童門冬二 No.2◇全一冊 小説 直江兼続-北の王国- | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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我、土の人なりーーー主君景勝との絆を胸に、戦国の世を駆け、北の米沢の街づくりの基礎を固めた直江兼続の生涯!

 
 
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◇全一冊 小説 直江兼続-北の王国-◇
童門冬二
 
 
上杉景勝の家臣でありながらも、太閤秀吉より三十万石を賜った男・直江山城守兼続。主君・景勝との深い魂の絆を胸に秘め、合戦の砂塵を駆け抜けた彼は、戦国乱世に勇名を馳せる。だが、己の歩むべき真の道を見いだした時、天下取りの争いに背を向け、北の大地に夢を託すのだった。米沢の名藩主・上杉鷹山が師と仰いだ戦国武将の、凛々たる生涯を描いたロマン大作。全一冊・決定版。
 
 
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「小説 直江兼続-北の王国-」です(・∀・)
後々米沢藩の名君と謳われる上杉鷹山公が師と仰いだ直江兼続(1560〜1619)が主役です。
 
 
兼続といったら、「景勝の名家臣」やら「直江状で家康をブチ切れさせた武将」と認識でしかなかったのですが、本書を読んで確かに狡猾なところがあることに気がつきました。いや、軍師なら確かに必要なんですがね。生き残る術を講じるのは。少なくとも本書を読んで思い浮かべた兼続像は「天地人」verではなく、「真田丸」verでした。
 
 
名武将には時々糟糠の妻というか、妻に大いに助けられる武将がいますが、兼続もその例に漏れません。というか凄い。お船は兼続をも唸らせる知恵と舌で以って兼続を何度も助けたり、諌めたりします。
そもそもお船の母はあの上杉謙信の遺言を聞いた唯一の人物です。「景勝殿ですか? それとも景虎様ですか?」と質問して引っ張り出したそうですが……つまり彼女が景勝を謙信の後継者にしたんですね。しかも彼女は景虎の名前を全くに出さずに景勝を推したという説があるそうで……武家の女って怖い!
上方の方では秀吉の正妻ねね派と側室淀君派が対立していたので武家の女も戦っていたのです。
 
 
関ヶ原の戦い後、上杉家は120万石から米沢30万石に減らされ、米沢に移ります。米沢は兼続の領地だったため、兼続は120万石時代の家臣全員が住めるよう、街づくりと開墾を行います。
兼続の心には農民と農民が作る作物が国を作るのだという意識が常にありました。これはそのまま鷹山公の心構えの一になります。
兼続は「四季農戒書」という農業指導書を通して農作物をより豊かに生産する方法から働く喜び、生きる喜びまで論じました。非常に画期的です。
 
 
兼続は上方文化に馴染まない、土の子でした。彼の本領は越後、後々米沢でした。その国の土でできたものを愛し、慈しみ、土を耕す人たちを大事にした。鷹山公のこの考えは直江兼続、もっと辿れば謙信の意識に基づいたものでした。
また「大事なのは"どうしてこうなってしまった?"ではなく、"こうなった事実をどうするか?"だ」という言葉にハッとしました。
戻らない過去よりもいつか来る未来を見据える方が賢いですよね。だってどうなるか分からないし。いや、何にでもなれるというか。
 
 
先人たちの意識や考え方にはやはり考えさせられます。
 
 
これで上杉鷹山・直江兼続特集はおしまいになります(・∀・)/ 兼続は1冊しか読めませんでしたが←
またミステリーに戻りますが、エラリーではありません←え (*^o^*)/~