運河の側で見つかった女性の死に隠れる1人の人間の哀歌!
◇メグレと運河の殺人◇ -Le Charretier de la Providence-
ジョルジュ・シムノン 田中梓 訳
マルヌ川とソーヌ川を結ぶ運河にそった村でディジーは興奮にわき返っていた。第十四水門付近の馬小屋で婦人の他殺死体が発見されたのだ。死因は絞殺。身許は意外に簡単に割れ、ちょうど水門に到着したヨット《サザン・クロス号》の船主ランプソンの数日前から行方不明になっていた夫人メアリーと判明した。死後経過時間から推して、メアリーは失踪直後に殺されたわけではなく、二、三日生存していた。だが、失踪の原因も殺人の動機もまったく不明で、事件は五里霧中。つづいて第二の殺人。《サザン・クロス号》の乗員ウィリーの死体が運河から引きあげられた……。
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マルヌ川とソーヌ川の運河で殺人事件が勃発した。馬小屋で女性の遺体が見つかったのだ。
その女性は身なりが良く、上流階級の人間だと思われた。果たしてその女性は着いたばかりのヨット《サザン・クロス号》の船長ランプソン大佐夫人メアリーだと分かった。彼女は何日も前から姿を消していたが、大佐らは気にしなかったと言う。というのも彼女は前々から突然姿を消してはしばらく帰らないことがあったからだ……
メグレ警部は調査にあたるが、失踪の原因も動機も分からない。しかもメアリーは失踪してすぐに死んだわけではなかったようだ。一体なぜ? それまでどこに? さらに第2の殺人まで起こり、五里霧中のメグレ警部に光を与えたのは1台の自転車だった……
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「メグレと運河の殺人」です(・∀・) 4冊目です。やっとこさ些か簡潔な文章にも慣れました←
今回も犯人像が複雑で哀しいです。どんな人間にも波瀾万丈な人生があり、様々な感情や想いを持って生きてきたんだろうな……と思ってしまいます。犯人とメグレが向き合って真実を明かすところと女主人が最期を看取るところが本当に哀切に満ちています。
メグレシリーズは事件そのものは華やかなところや怪奇めいたところは何もないですが、殺人者が殺人を犯すまでどのような人生を送ったのか、どんな人物と関わったのか、どんな理由で殺人者になるに至ったのかを丁寧に描いています。事件ではなく、殺人者や被害者ーーー人間にスポットを当てています。故にメグレシリーズは今日の警察小説の元祖だと思います。
「メグレと運河の殺人」でした(・∀・)/
次回は今日も盗みます! 何を? 自分を!?