見つかった白骨死体から様々な罪が暴かれるーーー
◇誹謗◇ -Blod Vil Have Blod-
カーアン・ヴァズ・プルーン&ベニ・ブトカ 長谷川圭 訳
コペンハーゲン郊外で白骨化した男の死体が見つかる。検死にあたった法医学者のリネアは骨を鑑定し、死体の身元がイラクからの移民であることを突き止める。その頃、死体発見のニュースで激しく動揺するイラク派遣の復員兵がいた。彼は元通訳と後ろ暗い事業をしていたのだ。そしてその事業を主宰していた闇商人もまたニュースを機に動き始めていた……捜査を進めるリネアだったが、思わぬ事態の進展から、自らの身も危険にさらすことになる。新ヒロイン登場! デンマーク発、注目の新シリーズ!
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闇商人ケヴィンはニューヨークでとある電話を受ける。コペンハーゲンでとある遺体が見つかったのだがその身元が判明すると彼自身、まずいことになる。ケヴィンは急遽コペンハーゲンに飛ぶことに決めた。……抹消しなければならない男がいるようだ。
コペンハーゲン郊外の森で白骨死体が見つかった。現場は現地の警察官によって荒らされて手がかりは本当に骨だけだ。そのために人間骨学専門の法医学者リネアが呼ばれたのだ。いや、1つだけ場違いなものがあった。バビロンの遺物らしい粘土板。どうしてこれがこんなところに……しかし警察はリネアを笑い物にするだけで相手にしない。さらに複顔技術で生前の顔を再現するが、警察はどうも麻薬常習犯か違法移民だと思っているらしい……
一方、イラク帰りの元軍人ヨーナスは白骨死体が見つかったニュースを見て怯えていた。……「あいつ」かも知れない。もしこの白骨死体ーーー中東アジア人らしいーーーが「あいつ」だったらいずれは自分たちに辿り着いてしまう。ましてやこんな商売をやっていてはーーーヨーナスは野心家で我の強い妻レックスとこの事態を乗り越える策を考えるが……
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「誹謗」です(・∀・)
本書の主人公は呑んだくれでも無く、素人でも無く、骨から生前の姿を想定する技術、人間骨学の専門家です。なんか博物館とかで大活躍しそうな職業ですが、万歳捜査でも活躍します。白骨死体の骨格から「生前はこんな顔でこんな体格でこんな生活を送っていたかも!」と仮説を立てて顔を復元し、身元特定に役立てます。白骨死体が行方不明になったイラク人では? とわかったところで闇商人に殺し屋、はたまたとある夫婦が動き出します。……デンマーク✖️イラクと聞くとアサドを思い出しますね……
しかし何かの専門家というのは犯罪捜査を助けはしますが、決して犯人逮捕の現場に居合わせません。言うなれば普通は捕物劇は演じない。それは的を射ている。警察の仕事ですからね。そのポジションは昔リネアと関係があったトーア警部補が埋めます。
何かの専門家である、というのはそれだけで強いのですが、リネアは人間の骨に魅入られたまさに色々な意味で強い女性。外国暮らしが長く、デンマークに馴染めず一匹狼ですが骨を調べるうちに色々な人間と関わるうちにのらりくらりとおざなりな捜査をする警察に憤ったり、親友レックスとの再会に喜んだり、まさかの裏切りに傷ついたりとどんどん人間的な感情を見せていきます。
骨を調べるのはほとんど最初の段階なので前半はリネア、後半はトーア中心になるのでしょうか。リネアは米国に色々なものを置き去りにしているのでいずれは決着をつけないといけません。焦ったいような、もどかしいような。いずれは米国も絡むんでしょうか。国際色豊かだ。
「誹謗」でした(・∀・)/
カッとなった、爆発した、それだけだったのにーーー(*^o^*)/