犯人が殺人現場から姿を消した!? あらゆる文献と知識を活かして不可能犯罪に挑め!
2000年以上前、前漢時代の中国。かつて国の祭祀を担った名家、観(かん)一族は、春の祭儀を準備していた。その折、当主の妹が何者かに殺されてしまう。しかも現場に通じる道には人の目があったというのに、その犯人はどこかに消えてしまったのだ。古礼の見聞を深めるため観家に滞在していた豪族の娘、於陵葵(おりょう・き)は、その才気で解決に挑む。連続する事件と、四年前の前当主一家惨殺との関係は? 漢籍から宗教学まで、あらゆる知識を駆使した推理合戦の果てに、少女は悲劇の全貌を見出す――気鋭の中国人作家が読者に挑戦する華文本格ミステリ
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆
天漢元年(紀元前100年、前漢時代)。かつて国の祭祀を担った観家の客人として侍女の小休と共に観家に滞在する於陵葵は観家の娘露申から4年前に起こった惨殺事件について話を聞く。露申の伯父無咎の家族が娘の若英を除いて何者かに殺されたのだ。しかも犯人はその凶行の後で空中消滅したようで……
その次の日の朝。髪を洗いに露申と共に外に出た葵は観家当主、無逸の妹観女夸の遺体を見つけてしまう。ところが、その事件現場は人目につく場所であり、誰にも見られずにそこに行き着くのは不可能だったのに駆けつけた小休も若英も誰の姿も見ていないーーー犯人はまたも消えてしまったのだ。同じく観家の客人だった学者の白止水も殺人体で見つかるが、そこで葵、小休、露申の関係が激変する。自身に起こった悲劇をも介して見えてきた連続殺人事件と4年前の前当主一家惨殺事件の真相とはーーー
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆
「元年春之祭」です(・∀・)
人生初の中国ミステリです。
そもそも中国とミステリというのがあまり結びつかず、怪人フー・マンチュー博士と狄(ディー)判事しか知らなかったんですが、最近ケン・リュウがきっかけで中国SFが熱く、それがきっかけでミステリの方にも注目が集まるようになりました。本書は中国の第2回華文推理大奨賽の最優秀新人賞を受賞した傑作です。「このミステリがすごい2019」でも4位になりました。傑作です←2度言う
舞台は紀元前100年。前漢時代。この時からいっぱしの文化を作っていた中国はやっぱり強い……だってこの時、日本やっていたのさ……
狄判事の舞台は唐時代なのでそれでもめちゃくちゃ昔です。
主人公は豪族の娘で様々な文献を読み、博識な娘の於陵葵。於陵が名字で名前が葵。中国では珍しい2文字の名字のお嬢さんです。コミック「応天の門」の道真の女性版です。性格も。様々な文献を引用するところはマジで初期のエラリー・クイーン。しかしエラリー・クイーンと違う点があります。しかも決定的に違う上にこれが一連の事件の重要な手がかりになります。……いや、ホントに。
葵は道真そっくりで学識はあるけど人の機微に疎く、かなり残酷です。おかげで露申とはかなりぶつかります。憎悪まで感じるところは現在の女性関係にも見られるところがあってこれは読み応えありました。舞台を現代に移しても良かったと思う。
いや、これ結構賛否両論分かれますね……
実はこれ、父が先に読んでいて上のセリフを言われたのですが、確かにそう思いました。特に動機とかそれ、無理がある! と叫びました。家の決まり、国の王の決まりが絶対の古代中国ならではの動機というか……西洋じゃ理解もできないだろうな……あと葵が度々引用する文献はかなり難しいですが、難しいからといって流し読みしないことをお勧めします。
「元年春之祭」でした(・∀・)/
次に読むのは……ヴェルヌかノーベル文学賞受賞作家のどちらかです(*^o^*)/←え