アン・ペリー No.5◇護りと裏切り・上◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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殺人犯は本当に彼女なのか? それなら動機は? 未亡人に口を閉ざすよう駆り立てるものは何か?

 
 
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◇護りと裏切り・上◇ -Defend and Betray-
アン・ペリー 吉澤康子 訳
 
 
看護婦のヘスターは、友人のイーディスの兄であるカーライアン将軍が置物の甲冑の鉾槍に胸を突かれて死亡したと知らされる。当初は事故だと思っていたが、妻のアレクサンドラが夫殺しで逮捕される。義姉の犯行を信じられないイーディスに相談されたヘスターは、弁護士のラスボーン、元警官のモンクとともに真相を探るが……。ヴィクトリア朝ロンドンを見事に活写した傑作ミステリ。
 
 
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看護婦ヘスターは友人のイーディスと会う。彼女はつい最近将軍の兄を亡くしたばかりだった。晩餐会で飾り物の甲冑が持つ鉾槍に射抜かれて死んでしまったのだ。イーディスは軍人が飾り物の槍で事故死したことを皮肉る。
 
 
ところが、その死が事故死ではなく殺人で、しかも将軍の妻、つまりイーディスの義姉アレクサンドラが殺人を自白したと言うのだ!
 
 
アレクサンドラが兄を殺す訳がない! 何かの間違いよ! イーディスはヘスターに相談する。幸いなことにヘスターには弁護士と探偵に強力な知り合いがいる。
 
 
ラスボーンとモンクはヘスターの要望で動き出すが、アレクサンドラは夫が浮気したのに激情して殺害したといって譲らない。ところが、調べると浮気も不倫もそういった類の事実がないことが分かる。
 
 
嫉妬が原因ではないなら将軍と不仲だった娘を庇っているのか? それとも別の理由が? それなら明かせない理由は何なのか?
 
 
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「護りと裏切り・上」です(・∀・)
久しぶりのアン・ペリーです。宇宙に行けない代わりにヴィクトリア王朝の英国へトリップです。
 
 
今回は初っ端から事件が起こり、かなり早い段階で犯人(?)が逮捕されます。ここで問われるのはひたすらなぜ殺したのか? または隠す理由は何か? です。
逮捕されたアレクサンドラは殺人についても動機についても嘘を言っている可能性が高いのです。考えられる1番の理由はクリスティーによくありがち、「誰かを庇っているからですが、もしそれでも違うなら「じゃあ、本当に何だよ?」とますます分からなくなります。
 
 
また題名についても護りはなんとなーく分かるとして、裏切りの真の意味がまだ分からない箇所があるので下巻を楽しみに読もうと思います。
 
 
さて、上巻はヘスターのターンです。ヘスターの友人から事件に関わることになり、またもクリミア戦争の話題が出ます。この時代、クリミア戦争って本当に大きな反響を呼んだんですね……その割には看護婦の地位がさっぱり上がりませんが←  まさか学校ができるまで看護婦の地位ってそのままだったんでしょうか。
 
 
またヘスターの雇い主ティップレディ少佐がマジで良い理解者。どんどん事件に突っ込んで話を聞きに行きなさいとたきつけたり、すごいなおい。またイーディスにアフリカの話をふっかけて興味津々にさせるところはお互いにとっていい影響が。いいなー。
 
 
気になるのはラスボーンとモンクの掛け合いですが、今回はモンクの方は控えめです。喧嘩よろしく舌戦を繰り広げられるとはらはらしますが、おとなしい2人もつまらないですね← ラスボーンとは友人以上、恋愛未満……になっているのか微妙ですが、時代が時代だけに実に焦れったいです。2人の活躍は下巻に期待しましょう!
 
 
ヘスターに隠れて出番が少なめだったモンクですが、相変わらず記憶は戻らないまま。しかし拘置所につながれたアレクサンドラを見た瞬間、とある女性の記憶が浮かび上がります。そした記憶を失うのモンクと深く関わった1人の男性のことも……彼女は一体誰で、どんな関係だったのか? その男性とも一体何があったのか? 事件を調査する傍ら、ふと蘇る記憶の人たちや情景がウィリアム・モンクの過去に対する興味を掻き立てます。事件を調査することは自分の「これまで」を取り戻すことでもあります。
 
 
……とはいえ、もうモンクは今までのモンクにはもう戻れないでしょう。現在のモンクが過去の非情なモンクを許せないから。自分があまりにも嫌な人間で度々打ちひしがれますが、それでも記憶を取り戻さずにはいられない。その中に本当なら置き去りにしてはいけない大事な人たちや出来事があるはずだから。
今回は何を思い出すのでしょうか。
 
 
そんな訳で、いざ下巻へ(*^o^*)/~