定地は結城市東茂呂・北南茂呂の辺り。付近に稲荷塚古墳、堂塚古墳、尾崎古墳群がある。地名の「モロ」には二つ並んだという意味があり、丘の並んだ地のことか。または「脆し」と関係し崩れやすい自然堤防を指したものか。
5.結城郷ゆうきのごう
平安期にあった郷。比定地は結城町とする説、結城市鹿窪・矢畑・上山川・山川とする説がある。付近には結城廃寺跡・八幡瓦窯跡・万松寺遺跡・須久保塚古墳・上山川古墳群・愛宕塚古墳・富士浅間塚古墳・水海道遺跡などがある。地名は穀木(かじのき)がよく生育する土地であったことにより、この木の皮を加工し糸にしたものを木綿(ゆう)といったことから、ユウの木が自生するのに適した地という意味で名付けられたか。または「ユ」は水の意味、「フキ」は「フケ」の転訛で湿地を指すか。
結城郡1町7村
1.江川村えがわ
【合併地】上成村うえなし、大木村おおき、大町新田おおまちしんでん、七五三場村しめば、武井村たけい、田間村たま、東茂呂村ひがしもろ、北南茂呂村ほくなんもろ
【現在地】茨城県結城市、古河市
【地名の由来】村域内を流れる江川にちなむ
【成立時期】明治22年
2.上山川村かみやまかわ
【合併地】上山川村かみやまかわ、矢畑村やばた
【現在地】茨城県結城市
【地名の由来】「上」を冠するのは同じ名の村が別にあったためか、「ヤマカワ」は山と川のある一つの地域の呼名か
【成立時期】江戸期
3.絹川村きぬがわ
【合併地】鹿窪村かなくぼ、久保田村くぼた、小森村こもり、中村なか、林村はやし
【現在地】茨城県結城市
【地名の由来】鬼怒川にちなむ
【成立時期】明治22年
4.下結城村しもゆうき
【合併地】大戸新田おおどしんでん、平塚村ひらつか、松本村まつもと、水口村みのくち
【現在地】茨城県結城郡八千代町
【地名の由来結城郡の下部に位置したことによる】
【成立時期】明治22年
5.名崎村なさき
【合併地】江口村えぐち、尾崎村おさき、尾崎新田おさきしんでん、恩名村おんな、長左衛門新田ちょうざえもんしんでん、成田新田なりたしんでん、水口新田みのくちしんでん
【現在地】茨城県古河市、結城郡八千代町
【地名の由来】尾崎村と恩名村から一字ずつ採った合成地名
【成立時期】明治22年
6.中結城村なかゆうき
【合併地】大山村おおやま、粕礼新田かすれいしんでん、佐野村さの、塩本村しおもと、下山川村しもやまかわ、菅ノ谷村すげのや、瀬戸井村せとい、兵庫新田ひょうごしんでん
【現在地】茨城県結城郡八千代町
【地名の由来】結城郡の中央に位置することによる
【成立時期】明治22年
7.山川村やまかわ
【合併地】今宿村いまじゅく、粕礼村かすれい、山王村さんのう、新宿村しんじゅく、新宿新田しんじゅくしんでん、善右衛門新田ぜんえもんしんでん、芳ヶ崎村はがさき、浜野辺村はまのべ、古宿新田ふるじゅくしんでん、水海道村みっかいどう
【現在地】茨城県結城市
【地名の由来】かつて存在した山河荘、山川藩にちなむ
【成立時期】明治22年
8.結城町ゆうき
【合併地】大谷瀬村おおやぜ、小田林村おだばやし、五助村ごすけ、結城町ゆうき
【現在地】茨城県結城市、栃木県小山市
【地名の由来】地名の由来は穀木(かじのき)がよく生育する土地であったことにより、この木の皮を加工し糸にしたものを木綿(ゆう)といったことから、ユウの木が自生するのに適した地という意味で名付けられたか または「ユ」は水の意味、「フキ」は「フケ」の転訛で湿地を指すか
【成立時期】平安期
参考文献