南葛飾郡みなみかつしか | 未知の駅 總フサ

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千葉県=東国は蘇我氏に縁の地であったという痕跡を探し、伝承・神社・古墳など諸々を調べています。

百嶋神社考古学にご興味を持たれた方はブックマークの「新ひぼろぎ逍遥」さんを訪ねてみてください。

現在の東京都墨田区・江東区・葛飾区・江戸川区の一部にあたる。
往古は葛餝郡と書いた。のちに葛飾郡は明治期になり東・西・南・北・中葛飾郡に分裂、旧地域は東京都・埼玉県・茨城県・栃木県にまたがる。
【和名抄】の訓は「加止志加」、【万葉集】は「可豆思加」「可都思加」、「勝鹿」とも書いた。
葛餝郡には余部あまるべ、栗原郷くりはら、桑原郷くわはら、豊嶋郷としま、度毛郷とも、新居郷にいい、八嶋郷やしまの7郷があった(詳細は東葛飾郡を参照)。
南葛飾郡は中世に葛西・葛東に分れ、江戸期の利根川の流路工事により武蔵国に移管された地域で、明治22年の町村制施行時に吾嬬村あがつま、一之江村いちのえ、大木村おおき、大島村おおしま、奥戸村おくど、葛西村かさい、亀青村かめあお、金町村かねまち、亀戸村かめいど、小岩村こいわ、小松川村こまつがわ、鹿本村しかもと、篠崎村しのざき、砂村すな、隅田村すみだ、立石村たていし、寺島村てらしま、新宿町にいじゅく、平井村ひらい、船堀村ふなほり、松江村まつえ、瑞穂村みずほ、水元村みずもと、南綾瀬村みなみあやせの1町23村があった。なお本所地区・深川地区は明治11年に郡から離脱し東京市に編入されている。
地名の由来は葛が生い茂る地であったことにちなむとする説、「かとしき(門敷)」の転訛で古利根川下流の入江の門戸の低湿地を開拓して集落ができたことにちなむとする説などがある。


南葛飾郡1町23村
1.吾嬬村あづま
【合併地】葛西川村かさいがわ、小村井村こむらい と請地村うけち・大畑村おおはた・亀戸村かめいど・須崎村すさき・寺島村てらしま の各一部
【現在地】東京都墨田区
【地名の由来】吾嬬神社があったことによる 吾嬬の地名は吾妻橋として残る
【成立時期】明治22年

2.一之江村いちのえ
【合併地】一ノ江新田いちのえしんでん、新堀村にいほり、東一ノ江村ひがしいちのえ と鹿骨村ししぼね・谷河内村やごうち の各一部
【現在地】東京都江戸川区
【地名の由来】「江」は用水路として使用される川という意味があり、その一番目の川が流れていたことにちなむか
【成立時期】江戸期

3.大木村おおき
【合併地】下木下川村しもきねがわ と大畑村おおはた・上木下川村かみきねがわ・木ノ下村きのした の大部分、及び請地村飛地うけじ・川端村飛地かわばた・渋江村飛地しぶえ・須崎村飛地すさき・善左衛門村飛地ぜんざえもん・寺島村飛地てらしま
【現在地】東京都墨田区、葛飾区 大木の地名は現存しない
【地名の由来】合併の中心になった4村から一字を採った合成地名
【成立時期】明治22年

4.大島村おおじま
【合併地】小名木村おなぎ、平方村ひらかた六間堀出村ろっけんぼりで と大島村おおじま・亀戸村飛地かめいど・北本所出村きたほんじょで・小梅村飛地こうめ・猿江村さるえ・須崎村飛地すさき・中ノ郷出村なかのごうで・深川出村ふかがわで・深川本村ふかがわほん・南本所出村みなみほんじょで の各一部、及び東京市深川区深川上大島町ふかがわかみおおじま・同区深川下大島町ふかがわしもおおじま
【現在地】東京都江東区
【地名の由来】大島と名のつく地が多かったので新村の名称に用いたか 「大島」は海岸の低湿地を開発して出来た村で比較的大きな島であったことから名付けられたという
【成立時期】江戸期

