例の如くいつなぜ予約したのかわからない、


『覇王の轍』

 相葉英雄

 小学館 202326


北海道捜査二課長として北海道へ赴任した主人公は、少し前にススキノで起きた国交省技官の転落事故に疑問を抱き、調査を始めるが──。



「この国で一番悪い仕組みは、一度決めたら中断はおろか、後戻りすることが一切許されないことだ」

-p. 411



「鉄道は変わらないといけない。その第一歩は、鉄道は命を運ぶという原点に立ち返ることだ」

-p. 640



著者のお名前、どこかで見たことのあるなと思ったら、

『震える牛』

『ガラパコス』

の先生だった。


両作同様、この作品も謎解きだけではない要素がしっかり詰まったガツンと社会派のミステリー、先が気になってほぼ一気読み。


しがらみ、馴れ合い、隠蔽、既得権益いやぁな要素がたくさん出て来たが、個人であれ組織であれ、本来の目標や目的を見失ったり、そこから外れてしまっても、惰性で動き続けてしまうことはある。


だからこそ、組織人としての立場と正義感の間で葛藤を覚えながらも正しい方へ、正しい方へと自らの行動を選び取ってゆく主人公の姿勢が胸を打つのだと思った。


耳慣れない組織や馴染みのない用語が多かったが、説明が詳しく丁寧なので、抵抗なく読み進むことができた。終盤からの流れも自然で現実味があったと思う。


読み終えてから知ったが、

「本作『覇王の轍』は、『震える牛』『ガラパゴス』『アンダークラス 』と続く、〝田川信一シリーズ〟のスピンオフである」

とのこと。『アンダークラス』が未読なので読んでみたい。