アレクサンドル・セルゲーイチ・プーシキン No.2◇プガチョーフ叛乱史◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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ロシア史に残る『プガチョーフの叛乱』を余す所無く書いた歴史書!

 
 
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◇プガチョーフ叛乱史◇ -История Пугачёва-
アレクサンドル・セルゲーイチ・プーシキン 草鹿外吉 訳
 
 
ツァーリを根底から震駭せしめた王位僭称者プガチョーフを首魁とする農民革命ー苛酷なる検閲に抗してなった本書は、叛乱軍の凄惨酸鼻極まる死闘を描破し、そこに脈打つ民族的革命的エネルギーを刻む。和られざるプーシキンの面目を伝える重要著作
 
 
☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆  
 
 
たまには真面目なものも読んでみようかとすっごく唐突に思い立ち←、読んだのが本書。『プガチョーフ叛乱史』。プーシキンです。小説ですらないけど。てか他に読むものあんだろ! ってツッコミはぜひ無しでお願いします(苦笑)←
 
 
プーシキンが叛乱指導者プガチョーフに多大な興味を持っていたことはこちらでも描きましたが、その興味とプガチョーフたちの通った村や砦をめぐり、当時の話を聞きまくった成果がこの本に纏められました。出すまでにものすごい苦労したそうですが(苦笑)。よりによって要危険人物のダブルコンボとは←
 
 
歴史小説面での主人公だったプガチョーフの姿が明らかにされています。
叛乱ーーー暴動、略奪の様子は読んでいて「うげえ……」となるところもありましたが、その生々しさとたくさんの人名が逆に真実を伝えています。
 
 
プガチョーフの叛乱の事はもちろんのこと、ドン・コサックやヤイーク・コサック(現・ウラル・コサック)等々のコサックやロシア帝国に住んでいた外国人のことまで書かれています。ロシアって結構外国人、多いですよね。
 
 
またプガチョーフ自身のことについてもかなり詳しく書かれているので「大尉の娘」でプガチョーフに興味を持った人は本書を読むのも一興かと思います。
 
 
あとグリニョフのモデルになったシヴァンヴィチのことにも言及されています。シヴァンヴィチはプガチョーフの徒党の中で唯一家柄のいい貴族坊ちゃんで、父親は居酒屋でアレクセイ・オルロフと喧嘩し、剣で頬を切り裂いたとか。
 
 
……あのオルロフ兄弟の1人!?
オルロフ兄弟と言えばエカテリーナ2世に取り入ったあの大貴族! アレクセイは海戦で有能でした。まさかの、こんなところで因縁が!← 
 
 
あと、わたしは今までシヴァンヴィチは「要塞を落とされ、捕虜になったのを学がある故に無理やり徒党に入らされて翻訳とか強いられていたのだ」と思っていました。
が、読んで上記の事実を知ったり、プーシキンの言葉を見る限り、自発的に徒党に入った可能性が高い様です。
 
 
そもそもプーシキンが「大尉の娘」を書こうとした動機は「自分の義務を裏切り、プガチョーフの一味に寝返った士官のひとりが、女帝の足もとに身を投げて願ったよぼよぼの父親の懇請によって放免された」という話を聞いたからなんですよね。え、サヴェーリイチ? と思ったのは置いておいて←、そうならシヴァーブリンの方がシヴァンヴィチの面影がより濃いわけです。
 
 
ロシアの現状を憂いつつも女王を裏切らないグリニョフは本来あるべき、理想の貴族の姿です。
一方、卑劣なやり方でミロノフ大尉らを裏切ったシヴァーブリンは最低ですが←、上流階級の人間が下流階級らのコサックらと交わる、という点でやり方を大間違いしただけでシヴァーブリンはインテリゲンチャの走りのような気がします。
とはいえ、簡単に裏切ったり、二枚舌を使うシヴァーブリンにはそんな器はありませんがね!
 
 
たまにはこんなのもいいでしょう。
「プガチョーフ叛乱史」でした(・∀・)/
 
 
実は13日まで私用で全くブログを更新できないので、しばらく間が空くのと13日の「異郷の殺人」はお休みさせて頂きますm(_ _)m