人間になりたいと望んだロボットの行く先は? ロボットと人間の対話!
◇聖者の行進◇ -The Bicentenial Man and Other Stories-
アイザック・アシモフ 池央耿 訳
アンドリュウの彫った木のペンダントは芸術の域に達していた。だが彼はロボットなのだ。彼に備えられた実験段階にあったポジトロン頭脳が、およそロボット離れした才能を授けたのである。やがて彼は”人間”への道を歩み始める。法的自由を、そして人間と寸分たがわぬ体を求めた彼が、人間となるために最後に求めたものとは? 傑作「バイセンテニアル・マン」をはじめ、12編を収録。
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1.男盛り
(The Prime of Life)
……歳を取っても「わたし」は未だ若いのだ!
2.女の直観
(Feminine Intuition)
……直感や創造性を発揮するために作られた女性ロボット、ジェーン。ロボット心理学者マダリアンは「彼女」の直感で人が住める惑星を探そうとするが……
3.ウォータークラップ
(Waterclap)
……深海に都市が建設された時代。月世界の安全技術者デマレストはその深海実験都市を訪ね、客として滞在する。しかし彼には別の目的があった。
4.心にかけられたる者
(─That Thou art Mindful of Him)
……ロボットに対する反感が一層強まり、USロボット社は地球から立ち退きを要求される。研究部長のハリマンはその論争を抑えるべく、判断力を持ったロボット、ジョージ-10にある命令をする。
5.天国の異邦人
(Stranger in Paradise)
……「家族」というものがなくなり、「兄弟」というものが異端になった時代。何の因果か同じ親から生まれたアンソニーとウィリアムは、これまた何の因果か一緒に仕事に取り組む羽目に陥った。
6.マルチバックの生涯とその時代
(The Life and Times of Multivac)
……マルチヴァクは全世界を救出、管理、保護、支配している。当然、それが気に入らない人もいる。バクストは全人類を裏切ったと告発される。彼の思惑とは?
7.篩(ふる)い分け
(The Winnowing)
……人類が増えに増えすぎて飢餓が問題になった西暦2005年の地球。世界食料機構は人によって違う作用が出る化合物リポプロテンで食料の「篩い分け」を行おうとするが……
8.バイセンテニアル・マン
(The Bicentennial Man)
……マーチン家の給仕ロボット、アンドリュウはロボットでありながら芸術の域に達する木のペンダントを作ることができた。その時から彼は人間になりたいと望むようになる。
9.聖者の行進
(Marching In)
……作曲家兼トロンボーン奏者ビショップは音楽を通して患者を治療する療法を編み出し、その効果の持続についてアドバイスを請われる。
10.前世紀の遺物
(Old-Fashioned)
……エステスとフレナリの乗ったロケットがブラックホールに遭遇してしまった。ロケットは壊れ、助けを呼べない。2人がなんとか方法を模索する……
11.三百年祭事件
(The Tercentenary Incident)
……合衆国独立300年祭で大統領ウィンクラーが白煙と共に姿を消すという事態が起こった。とはいえ、ウィンクラー自身は無事で身代わりロボットが破壊されたということで収束したが……
12.発想の誕生
(Birth of a Notion)
……タイムマシンを発明したウェイルはさっそく過去に行ってみることに。そこで出会った男はなんとーーー
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「聖者の行進」です(・∀・)
久しぶりのSF短編集です。
比較的近未来なお話からとてつもなく先の未来なお話、12編が勢ぞろいしています。キャルヴィン博士、お久しぶりです!
本書の目玉はなんといっても8です。
泣いた。
「人間になりたいロボット」、「人間のように振る舞うロボット」というのはSF小説に時々登場するテーマだと思いますが、これは傑作。しかも戦争とかしない。アンドリュウとリー・シン女史の会話に電車の中で泣きました。
2はキャルヴィン博士、最後の登場。引退の身にあってもキャルヴィン博士はキャルヴィンでした← 4は亡くなって世代交代してあます。
6と11は同じテーマを扱ったちょっと怖い話。6があり得るなら11だってあり得る。そしてそれに従う人間に薄ら寒くなります。
5は「遺伝」と同じ後味がします。アシモフはこのテーマだとこういう結末が好きなのだろうか。わたしも好きだけど!
12はSF風雑誌「アメージング・ストーリー」誕生秘話(笑) こんな風に生まれたらこれ以上、名を体で表す雑誌もない(笑)
「聖者の行進」でした(・∀・)/
次はエラリー・クイーン、「熱く冷たいアリバイ」です(*^o^*)/~