5.奥戸村おくど
【合併地】奥戸村おくど、奥戸新田おくどしんでん、鎌倉新田かまくらしんでん、上小松村かみこまつ、下小松村しもこまつ、細田村ほそだ、曲金村まがね と上一色村飛地かみいっしき・新宿町飛地しんしゅく の各一部
【現在地】東京都葛飾区
【地名の由来】舟による運搬が発達していたことから「奥津」が転訛して「奥戸」となったと考えられている
【成立時期】明治22年

6.葛西村かさい
【合併地】長島村ながしま、東宇喜田村ひがしうきた と桑川村くわかわ・下今井村しもいまい・西宇喜田村にしうきた・二ノ江村にのえ の各一部
【現在地】東京都江戸川区 葛西の地名は北葛西・南葛西として残る
【地名の由来】中世に葛西氏が拠ったことにちなむか
【成立時期】明治22年

7.亀青村かめあお
【合併地】青戸村あおと と亀有村かめあり・下千葉村飛地しもちば・砂原村すなはら の各一部
【現在地】東京都葛飾区 亀青の地名は現存しないが旧村域の学校名などに残る
【地名の由来】亀有村と青戸村から一字ずつ採った合成地名
【成立時期】明治22年

8.金町村かなまち
【合併地】金町村かなまち、柴又村しばまた
【現在地】東京都葛飾区
【地名の由来】「カナ」は「カネ(曲)」の転訛で川の曲がった所を指したものか、「マチ」は集落のこと
【成立時期】室町期

9.亀戸村かめいど
【合併地】押上村飛地おしかみ・亀戸村かめいど・北本所出村飛地きたほんじょでむら・小梅村飛地こうめ・中ノ郷村飛地なかのごう・深川出村飛地ふかがわでむら・南本所出村飛地みなみほんじょでむら・柳島村やなぎしま の各一部と東京都本所区亀戸町かめいど、同区本所瓦町ほんじょかわら、同区本所五ノ橋町ほんじょごのはし、同区本所松代町4丁目ほんじょまつしろ
【現在地】東京都江東区
【地名の由来】もとは亀島という亀の甲羅の形に似た地形の島であった 後に亀村となったものが現亀戸3丁目付近にあった亀ヶ井と混同され亀井戸と呼ばれるようになり、井の字が抜けて亀戸と変化したという
【成立時期】江戸期

10.小岩村こいわ
【合併地】伊予田村いよだ、上小岩村かみこいわ、小岩田村こいわた、下小岩村しもこいわ、中小岩村なかこいわ、
【現在地】東京都江戸川区
【地名の由来】古代は「甲和」で転訛して「小岩」になったという 「コウワ」は「コ」が美称、「ウワ」は「フハ」の転訛でふわふわした柔らかい土地のことか
【成立時期】江戸期

11.小松川村こまつがわ
【合併地】逆井村さかい と西小松川村にしこまつがわ・東小松川村ひがしこまつがわ の各一部
【現在地】東京都江戸川区
【地名の由来】「コマ(川の屈曲点の意味」・ツ(接尾語)」で荒川の曲流部に位置することによるか
【成立時期】江戸期

12.鹿本村しかもと
【合併地】興ノ宮村おきのみや、松本村まつもと、本一色村もといっしき と上一色村かみいっしき・鹿骨村ししぼね・谷河内村やごうち の各一部
【現在地】東京都江戸川区 鹿本の地名は現存しないが旧村域の学校名などに残る
【地名の由来】合併した鹿骨村、本一色村、松本村から一字ずつ採った合成地名
【成立時期】明治22年

13.篠崎村しのざき
【合併地】伊勢屋村いせや、上鎌田村かみかまた、上篠崎村かみしのざき、笹ヶ崎村ささがざき、下篠崎村しもしのざき と鹿骨村ししぼね の一部
【現在地】東京都江戸川区
【地名の由来】上篠崎村、下篠崎村から採った 「篠崎」は砂洲上で篠笹が群生していた地の意味
【成立時期】江戸期

14.砂村すな
【合併地】大塚新田おおつかしんでん、荻新田おぎしんでん、亀高村かめたか、治兵衛新田じへえしんでん、砂村新田すなむらしんでん、太郎兵衛新田たろうべえしんでん、中田新田なかたしんでん、八郎右衛門新田はちろうえもんしんでん、又兵衛新田またべえしんでん と永代新田えいだいしんでん・久左衛門新田きゅうざえもんしんでん・八右衛門新田はちうえもんしんでん・平井新田ひらいしんでん・南本所出村飛地みなみほんじょでむら の各一部
【現在地】東京都江東区
【地名の由来】当地を開拓した砂村新左衛門一族の名を採り砂町と命名
【成立時期】江戸期

