平野啓一郎 No.2◇葬送 第一部・上◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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ポーランドの天才音楽家ショパンとその親友の画家ドラクロワ。彼らとその周囲の華麗なる人間模様。

 
 
 
◇葬送 第一部・上◇
平野啓一郎
 
 
ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ社交界に現れたポーランドの音楽家ショパン。その流麗な調べ、その物憂げな佇まいは、瞬く間に彼を寵児とした。高貴な婦人たちの注視の中、女流作家ジョルジュ・サンドが彼を射止める。彼の繊細に過ぎる精神は、ある孤高の画家をその支えとして選んでいた。近代絵画を確立した巨人ドラクロワとショパンの交流を軸に荘厳華麗な芸術の時代を描く雄編。
 
 
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1846年。愛人ジョルジュ・サンドの家族を残してノアンからパリに戻ってきたパリ。病気に悩まされながらも生徒にピアノを教え、招かれてピアノを弾き、画家ドラクロワらを始めとする友人たちと交流を深める。
 
 
画家ドラクロワも時たまある作品の酷評に悩まされながらも独自の芸術観によって絵を描き続ける。そんな彼らはとある時、サンドの娘ソランジュが婚約者を差し置いてあまり評判の良くない彫刻家クレザンジェに夢中になっていると聞き、あまり良くない予感を覚える。
 
 
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「葬送 第一部・上」です(・∀・)
 
 
平野啓一郎、第2作目。全4巻からなる音楽家ショパンと画家ドラクロワの交流を主軸に19世紀のパリ社会を描いた大河小説です。ショパンは世界中の人々に愛されるピアノの詩人、ドラクロワは『キオス島の虐殺』、『民衆を導く自由の女神』等を遺したロマン主義の画家です。彼はショパンの肖像画ーーー表紙の絵ですねーーーも手がけ、かなり深く交流があったようです。ショパンは1849年に死去するので本当に最晩年。サンドとの恋愛も下り坂でソランジュのことで不安をぬぐい切れません。
 
 
ドラクロワは日記をつけており、作品ではほったらかしの感じがありましたが、かなり長く続いたようで様々な人物との議論の内容が書かれていてドラクロワの生活のみならず、19世紀のパリ社会を知る上で重要な資料になりました。本書は恐らくそれを多く参考したところが大きいと思いますがその議論の熱いこと。パリはフランス革命以後混乱だらけですが、まだまだ芸術の中心でその煌びやかで濃密な人間関係が見えます。ここに出てくる人たちって全員日記や史実の登場人物だよな……200年前の会話が小説として再現されたと知ったらどう思うだろう……
 
 
上巻はソランジュとクレザンジェの婚約が成ってしまうところで幕です。いざ、下巻(*^o^*)/