カーリン・フォッスム No.1◇晴れた日の森に死す◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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晴れた日の森に「そいつ」は現れたーーー

 
 
 
◇晴れた日の森に死す◇ -De Som Fryketer Ulven-
カーリン・フォッスム 成川裕子 訳
 
 
ノルウェーの森の奥で老女が殺害される。被害者の左目には鍬が突き刺さっており、精神病院に入院中の青年エリケが現場で目撃されていた。捜査陣を率いるセイエル警部は、エリケを犯人と決めつける者たちの偏見に左右されず、冷静に証言を集めていく。だが信じがたい事実が判明。エリケは銀行強盗に巻きこまれ、逃走する強盗犯の人質になっていた。ガラスの鍵賞受賞作家の代表作。
 
 
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よく晴れた日のことだった。フィンネマルカの独り暮らしの老婆ハルヴィスが鍬に突き刺されて死んだのは。少年がそのことを警察に知らせに走ったのも。その少年が町の忌まわしい存在エリケを見たのも。
 
 
オスロ警察のコンラッド・セイエルは通りすがりの男にある種の緊張感を覚えてその男を追う。案の定男は銀行強盗をやらかす直前でそれを成し遂げた挙句1人を人質に取って逃亡した。
 
 
銀行強盗の名前はモルガン。約束を守り、金を盗ったはいいが、人質の様子がおかしい。悲鳴もあげず、抵抗もせず。無反応だし、まさか頭がイかれているのでは……
 
 
セイエルは銀行強盗の方へ、部下のスカラがフィンネマルカの殺人事件の方へ事情徴収に行く。その2つには共通点があった。銀行強盗犯が人質に取った女性は実は男でなんとハルヴィス殺しの容疑がかかった忌まわしいエリケだったのた!
 
 
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「晴れた日の森に死す」です(・∀・)
 
 
アンネ・ホルトが読み終わり、同じく東京創元社からカーリン・フォッスムです。「猟犬」と同じように家庭問題もアルコール問題もなく人間関係も良好な、北欧ミステリには珍しいタイプ。しかしそれでも奥さんは他界して心に深い悲しみを抱えています。北欧にはほんと仲の良い夫婦はいないな……このシリーズは彼女の代表作シリーズのようですが、翻訳作品あるあるで本書はなんと3作目。1冊目は未訳で2作目は「湖のほとりで」という作品でPHS文芸文庫から出ていました。同じ文庫で出せよ……
 
 
北欧ミステリは重くてシリアスですが(ほんわかものってほんと受けないだな……)、今回もやはりそれで主要登場人物は精神病患者と少年院に入所中の男の子。特に前者は存在そのものが忌み嫌われているこの上なく不気味な青年。しかし都会の警察官セイエルと部下のスカラは田舎の偏見に囚われることなく、捜査を行います。その辺の捜査は淡々としています。最近ブレイクしているネスボや「特捜部Q」を読むと物足りなく感じます。
 
 
この話の主人公は最初に書いてある通り、エリケなんですよね。エリケの妄想、思考、逃亡、モルガンとの邂逅、その不気味な逃避行と交流、惨劇……それらが淡々と捉えようなく書かれていて不気味さを際立てています。ぶっちゃけセイエルを出さずにモルガンを語り手にしてエリケ、モルガン、第一発見者の少年が主人公でも良かったと思います。
 
 
「晴れた日の森に死す」でした(・∀・)/
メグレ夫人が出かけた夜に事件が起こる!?(*^o^*)/