その日記には不思議な物語と哀しくも恐ろしい事件が記されていた。そして真実は。
◇狼の王子◇ -Darling Jim-
クリスチャン・モルク 堀川志野舞 訳
謎の死を遂げたフィオナ・ウォルシュの秘密は、決して明かされることがないはずだった―彼女の日記が郵便局員ナイルに見つからなければ。そこには、悪魔的な魅力を持つ男ジムに出会った様子がつづられていた。アイルランド中を旅して、パブで物語を披露し聴衆を夢中にさせたジム。彼の周りに漂っていた暗い影が、フィオナやその家族に悲劇的な運命をもたらしたのだろうか? 彼女の死をめぐるすべての真相を突き止めようと、ナイルは彼女の故郷に向かう。デンマークの新鋭が鮮やかに語り上げる幻惑のミステリ!
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アイルランド、北ダブリンに位置するマラハイドという町で恐ろしい事件が起こった。独り暮らしをしていたモイラが何者かに殺されたのだ。それだけなら少しすれば忘れられたかも知れない。……モイラは独り暮らしではなかった。若い女性3人を監禁し、じわじわと毒殺しようと謀ったらしい。モイラは監禁された女性たちの返り討ちに遭って死んだのだ! しかもそれ以上……分かることはない。
マラハイド郵便局に勤めるナイルは配達不能の郵便物の中に殺された女性の1人、フィオナ・ウォルシュの日記を見つけた。そこに書かれていたのは「私たちは人殺しです」という告白と、「ジム」というとんでもなく魅力的で、「狼の王子」の話を聴かせて旅する男との出逢い、その近辺で起こった殺人事件、疑惑、双子の妹イーファを襲った悲劇が綴られていた。ジムは連続殺人事件の犯人なのか? それなら一体どうなったのか? 居ても立っても居られなくなったナイルはキャッスルタウンベア行きの列車に飛び乗る。
ナイルはなんとかキャッスルタウンベアに着くが、町の雰囲気は重苦しく、口も硬い。さらには変質者と間違われて追いかけ回される羽目に。フィオナの教え子だった少女からイーファと双子のロイシンの日記を渡されたナイルはついにジムの行方を知る。そして「狼の王子」の物語が現実とリンクした時、遂に真実が目の前に現れるーーー
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「狼の王子」です(・∀・)
北欧人ミステリ作家が書くものと言えば「社会派ミステリーか警察小説だよね」と思っている人ほどしっぺ返しを食らいます。
デンマークもコペンハーゲンも出て来ません。
そりゃもちろん、北欧作家が外国を舞台に書いても良いのですが今まで無かったから……
しかもミステリーというよりもお伽噺の気配が濃厚でどこか幻想的な雰囲気が……「狼の王子」を聴くと確かにこいつ、話上手だな、と思います← ただそれだけで惹かれるか? って感じですがTwitterのツイートとか読んで会ってみたい!と思うのと一緒か? ジム自身がどこか非現実的な存在なので「狼の王子」が重なるところは納得。あの物語……一種の投影だったんだな。
探偵、というか主人公は警察官じゃありません。ナイルは郵便配達人をやりながらイラストレーターを目指しています。イラストの方が大事なので本業に疎かして馘になります← 自分も小説家になることの方が大事なのでナイルの気持ち分かります。でも無断に学校に入るなや……←
しかし主人公ブロナーでも良かったのでは?と思ったり。警察官としての意地とプライド、幼馴染のフィオナたちを救えなかった後悔……いや、なんかアメリカちっくだな← それに警察官が主人公だと嫌でも現実味ありすぎて幻惑の味生きてこないし←
久しぶりに「北欧ミステリ」読みたいな〜……最近どのシリーズも新作出ないし……
「狼の王子」でした(・∀・)/
彼女はどこへ消えたのか……?(*^o^*)/