15.隅田村すみだ
【合併地】上木下川村飛地かみきねがわ・木ノ下村飛地きのした・篠原村飛地しのはら・隅田村すみだ・善左衛門村ぜんざえもん・堀切村飛地ほりきり・四ツ木村飛地よつき・若宮村わかみや の各一部
【現在地】東京都墨田区
【地名の由来】「スダ」とも読み須田・墨田とも書いたことから砂洲の地を指したか、または端の土地の意味か
【成立時期】南北朝期

16.立石村たていし
【合併地】淡野須村あわのす、梅田村うめだ、宝木塚村たからきづか、立石村たていし、中原村なかはら、原村はら と川端村かわばた・篠原村しのはら・渋江村しぶえ・四ツ木村よつぎ・若宮村わかみや の各一部
【現在地】東京都葛飾区
【地名の由来】立石8丁目にある「立石様」と呼ばれる石に由来 往古よりこの地にあり様々な伝説を生んでいる
【成立時期】室町期

17.寺島村てらしま
【合併地】請地村うけじ・大畑村おおはた・須崎村すさき・隅田村すみだ・寺島村てらしま・中ノ郷村なかのごう・若宮村わかみや の各一部
【現在地】東京都墨田区 寺島の地名は現存しないが旧村内の学校名などに残る
【地名の由来】寺院が多く建立されていたことにちなむ
【成立時期】室町期

18.新宿町にいじゅく
【合併地】単独で町となる
【現在地】東京都葛飾区
【地名の由来】新しくできた宿場を指した言葉
【成立時期】江戸期

19.平井村ひらい
【合併地】上平井村かみひらい、下平井村しもひらい、中平井村なかひらい
【現在地】東京都江戸川区、葛飾区 江戸川区には地名が残る 葛飾区は失われたが学校名などに残る
【地名の由来】「ヒラ」は傾斜地や平坦な地の意味で「イ」は川を指す
【成立時期】戦国期

20.船堀村ふなぼり
【合併地】西船堀村にしふなぼり、東船堀村ひがしふなぼり と桑川村くわかわ・西一ノ江村飛地にしいちのえ・西宇喜多村にしうきた・西小松川村にしこまつがわ・東小松川村ひがしこまつがわ の各一部
【現在地】東京都江戸川区
【地名の由来】「船堀」は船が通る水路の意味 地域を通る新川がその水路であったか
【成立時期】江戸期

21.松江村まつえ
【合併地】西一ノ江村にしいちのえ、西小松川村にしこまつがわ、東小松川村ひがしこまつがわ の各一部
【現在地】東京都江戸川区
【地名の由来】西一ノ江村と東西小松川から一字ずつ採って命名
【成立時期】明治22年

22.瑞穂村みずほ
【合併地】上今井村かみいまい、下鎌田村しもかまた、当代島村とうだいじま、前野村まえの と下今井村しもいまい・二ノ江村にのえ の各一部
【現在地】東京都江戸川区 瑞穂の地名は現存しないが橋脚名に残る
【地名の由来】新村立ち上げに伴い豊かになることを記念しての命名か
【成立時期】明治22年

23.水元村みずもと
【合併地】飯塚村いいづか、上小合村かみこあい、小合新田こあいしんでん、下小合村しもこあい、猿ヶ又村さるがまた
【現在地】東京都葛飾区
【地名の由来】周囲を中川、江戸川、大場川に囲まれている地勢によるか
【成立時期】明治22年

24.南綾瀬村みなみあやせ
【合併地】上千葉村かみちば、小菅村こすげ、小谷野村こやの、柳原村やなはら と亀有村飛地かめあり・下千葉村しもちば・砂原村飛地すなはら・隅田村すみだ・堀切村ほりきた の各一部
【現在地】東京都葛飾区 南綾瀬の地名は現存しないが旧村域の学校名に残る
【地名の由来】綾瀬川にちなむか
【成立時期】明治22年

 

参考文献