ロングドリーム
ロングドリーム
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本は人の人生を数時間で見ることのできる素晴らしい媒体である、といった内容の言葉をよく耳にしますが、僕も同感です。前に、ホストの世界という本を読んだ時に自分にとっては関係のない世界について知ることができて感動したのがきっかけでいろいろな業界の本を読んでみようと考え出しました。特に、水商売については、今までもこれからもあまり関わることはないであろうということで、本からだけでも情報収集しようと思って手に取った本がこの一冊です。
帯には、元六本木No.1キャバクラ嬢の「チャンスをつかむ」方法と書かれていて自己啓発書としても参考になるかな、という感じで読み始めたのですが、この本はエッセイとして捉えた方が良いかもしれません。エッセイだからといって評価が下というわけではなく、如月舞さんという一人の人間の生き様や価値観が綴られた書として読んでいった方が得るものが大きいのではないかと思うからです。
前半は彼女の生い立ちから現在まで書かれています。後半は彼女の経験を元にした恋愛指南書が書かれています。一冊まるまる自伝とするよりはメリハリが生まれて良かったのではないかと思います。
恵まれない(基準をどこにおくかによりますが)家庭で育った彼女は様々な経験をします。親の何度もの離婚、エイズ疑惑による自殺未遂、デートクラブの経営など。少し大げさに書かれているようにも感じましたが、もしかすると逆に書き足りないぐらいの経験だったのかもしれないと感じました。結局、その経験をしてどのように感じたのかは本人にしかわからないわけですから。
何より彼女がスゴイ人だと感じたのは、彼女の生きる姿勢です。キャバクラで働くようになってから、No.1になることを目指し、常に先輩の働き方を真似、自分の物にする努力をする。向上心を持ち続け、辛くても諦めない姿勢が彼女をNo.1の座へと導いたのだと感じました。正確には掴み取ったといった方が良いですね。
また、もう一つあります。それはまわりの人に感謝する謙虚な姿勢です。自分自身の成功は決して自分だけでできたわけではなく、多くの人の支えがあったからこそ成り立っているとういことを経験を通して、十二分に実感されています。僕自身もこの感謝の気持ち「ありがとう」を大切にすることを心がけていますが、まだ彼女のレベルには達していないなぁと反省です。
作品の中に出てくる言葉で印象的だったのを一つだけ紹介します。
延ばせる長所を伸ばせないのは、短所にこだわっているからである
本当にその通りだと思います。そして、僕自身もこの価値観に囚われている一人です。長所を伸ばし続けることは好きなことをやり続けることにも共通する点があると思います。人は好きなことを本気でやり続けたらそれだけで生活できるようになる、と言いますが、本気でやり続ける勇気と情熱を持つことがやはり大切ですね。
作者のブログです。
ロングドリーム~如月舞の舞ルーム
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