ミヒャエル・ホルヴァー 編◇血のバセーナ◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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8人の女性ミステリー作家がウィーンの闇を会話と共に走り回る!

 
 

 
◇血のバセーナ◇ -Blut in der Bassena-
ミヒャエル・ホルヴァート 編 伊藤直子・須藤直子 訳
 
 
ひとり暮らしの老婆がドナウ河から引き上げたのは、人魚ならぬルーマニア人の土左右衛門だった…。ウィーンの女性作家たちが紡ぎ出すミステリー短編集。全8編を収録。 
 
 
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1.危険な読書の秋に(アンナ・ペルコヴィッツ)
 (Ein Schlechter Bücherherbst)
 ……しがない書店員の私は店長のコペツキーが首を吊って死んでいるのを見つけた。自殺かと思われたが、私にはそうは見えない。独自で調べるうちにコペツキーは大家のハーンライヒのゴーストライターだったのではないかと疑う……
 
 
2.母なるドナウ(エーディト・クナイフル)
 (Mutter Donau)
 ……老女はずっと昔からドナウ河から死体を引き上げて来た。今日もまた死体が網にかかる。それはとても美しい男の遺体で、ルーマニア人と思われた。外国人かと思われたが、先日も外国人の遺体を引き揚げた。これは一体……?
 
 
3.いとしの君(ドド・クレッセ)
 (Brüderlein Fein)
 ……骨折したエルンストは身の回りの買い物等々をひょんなきっかけからアンナ・ケーンという若い娘に頼むようになり、親しくなる。エルンストはアンナと内緒のバカンスに行くが、エルンストは恐ろしい欲求があった……
 
 
4.シンシア(ウルリケ・ライナー)
 (Cynthia)
 ……シンシアは青酸カリと同じぐらい猛毒を持つ、美しい蛇。飼育箱の外のことには関心は無いが、館長とブロンドの女が不和で有ることは分かる。最近は飼育箱の蓋が開けられたままになることもしばしばだ。あの日もそうだった……
 
 
5.引っ掻かれたベートーヴェン(ネーナ・ロート=アヴィレス)
 (Der Zepkratze Beethoven)
 ……外国人学校のメロヴィアンでユーゴスラビアの女性教員が何者かに殴られた。此処のところ、外国人差別が多発し、校長のキャリーはぴりぴりしていた。警察を入れたくないキャリーは最初は通報しなかったが、次は人が死んでしまい……
 
 
6.人間を憎んだ子(バルバラ・ビューヒナー)
 (Der Kind, das Seine Puppe Haßte)
 ……彼女は如何なる顛末でそのヴァンダーーー二つの緑色の湖の目の磁器製人形を失くしたのか?
 
 
7.エウリディケの死(ユーリア・マルティウス)
 (Der Tod der Euridice)
 ……チェリスト、リーザの男友達クラウディオが姿を消した。彼は声楽家で重要なパートを割り当てられていたのに来なかったのだ。何かあったに違いない! リーザは語り手のユーリアと一緒にクラウディオの部屋に行くが、そこで見つけたのはコカインだった……
 
 
8.聞き込み(ヘルガ・アンデルレ)
 (Der Kommissargeht Um)
 ……犬のヴァスティと暮らすアロイジアのところに警察官がやって来た。なんとアロイジアの住んでいるアパートで殺人が起こった! それもあの小さなミッヒーが父親に殺されたという。なんてこと! 警察官は何か気がついたことは無かったか、根掘り葉掘り聞くが……
 
 
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「血のバセーナ」です(・∀・)
 
 
女性ミステリー作家によるウィーン事件簿です。作者は皆、女性。作品に出てくる女性も皆、強かです。探偵も被害者も犯人も皆、手強いぞ! 主人公に警察官は1人も居ませんが、素人ならではの突っ込み型と好奇心旺盛型がものを言っています。男性諸君、お覚悟! 女性をなめると怖いぞ! 4は人間じゃありませんが、名前からして雌なのだ! うん
 
 
今、ウィーン現代ミステリーシリーズはこれで8作読みましたが、どれを読んでも外国人排斥の色が強いのが分かります。本書が刊行されたのは本国では90年代なので世相が良く分かります。……実は現在とあまり変わらないのでは?? ウィーンに日本人が観光客としてでは無く、市民として仕事をしながら住むってどんな感じなんでしょう? ウィーンの世相は朧げながら分かったので今度はそちらを知りたいなぁ。
 
 
「血のバセーナ」でした(・∀・)/
次は狙撃事件の裏側で「人命救助」の争いが!?(*^o^*)/