自分にも彼の死の責任があるのではないか? 作家と出版界の殺人!
◇ABAの殺人◇ -Murder at the ABA(Authorized Murder)
アイザック・アシモフ 河合裕 訳
アメリカ図書販売協会(ABA)の年次大会で新進作家が死んだ。殺人か事故か。第一発見者の作家、ダライアス・ジャストは、部屋の中にごく微量のヘロインが落ちているのを見逃さなかった。しかしそのヘロインは、警察が到着するまでに何者かによって拭きとられていたのだ。他殺を疑う彼は独自に捜査を開始する。アメリカの出版界を背景に、巨匠アシモフが描く本格推理の名作。
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自分がかつて育てた若い新人は今やベストセラー作家になった。ところがその新人ジャイルズがプリズム出版社と手を切りたいと言い出した。ジャイルズを育てたダライアスは説得することに。
ーーーが、ダライアスは横柄なジャイルズにブチ切れた。おかげで彼はホテルのクロークに預けた包みをジャイルズの部屋まで届けるという頼みごとをすっからかんに忘れてしまった。
あくる日の午後、ジャイルズの頼みごとを思い出したダライアスは慌てて包みと一緒にホテルへ。ところがジャイルズはシャワー室の中で死んでいた!
ホテルや警察は事故死と判断するが、ダライアスは部屋に微量のヘロインがあったこと、それが誰かに拭き取られたことを見逃さなかった。
自分があの包みをきちんと昨夜届けていたら彼は死ななかったのでは? 責任を感じたダライアスは独自の調査を開始するがーーー
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「ABAの殺人」です(・∀・)
アシモフ推理小説、第2作です。
前回の「象牙の塔の殺人」から実に4ヶ月が経ちました。
アシモフってSFに劣らずミステリーも書いていますが、長編ってたった2冊しか出していないんですよね。SFでも言えるかもしれませんが、短いのをかるーく書くほうが好きだったのかもしれませんね。
そんな数少ない長編推理小説、第2作が本作。
まず舞台になったアメリカ図書販売協会(ABA)。要は出版社と本屋間で行われるEXPOのようなもの。でいいんですかね?
さて、本書は作家ダライアス・ジャストという酒を飲まない小さな男が主人公。
「………なんかこの名前、見たことあるような?」
はい! そう思った貴方は正しい。実は彼は「黒後家蜘蛛の会」でも登場しているのです!
実際は1976年に出た本書の方が先なのですが、本ブログでは「黒後家蜘蛛の会」の方を先に読んだので(苦笑) 何に出ているかはリンクで飛んで読んでみて下さい←
……って考えるとこれ、ダライアスが黒後家蜘蛛の会とヘンリーに助けを求める形で進んでも良かったのでは!? と邪推してしまうのはわたしだけでしょうか……
世の中そんなに甘くなく、ヘンリーは出てきませんが、ダライアスの作家仲間としてアイザック・アシモフが登場します。
はい、注目! アイザック・アシモフ!
ご本人登場しましたよ!
おかげで本書はダライアスの体験談をアシモフが書くという形で進行します。脚注の2人の掛け合いがウケます(笑)
事件は「象牙の塔の殺人」と同じように事故死か殺人か? と主人公、半ば孤立無援!? パターンで進行します。個人的に作家ならではの行動と癖が事件に繋がるのが面白いと思いました。あと被害者の性癖にはドン引きしました( ̄Д ̄;;
「ABAの殺人」でした(・∀・)/
次もアシモフでまたもや推理もの「ユニオン綺談」に行っちゃいます(*^o^*)/~