アンソニー・ホロヴィッツ No.2◇メインテーマは殺人◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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奇妙な事件を捜査する、奇妙な元刑事の話を書くことになった「わたし」の運命はどうなる!?

 
 

 
◇メインテーマは殺人◇ -The Word is Murder-
アンソニー・ホロヴィッツ 山田蘭 訳
 
 
自らの葬儀の手配をしたまさにその日、資産家の老婦人は絞殺された。彼女は、自分が殺されると知っていたのか? 作家のわたし、ホロヴィッツはドラマの脚本執筆で知りあった元刑事ホーソーンから、この奇妙な事件を捜査する自分を本にしないかと誘われる……。自らをワトスン役に配した、謎解きの魅力全開の犯人当てミステリ! 7冠制覇の『カササギ殺人事件』に匹敵する傑作!
 
 
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ダイアナ・クーパーという資産家の女性が葬儀会社《コーンウォリス&サンズ》社を訪れててきぱきと自分の葬儀の手配を進めた。今時元気なうちから葬儀の手配をする人は珍しくないけれどまさかそのたった数時間後にそれらが役立つことになるなんて一体誰が思う?
 
 
場面は代わって作家のわたしことホロヴィッツはスティーブン・スピルバーグ依頼で脚本をせっせと書き上げたところだった。そこに旧知のホーソーン元刑事から連絡をもらった。自分はロンドン警視庁の依頼で葬儀会社に行った数時間後に殺された老資産家殺人事件を捜査することになった。その姿を小説に書かないかと……
 
 
……切れ者だけど偏屈で他人のことはお構いなしで自分のことは全然話さないこの男を書く? 初めて会った時のことを思い出し断るものの、考え直して引き受けることに。こうしてわたしことホロヴィッツは老資産家殺害事件とその長い影をひく過去の事件と第2の惨たらしい殺人事件と華やかな世界の裏側に飛び込むことになった!
 
 
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「おれはそうは思わんね。主題(メインテーマ)となるのは殺人だ。重要なのはそこなんだよ」
 
 
ーーー本文より。
 
 
「メインテーマは殺人」です(・∀・)
ミステリー界も私の中でも絶好調なホロヴィッツ作品、3作目です。こちらは全くの別シリーズで作者自身が語り手となって事件の捜査に同行することになります。「わたし」の経歴はともかくとして人間的には普通の人なんですが(葬式には誰も呼ばないみたいなことを言ってるけど)、探偵役のホーソーン元刑事が警察官探偵あるあるの秘密主義的、他人はお構いなしの一匹狼のタイプだった為に「わたし」は苦労することになります。作家の助手って「わたし」が初めてじゃないと思いますが、「わたし」は「わたし」で独自に動いて事件とホーソーンの真相に近づこうとしているところが良いです。反発もするし。
 
 
しかも自分で「俺を書かないか」と言ったくせに「わたし」の書いた文章に難癖をつけるんだから参っちゃいますよね……しかしこのやりとりが重要だとは! そして「わたし」自身もワトスンのように忠実な観察者であったとは! もちろんそうでないと公平ではないのですが← 本当に書かれていることに全ての手掛かりがあります。ちなみに17章の謎解きは私、当てることが出来ました! やったね!
 
 
さて事件。自分で葬儀の手配をした数時間後に殺されるというばりばり死亡フラグな展開から話がスタートします。しかも殺された女性には不注意で子どもを轢き殺してしまったにも関わらず、放免されたとい経歴があり……とクリスティータイプの過去の事件は長い尾を引く事件があったりと恨みなんざ買わなそうなクーパー夫人に殺害の動機が徐々に見え隠れする……と思ったら惨たらしい第2の殺人事件が起こったりして何か起こるたびに事件の様相がガラリと変わります。事件の本質がどんどん見えなくなり、惑わされます。
……しかし前回は首をチョンパしたり、今回は切り刻んだり惨い死体が好きなのか? この人。少年スパイのアレックスが泣いちゃうよ←
 
 
偏屈タイプのホーソーン元刑事。コンサルタントという形でロンドン警視庁に関わり、難事件に突っ込みます。1作目なので全ては分かりませんが、頑固な昔的な思考とザ・少年!な趣味が明らかになります。夫婦生活も明らか……にはあまりならないけどもし「わたし」の言葉が正しいならなんらかの形で共同戦線でも張っているのだろうか?
 
 
2作目も本国では出ているようなのでさらに期待したいところです。
 
 
「メインテーマは殺人」でした(・∀・)/
次は今年の「本屋大賞」に行ってみます。あまりそういうのにはつられないんですが、だってこれ、東京創元社から出ているじゃないですか!(*^o^*)/