S・S・ヴァン・ダイン No.1◇ベンスン殺人事件◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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ベンスンを殺したのは、誰? 名探偵ファイロ・ヴァンス登場!

 
 
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◇ベンスン殺人事件◇ -The Benson Murder Case-
S・S・ヴァン・ダイン 井上勇訳
 
 
ウォール街の悪徳株式仲買人アルヴィン・ベンスンの怪死をめぐり、多すぎる容疑者の中から独自の心理的探偵法によって真犯人を指摘する名探偵ファイロ・ヴァンス。本書はアメリカにおける本格推理長編の黄金時代の幕開けを告げた記念すべき作品であるとともに、美術評論家ウィラード・ハンティントン・ライトがヴァン・ダインの筆者の許に発表した全長編の中の歴史的な第一作である。
 
 
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エラリー・クイーンの「国名シリーズ」の最新訳が先月出たばかりなので、
「こりゃ、当分出ないなー( ̄ー ̄)」と思って今回から、
そのエラリー・クイーンに
影響を与えた、S・S・ヴァン・ダインを読むことにしました!!
 
 
さあ、どーぞ!!
 
 
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私、ヴァンと友人ファイロ・ヴァンスと一緒に絵の話をしつつ、食事をしていたところに地方検事のマーカムがやってきます。
マーカムの手土産は殺人事件の相談事。
 
 
殺害されたアルヴィン・ベンスンは株式仲買人。部屋に残されたハンドバッグからマーカムたちは彼に言い寄られていた歌手を疑うが、ヴァンスはそれを一蹴する。
 
 
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本書「ベンスン殺人事件」は初めてヴァン・ダインとファイロ・ヴァンスが世に出た作品です。
 
 
あらすじにもありますように、
ヴァン・ダインは本名じゃありません。
美術評論家です。
 
 
病院に入院してから約2000冊の推理小説を読破して、
「経験の浅い他の作家だってこれだけ書けるんだ。俺にだって書ける!」
ーーーという、源泉地不明な自信な下、推理小説を書いた変わった経歴の持ち主←
 
 
しかしこの説は最近違うんじゃないの? 呼ばれされているようですが、真相は定かではない……┐( ̄ヘ ̄)┌
 
 
とにかくこの人なしにアメリカの本格推理小説はあり得なかったといっていいので(特に初期のエラリー・クイーン←作者の方。はこの人の影響受けまくり)、この人の立ち位置は非常に重要なのですが、
アメリカではなんと忘れられた存在orz←
日本では「グリーン~」や「僧正~」のおかげで人気あるのに(´_`。) 
あと「ヴァン・ダインの二十カ条」を作ったことでも有名ですね(・∀・)
 
 
あとこの人はアガサ・クリスティーのアクロイド殺し」を酷評したことでも知られているので英国ではそっちの方でぴんとくるかもしれない(笑)。
 
 
ーーーで、肝心の本書は、
 
 
「だめだ、ヴァンスがエラリーにしか見えない(  ゚ ▽ ゚ ;)!!」
 
 
だめだ、これしか浮かばない。
エラリーのムカつく度、引用癖を5割り増ししたら、こうなるか! という感じ。
 
 
「真実の手がかりは心理的なものである」(P.94)とか抜かしてマーカムたち警察をぶった切るわ、言葉を曖昧に濁すわ、と
エラリーがやらかしたら、間違いなくリチャード・パパに殺されてるわ!!
ってことを平然とやらかしている。←
 
 
でもそんなヴァンスにも友達はいるし、エラリーも嫌われちゃいない。←
言っていることが、真実だからでしょうね。
 
 
さて、前述した通り、初期のエラリー・クイーンはこの人の影響を受けまくったので、この人に倣ったことがいっぱいです(・∀・)
 
 
1.覆面作家
  ……違うのはヴァン・ダインはオンリーだったけど、エラリー・クイーンは2人組だったことぐらい。
2.題名の統一
  ……少なくとも国名シリーズは一致しています(例外あり)。
3.主人公像
  ……エラリーもヴァンスも皮肉屋、キザ(絶対にヴァンスはキザだ(断言))文献引用癖(笑)英国趣味も似ています(ただしエラリーはヴァンスほど顕著じゃない)ただし大学はハーバードとオックスフォード。
4.活動的、スポーツマンタイプ
  ……これはアメリカ男子に生まれた宿命所以ですかね。父曰く「アメリカ男子はスポーツをやるのが当たり前」だそう。だけど、エラリーは歩くの嫌いじゃないぞ(^▽^;)
5.本に書かれている名前は本名に非ず。
  ……エラリーの方もそうですが、これはある一人の人間の事件回顧録です。つまりその人の周りにいた人がワトスンのように記録者として書いたもの。ですのでエラリー・クイーンもファイロ・ヴァンスも「頼むから本名は載せないでくれ」と頼まれてから名付けた偽名なのです。本名が気になるところ(笑)本によっては事件関係者の名前も偽名。
 
 
決定的に違うのは趣味ですが、
趣味までダブったら、もろパクリですね←
 
 
しかし「ローマ帽子の秘密」で「ファルコナー目指して三千里」をするエラリーが見られたので、
「美術品目指して三千里」するヴァンスがこれから後々見られるかもしれない( ´艸`)
 
 
ちっとも本の感想になっちゃいませんでしたが、生ぬるい芽でヴァン・ダインもお付き合いしてくださいm(_ _)m