果たして真相は? 手に汗を握れ!
◇死の第三ラウンド◇ -Death in Round 3-
ウィリアム・アイリッシュ 田中小実昌・宇野利泰訳
戦後のわが国に紹介されたミステリ作家のなかで、もっとも広く歓迎されたサスペンス・スリラーの第一人者ウィリアム・アイリッシュの傑作の粋を集めた待望の短編集。大都会のなかの人間の孤独、しのびよる死の影の戦慄、絶望と焦燥にさいなまれる犠牲者等、常に意表をつく技巧と主題の多様性に加えて、作者の独壇場ともいうべき哀切な雰囲気描写と緊迫したサスペンスは永遠に読者を魅了せずにはおかない強烈な磁力を秘めている。
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1.消えた花嫁
(All At Once, No Alice)
……結婚式を挙げたばかりのジミーとアリスは車を走らせやっと1室部屋を取ることが出来た。ジミーは車で寝るとしてアリスは部屋へ。ところが次の日ホテルに行くとその部屋に婦人を案内した覚えはないと言われ、アリスの存在を悉く否定される……
2.墓とダイヤモンド
(One Night to be Dead Sure Of)
……大恐慌をまともに食らったミス・アルフレダ・ギャリティにとってトランクの中のダイヤモンドだけが全財産だった。大変な価値あるダイヤモンドは死んでも持っていくと決めてお墓に一緒に入れられることに。それを聞きつけた泥棒2人組はダイヤモンドを手に入れる為に棺桶に忍び込むことにしたが……
3.殺人物語
(Murder Story)
……作家のハミルトンは短編を1作書き上げた。落ち目にあった作家が有名作家になったかつての友人を殺すーーーただしそれを実行するのは友人自身だーーー話だ。それを書き上げた直後、新聞に全く同じ流れの訃報が飛び込んで……
4.死の第三ラウンド
(Death in Round 3)
……その日の試合ーーー挑戦者ドナーとチャンピオンのオデアの試合は八百長でドナーが負けてオデアが勝つ筈だった。ところが勝ったのはドナーだった。だが……オデアは背中を撃たれて死んでいた! 殺されたのだ。果たして犯人は……
5.検視
(Post Mortem)
……ミセズ・アーチャーのところに新聞記者がやって来た。なんでもダービーで優勝した馬に賭けていたから15万ドルが手に入ったと言うのだ。ところが彼女はそんな覚えが無い。それなら買ったのは急死した夫かも知れない! 散々探した上で紙片は墓に埋めた背広の中からも知れないと思い立ったがそれからアーチャー氏の様子がおかしくなり……
6.チャーリーはもういない
(Charlie Won't be Home Tonight)
……リューク・キーン警部が今かかりっきりになっているのはタバコ強盗だ。この1ヶ月タバコ屋だけを狙い、金を奪っては綺麗に姿を消してしまう強盗事件が多発しているのだ。キーン警部は現場で麻薬タバコを見つける。そして自分の家の前でも……
7.街では殺人という
(Town Says Murder)
……弁護士として成功したピーター・フォードは新聞を見るなり飛び上がり、アプルトンという町にすっ飛んだ。昔恋し、愛した女性ジャネットが殺人容疑に問われたというでは無いか! 彼女がそんなことをする筈ない。無実を明らかにすべくピーターはジャネットから話を聞くが……
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「死の第三ラウンド」です(・∀・)
アイリッシュ短編集2冊目。十八番の存在否定、残酷な運命を辿る犯罪者、じわじわと忍び寄る犯罪と疑惑の気配……が濃厚の6作!
この中で1番アイリッシュらしいのは1と2だと思います。ここまで存在を否定され、狂人扱いされたら誰でも発狂しますよね……恐ろしい。そのトリックは単純なのですが実際にやってしまう方が恐ろしい。
3は偶然の一致かと思いきや実は!もの。5はいくつものの偶然が重なり、意外な顛末が明かされます。6は初めはアイリッシュっぽいですが終わりはまぁ普通。というかアイリッシュ作品って意外にハッピーエンド多し?
「死の第三ラウンド」でした(・∀・)/
次は映画でも小説でも!(*^o^*)/