怪奇小説家の気配が未だ濃い学校で起こる、恐るべき見立て殺人!?
◇見知らぬ人◇ -The Stranger Diaries-
エリー・グリフィス 上條ひろみ 訳
これは伝説的作家の短編の見立て殺人なのか? ――イギリスの中等学校タルガース校の旧館は、かつてヴィクトリア朝時代の作家ホランドの邸宅だった。クレアは同校の教師をしながら、ホランドの研究をしている。ある日、クレアの同僚が自宅で殺害されてしまう。遺体のそばには“地獄はからだ"と書かれたメモが残されていたが、それはホランドの幻想怪奇短編「見知らぬ人」に繰り返し出てくるフレーズだった……。作中作が事件を解く鍵となる、2021年海外ミステリ最高の注目作! 英国推理作家協会(CWA)賞受賞作家が満を持して発表し、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長編賞受賞へと至った傑作!
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クレア・キャシディ、女性、離婚歴あり。娘のジョージア、犬のハーバードと暮らしている。趣味は日記を書くこと。タルガース校の英語教師でその傍ら、タルガース校の旧館に住んでいたという怪奇小説家ホランドの研究をしているーーー
そんな彼女の日常は同僚エラが殺害されたことで一変する。悲しみに暮れるクレアたち。サセックス警察のハービンダー・カー部長刑事が事情聴取を行う。カーはクレア達は何かを隠していると疑うが、事実クレアや英語教師主任のリックにはエラのことで秘密があったーーー
クレアはカーからエラの遺体のそばに「地獄はからだ」というメモが置かれていたことを知る。その言葉は「テンペスト」が元だが実はホランドの短編「見知らぬ人」にも登場する。まさか何か関係があるのか? するとクレアの日記に何者かが書き込んだ。『ハロー、クレア。あなたはわたしを知らない』
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「見知らぬ人」です(・∀・)
復刻イベは初っ端からとちりました、申し訳ないですm(_ _)m しかし最近は東京創元社にも早川書房にも読みたい本が沢山あって本屋にさえ行ければ困りません。いやーけしからん(*´∀`*)
本書はTwitterとかの前評判が高く、気になって取りました。あまり口コミを信用し過ぎるとしっぺ返しを食らうのが自分、という人間ですから帯文句の「この犯人は見抜けない」よりもエドガー賞受賞作品というところに着目して読みました。
作者は日本では初来日?ですが、英国ではベテランなのですね。確かにベテランの空気があります。人間の書き方が上手い。この物語はクレア、カー部長刑事、ジョージアの語りで成っていますが3人の母親、独身女性、ティーンエイジャーの立場から意見や考え方の相違が見えて面白い。特にハービンダーの環境や考え方は現代風で肩入れしたくなります。続編ではまたハービンダーが出て来るのでまた買おうかな。
英国らしい作品です。謎の多い怪奇小説家とゴシック小説、幽霊が出るという噂のある旧館にまさかの降霊術。これ、一応21世紀の話なんだよなー……英国ミステリーはどーあがいても←レトロでクラシカルでノスタルジーな香りがしますね。
ただ犯人は……うん、公平だ。伏線はいっぱい貼られてる。だからおの帯文句、大袈裟だなーと思ってしまいました……勘のいい人は犯人も動機も当てられます。事実、自分も動機は当てることが出来ました。ただ犯人が「お前か!」となっただけで。しかしものすごく公平に手がかりを散りばめているからこそうーんうーん、と悩んで悩んで最後に「こう来るかぁ!」と膝を打つ正統派推理小説が楽しめるのだと思います。
あと終わりには事件の手がかりになるホランド「見知らぬ人」も収録されています。ぜひ列車のお供に!
「見知らぬ人」でした(・∀・)/
次はこちらもここいらで始まるデンマーク・ミステリです (*^o^*)/!?