藤沢周平 No.1◇漆の実のみのる国・上◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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貧困と破産寸前に追い込まれた米沢に豊穣の実はみのるのか。上杉鷹山時代の米沢、奮闘す。

 
 
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◇漆の実のみのる国・上◇
藤沢周平
 
 
貧窮のどん底にあえぐ米沢藩。一汁一菜をもちい、木綿を着て、藩政たてなおしに心血をそそいだ上杉鷹山と執政たち。政治とは、民を富まし、しあわせな日々の暮しをあたえることにほかならない。藤沢さんが読者にのこした遺書とでもいうべきこの長篇小説は、無私に殉じたひとびとの、類いなくうつくしい物語である。
 
 
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江戸時代中期。米沢藩は貧困に喘ぎ、借金まみれ、さらに藩主重定にも政治家の器がなく、このままでは崩壊寸前だった。
 
 
竹俣を始めとする家老たちは重定の寵臣森の贅沢と独裁が目に余ると謀殺を企てる。森の謀殺は成功するが、竹俣は重定の不興をかってしまう。
 
 
一難去ってはまた一難。森が死んでも何も変わらない。藩を返上するか重定がとっとと隠居するかの瀬戸際になり、後者が実現する。果たして直丸は治憲となって米沢藩の藩主になったが、今度は治憲の改革を良しと思わぬ須田・芋川らと対立するーーー
 
 
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「漆の実のみのる国・上」です(・∀・)
藤沢周平verの上杉鷹山伝です。
……というより米沢藩全体が主役です。
童門冬二verは治憲目線オンリーでしたが、藤沢周平verは治憲の出番少なめでむしろ竹俣を始めとする米沢藩家老たちの視線で米沢藩の実情が描かれています。なんか遠くから見ています。って感じです。ちなみに1番出番が多いのは竹俣でした。この人も後々失脚するのかと思うと……
 
 
読んでて最初はあの須田や芋川とも結託していたと知ってびっくりしました。そんな時代あったんか← 本書もクーデターが描かれていますが、争いの背景も描かれていて視野が広くなります。2人が治憲を閉じ込めたのって事実なんですねぇ。
あと先代の重定がまさかの凡人&愚人扱い← 最後の一喝だけですね、かっこよかったのは。そして松柏の人を見る目はさすがです!
 
 
藤沢周平verの方は鷹山だけではなく、米沢藩の家老や歴史的目線からも描かれていて非常に客観的に描かれています。最初からこれを読んだら相当混乱したと思います。童門verで上杉鷹山を知り、本書で彼と米沢藩全体を学んだ。ということで!
 
 
本書もクーデターが収束するところで終わります。下巻は治憲の出番多いかな← いざ、下巻へ(*^o^*)/~