ロンドンから帰って来たショパンは遂に死の影が濃くなる。友人たちは彼の最期を看取る為、彼のそばに寄り添うが……
◇葬送 第二部・下◇
平野啓一郎
病躯を引きずるように英国から戻ったショパンは、折からのコレラの大流行を避けてパリ郊外へ移った。起きあがることもままならぬショパンを訪なう様々な見舞客。長期にわたる病臥、激しい衰弱、喀血。死期を悟ったショパンは、集まった人々に限りなく美しく優しい言葉を遺す。「小説」という形式が完成したとされる十九世紀。その小説手法に正面から挑んだ稀代の雄編。堂々の完結。
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英国の演奏旅行はショパンの身体を決定的に壊してしまった。いよいよ死相の濃くなったショパンは瀕死の身体に鞭打ってパリ郊外に移る。グジマワ伯爵らはスターリング嬢の監督不届きを責め、側に寄り添うが、ショパンの容態は回復の兆しを見せず、日に日に衰弱していく。ショパンが側に居て欲しいと望んだのは……
ショパンは姉のルドヴィカ・イェンジェイェヴィチョヴァ夫人に側に居て欲しいと望み、手紙を書く。何ヶ月も遅れて夫人は来るが、ロシア側の追及を恐れる義兄との仲は不穏だ。しかしそれを気にかける気力はもうショパンには残されておらず、サンド夫人も、そしてドラクロワも不在のまま『最期の瞬間』が来る……
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「葬送 第二部・下」です(・∀・)
ピアノの詩人ショパンと悩める後の画壇の巨匠、ドラクロワの大河小説、遂に完結。この話の目玉は何と言ってもショパンの最期。ポーランド以来の友人、フランスで知り合った友人、弟子たちと過ごすシーンとかルドヴィカと話すシーンとか遂にその時が来てしまうところとかはもはや涙腺崩壊しそうでした。電車の中で泣きそうになりました。ショパンはポーランド人の友人たちを凄く大事にして、彼らにたくさん救われましたが、実は友人たちもショパンによってポーランド人としての矜持を持つことができ、救われました。最期のシーンはそれが凄く伝わって感動ものです。
さて、そんなショパンの傍に親友として共にあり、本質的なところで理解できていた画家のドラクロワ。……あんた何で最期の時に居なかったんだ。もしかしたらショパンが本当に会いたかったのはサンド夫人では無く、ドラクロワだった可能性もあったんじゃないか!? と気がついたら今度こそ涙腺が崩壊しましたorz ……彼はショパンの死後、何と無くショパンの何もかもから離れてしまいますが、そうすることであの日最期を看取れなかったショパンを弔うつもりなのでしょうか……ショパンが死んだ後もドラクロワは「生きています」それって大きいですよね。かけがえのない誰かのいない世界に自分は取り残されたように存在している……けれどドラクロワは画家なのでこれからも絵を描きます。それは一生ついていく訳ですから一生悩む訳ですね。それが生きる、ということですね。
「葬送 第二部・下」でした(・∀・)/
次は北欧ミステリー〜……で寒い時期に寒い題名のものを読みます(*^o^*)/