エラリー・クイーン No.82◇最後の女◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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その男の「最後の女」は死神か? 痛みを抱えたエラリー、ライツヴィルにて。

 
 
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◇最後の女◇ -The Last Woman in His Life-
エラリー・クイーン 青田勝 訳
  
 
クイーンが手に取った受話器から聞こえてきたのは「殺される」というジョニー・Bの断末魔の叫びだった……華々しい社交界の旋風の中でしか充足できなかった彼が三人の前妻たちをライツヴィルの別荘に呼び集め、遺言状の書き換えを発表するというまさにその前夜の出来事だった! 無残に撲殺されたジョニー・Bの謎に満ちた死と、書き換えららないままの遺言状が引き起こす醜い争いに巻きこまれたクイーンの見たものは?
 
 
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ハリーを見送ったエラリーとクイーン警視は空港で大学時代の友人マーシュと富豪のジョニー・Bと出会う。先の事件で参っていることに気がついたジョニーはエラリーに自分の別荘の別館を休暇に貸してくれた。ところが、その別荘はあのライツヴィルにあった。
 
 
こうして因縁多きライツヴィルに警視と一緒に降り立ったエラリー。さて、ジョニーは3人の前妻がいてその3人を母屋に招待していた。彼は4度目の結婚をすべく、今までの遺言書を無効にすると発表したのだ。その遺言書もさながら、3人の前妻から盗まれたガウン、かつら、手袋も何やら事件の引き金になりそうだーーー 
 
 
エラリーの予感は当たった。ジョニーから「殺される」という電話がかかってきたのだ。彼は「ホーム」と最後に呟いた。エラリーと警視が母屋に駆け込むと死んだジョニーと盗まれたガウンとかつらと手袋があり……
 
 
犯人は3人の前妻の誰かなのか? それともジョニーが最後の女と望んだ4人目の女なのか?
 
 
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「最後の女」です(・∀・)
 
 
時系列としては「顔」のすぐ後。そのラストシーンから始まります。ってパパ、慰めたのかと思いきや説教かい← 序盤でジョニーも事件について触れるので「顔」を読んだからの方が話が繋がりやすくなります。そうなると「真鍮の家」はどこに入るんだろう……パラレル?
 
 
そして因縁のライツヴィルへ。すでに決別という痛みと傷を抱えたエラリー。ライツヴィルに行ったところで傷は癒えるのか? と心配になりましたが、今回は今までよりもマシだと言うか。真実が想定したよりも悪かったでもなし、悲しい動機を抱えた訳でもなし。動機と背景は複雑でしたが。「最後の女」ってそういうことかぁ!
 
 
事件の舞台は最初はライツヴィル、次はニューヨークと移るので本書はライツヴィルオンリーというわけではありません。もはや先の4冊に登場した関係者とは絶えて久しく、この希薄さが舞台の移り変わりに表れています。
 
 
エラリー・クイーンは「間違いの悲劇」、「心地よく秘密めいた場所」の残り2冊になりました。時代は移り、人は変わり、エラリー少しずつ変わり……結末には何が待っているんでしょうか。
 
 
「最後の女」でした(・∀・)/
次はクロフツ、再び船での怪事件です(*^o^*)/~