ウィリアム・アイリッシュ No.4◇シルエット◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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1つの疑惑が生まれる時、隣では恐ろしい犯罪が行われているのかも知れない……

 

 

 

 

 

◇シルエット◇ -Bluebeard's Seventh Wife-

ウィリアム・アイリッシュ 村上博基 訳

 

 

戦後のわが国に紹介されたミステリ作家のなかで、もっとも広く歓迎されたサスペンス・スリラーの第一人者ウィリアム・アイリッシュの傑作の粋を集めた待望の短編集。大都会のなかの人間の孤独、しのびよる死の影の戦慄、絶望と焦燥にさいなまれる犠牲者等、常に意表をつく技巧と主題の多様性に加えて、作者の独壇場ともいうべき哀切な雰囲気描写と緊迫したサスペンスは永遠に読者を魅了せずにはおかない強烈な磁力を秘めている。

 

 

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1.毒食わば皿

 (Murder Always Gathers Momentum)

 ……失業中のペインは貰っていない半年分の給料250ドルを貰うためにかつての上司バロウズの家に盗みに入った。ところが見つかってしまい、殺してしまった。なんとかお金を奪って逃げたが寄った酒場で……

 

 

2.窓の明かり

 (The Light in the Window)

 ……戦争帰りのその男は街灯の下に立ってその部屋の明かりがつくのを待っていた。その最中に昔の知人シラーに会った。その部屋のアパートから出て来たらしい。女物の香水をうつされて……そしてその香水は男の恋人からも香って……

 

 

3.青ひげの七人目の妻

 (Bluebeard's Seventh Wife)

 ……警察官のおれはブレイニー事件を担当していた。結婚した妻を次々と絞殺して最期は湖の藻屑になったジェイムズ・ガーヴィー。死んだと思われているが身元は断言できていないのだ。おれはひとまず妹の結婚式に出、新郎のヒルトンに既視感を覚える。刃物か苦手な人間が他にもいたような……

 

 

4.死の治療椅子

 (Death Sits in the Dentist's Chair)

 ……歯痛をこじらせたわたしは観念して友人のスタンディッシュのところへ治療に行った。待合室には先客が。わたしは先に順番を譲って待っていた。ところがその先客アマートが治療中に死んでしまった! 死因は青酸カリだがスタンディッシュの無罪を信じるわたしは独自で捜査を開始する。

 

 

5.殺しのにおいがする

 (He Looked Like Murder)

 ……月曜の夜、カー青年は一緒に住んでいるジョン・ディクスンとガールフレンドの為に数時間外へ出かけることになった。3時間ほどして戻ったがどうもディクスンの様子がおかしい。嘘をついている様子だし、何故か外へ出て行った。その直後電話がかかり、ガールフレンドの母親が「娘が帰って来ない」という……

 

 

6.秘密

 (Silent as the Grave)

 ……いつもと変わらない夜、男は秘密を明かした。「自分は昔、人を殺した」と。女は誓った。「そのことについては死人のように口を閉ざす」と。そして2人は結婚した。秘密などなく幸せだった。男を追い出した新しいボスが他殺死体になるまでは……

 

 

7.パリの一夜

 (Underword Trail)

 ……48時間限定で初めてパリに来たおれとハンサム。早速水平服を預かっているル・アーヴルが教えてくれた電話番号にかけてみると……ちゃんと繋がるでは無いか! 相手は英語を理解する誰かと思っているようで話は進む。「鉛筆150本ほど」……そんなに沢山どうする? おれは気になって仕方なく……

 

 

8.シルエット

 (Silhouette)

 ……ソール・ピーターズ夫妻はバスを待っている間、夫人がとある窓を見て声を上げた。男と女の影がまるで絵のように映っているのだが様子がおかしい。影と影が重なって激しく動き、しまいには女の影が消えたのだ……夫人はあれは人が殺されたのだ、と言うが果たして……しかし新聞には行方不明記事が、しかも死体も見つかって!?

 

 

9.生ける者の墓

 (Graves for the Living)

 ……墓荒らしの現行犯を取り押さえた2人の刑事。しかしその男、イングラムが語った話は恐ろしいものだった……生き埋めのトラウマ、それを克服しようと支える美しい恋人、死から生き返ったと言う、死を恐れない者たちによる恐ろしい組織……

 

 

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「シルエット」です(・∀・)

 

 

今回はホテル探偵ものは無く、普通の人たちがいきなり人生を変えかねない災禍に遭ってしまう顛末をアイリッシュ特有の「サスペンスドキドキ」で描いています。1と6は後味も皮肉で残酷、他では読めないタイプだと思いました。こんなことが現実に起こったら最悪過ぎる!

 

 

5はアイリッシュ十八番「幻の女」ヴァリエーション。ただでさえ無実を証明できるものが無いのに自分が疑われるようなことをしていたら世話ないですよ……

8はこう!と見せかけて実は!の裏はこうだ!もの← 夫人は好奇心旺盛でお節介のところがあるのでもしかしたら探偵の素質があるかもしれません。

 

 

「シルエット」でした(・∀・)/

次は港町マルセイユが舞台です(*^o^*)/